『ウィキッド』生歌での撮影を決めた理由に舞台女優たちへの敬意…アリアナ・グランデが明かす

人気ブロードウェイミュージカルを映画化した『ウィキッド ふたりの魔女』のアリアナ・グランデとシンシア・エリヴォがインタビューに応じ、ミュージカルシーンの生歌撮影に込めた思いを明かした。
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生歌での撮影を選ぶことは、抜群の歌唱力を誇る二人にとって悩むまでもないことだった。グリンダ役のアリアナは「二人で決めたの。即決だった」、エルファバ役のシンシアは「もちろん『歌うでしょ』って」と事も無げに語る。生歌唱が「この映画に魂を与えてくれた」とジョン・M・チュウ監督は表現していたが、アリアナも「二人とも絶対生で歌うと最初から決めていた。その場で歌う方がコメディーの要素が伝わるし、相手の歌に反応できるし、精神的な一体感も生まれる。出来も毎回違うし」とそのメリットを語る。
それだけでなく、この決断の裏には舞台でグリンダとエルファバを演じた女優たちへの深いリスペクトもあった。アリアナは「舞台で21年間、毎週8公演を生で歌っている女性たちに、敬意を示す意味もある。わたしたちだけ楽はできない。どんなに疲れていても、歌うと決めていた。生で歌うべき作品だし、良い物を作りたかったの」と力を込めた。
歌唱シーンのライブ収録を担当したのは、同じ試みをしたトム・フーパー監督の『レ・ミゼラブル』(2012)でアカデミー賞録音賞を受賞しているサイモン・ヘイズだ。インタビューに応じたチュウ監督は「ミュージカルシーンのライブ収録は、もちろん技術的には大変だった。トラックをクリーンにしないといけないからね。サイモン・ヘイズが取り組んでくれ、僕たちはすべてのセットをレコーディングスタジオの機能を果たすものへと変えた。マイクは本当に至るところにあって、それらをポストプロダクションですべて消したんだ」と振り返った。
シンシアに至ってはハーネスを着けて宙を飛び回りながら、名曲にして難曲「ディファイング・グラヴィティ」を生歌唱している。シンシアは「飛びながら歌うというのは、特に興味深かった」とくすっと笑うと、「ああいった曲を歌う時は地面にしっかり立って肺、体、筋肉をちゃんと使う必要があるけど、宙に浮いた状態だと全く勝手が違う。息の吸い方だったり、音の出し方だったりを学ばないといけなかった」と足で踏ん張ることができない空中で熱唱することの難しさを明かす。
それでも大変さよりも楽しさが勝ったといい、「音を出すために、自分の体を今までと違う方法で使うやり方を学ぶのはすごく楽しかったし、この映画とともに新しい技術を身に着けることができた。つまり、わたしは今やどこでも歌えるってことだから(笑)、そのことがとってもうれしい」とチャーミングにほほ笑んでいた。(編集部・市川遥)
映画『ウィキッド ふたりの魔女』は公開中