難民家族が命がけの旅をスマホで撮影…驚異のセルフドキュメンタリーが公開決定

　安住の地を求めて旅する難民家族が3台のスマホで自らの旅を撮影したセルフドキュメンタリー『ミッドナイト・トラベラー』が9月11日よりシアター・イメージフォーラムほかにて全国順次公開されることが明らかになった。

　2019年のサンダンス映画祭でワールドシネマドキュメンタリー審査員特別賞などを受賞した本作で、監督を務めたのは2015年にタリバンから死刑宣告を受けた映像作家のハッサン・ファジリ。自身が制作したアフガニスタンの平和に関するドキュメンタリーが国営放送で放送されると、内容に憤慨したタリバンが出演した男性を殺害。自身の身にも危険が迫っていることを感じた彼は、家族を守るためにアフガニスタンからヨーロッパまで5,600kmの旅に、妻と二人の娘と共に出発することを決意する。

　その旅の様子を3台のスマートフォンで記録するハッサン。妻はもともと映画制作に関わっており、娘たちにも映像教育を行っていた。家族はスマートフォンを手にタジキスタン、トルコ、ブルガリアを経て、安全な場所を求めて命がけの旅を敢行。砂漠や平野、山を越え、荒野をさまよい辿りついた先で、難民保護を受けられずに苦労することも。ヨーロッパへの脱出は想像以上に困難を極め、人としての尊厳を傷つけられるような境遇を経験しながらも、一家は旅の記録を続けていく。

　本作は山形国際ドキュメンタリー映画祭2019のインターナショナル・コンペティション部門にて優秀賞を受賞するなど、日本でも注目を浴びた。（編集部・大内啓輔）