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稲垣吾郎『正欲』で「見たことのない自分」発見 引き出してくれた監督に感謝

映画『正欲』の岸善幸監督と稲垣吾郎
映画『正欲』の岸善幸監督と稲垣吾郎

 稲垣吾郎が11日、都内で行われた映画『正欲』の大ヒット御礼トークイベントに岸善幸監督と共に登壇し、撮影時の裏話を語った。

稲垣吾郎『正欲』トークイベントフォトギャラリー

 本作は、『桐島、部活やめるってよ』『何者』などの原作者である朝井リョウが、作家生活10周年で書き上げた渾身の一作が原作。家庭環境、性的指向、容姿など様々に異なる背景を持つ人たちを同じ地平で描写しながら、人が生きていくための推進力になるのは何なのかというテーマを炙り出していく。稲垣は、主人公の検察官・寺井啓喜を演じた。

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 観客動員数20万人を突破したという本作。「まさに『観る前の自分には戻れない』というコピー通り」「俳優陣の凄まじいほどの生きる葛藤の表現が素晴らしい」など好評価を受け、台湾や香港でも話題になっているといい、稲垣は「うれしいですね。これはご褒美というか、キャストやスタッフのみなさんも覚悟がいる作品で、忘れられない撮影期間だったので、こうやって皆さんに届いて反響をいただけるのはうれしいです」と笑顔。

 岸監督は「現場で稲垣さんと話し合いながら、悩みながら作った作品で、2時間程に収めるためにいくつかシーンをカットしたり、いろんなジャッジをすることがありました」と告白。また、細かい演出はせず「放置していた」という岸監督は、「それでも少し違う演技があるかもしれない」と本番直前に耳元でコソコソと話して演出をつけたというが、「だいたい放置していた時の演技を使っています。そっちの方がよかったですね」と振り返った。

 稲垣は「何か迷いながらやっている方が(いいのかもしれない)」と想像し、「6方向くらいから撮りますから、どこを使われるか(役者は)わかっていない。自分がこういう演技をしようと作った表情がまったく使われていないから、自分が見たことのない自分でした。それを引き出してくれた」と感謝した。

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 一方で、「言っていいのかな?」と戸惑いつつ、たまたま目に入った絵コンテにあった、自身演じる寺井啓喜の、あるラストカットが消えたことを明かし「アレはなくなったのね」とボヤく稲垣。そして、「映画にはすごく多くて、上手く泣けたのに使われないとか……。結果、(作品としては)それでいいんだよね。でも、監督は苦しいよね」と思いやりながらも、「ディレクターズカットを作り直してください。(佐藤)寛太くんも言ってましたよ。『結構カットされてた』って」とリクエスト。

 岸監督は「5人の主要登場人物に関しては、1人1シーンずつカットしているので、そのシーンを足すだけで15分くらい(増やせる)」とコメント。稲垣は「でも、そういう風に監督が上手くしてくれたおかげで、5人それぞれのキャラがたった映画に仕上がったので、何も文句は言いません!」と前言撤回して会場を笑いに包んだ。(錦怜那)

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