脚本家・坂元裕二、広瀬すず&杉咲花&清原果耶の主演作に「プレッシャーで逃げたくなった」

ドラマ「カルテット」(2017)、映画『花束みたいな恋をした』(2021)などの脚本家の坂元裕二が5日、TOHOシネマズ日比谷で行われた映画『片思い世界』(公開中)公開記念舞台あいさつに広瀬すず、杉咲花、清原果耶、土井裕泰監督と共に登壇。広瀬、杉咲、清原の主演は自身の希望が叶ったキャスティングだったものの、「プレッシャーで逃げたくなった」と胸の内を明かすシーンもあった。
ロングランヒットとなった映画『花束みたいな恋をした』の脚本・坂元と土井監督が再度タッグを組んだことでも注目を浴びる本作。東京の片隅にある古い一軒家で一緒に暮らす美咲(広瀬)、優花(杉咲)、さくら(清原)、それぞれの誰にも言えない片思いを描く。
坂元は本作の構想を練っているときに広瀬、杉咲、清原という3人の女優で物語を……というアイデアが浮かんだという。坂元は「いまの時代を代表するトップの俳優さん。実際出てくれるのかな……」と半信半疑だったというが、それぞれが快諾したことを聞くと「逃げたくなるぐらいのプレッシャーが押し寄せてきたんです」と正直な思いを吐露する。
それでも坂元は「しっかりと気を取り直して、何とか自分の仕事をして、皆さんに委ねることができました」と、そのプレッシャーに打ち勝ったことを明かすと「3人が作り出した温かくて優しくて、美しい登場人物たちを見守るような気持ちで観ていただければ」と客席に呼びかけていた。
映画は昨日から公開されている。坂元は「前の映画(『ファーストキス 1ST KISS』)をやったとき、塚原あゆ子監督と『誰も感想をくれないよね』と話をしていて『次は感想を送り合おうね』と約束したんです」と切り出すと「塚原さんは映画を観てくれたらしいのですが、僕には感想を送ってくれずに土井さんに送っていたらしいんです」と口をとがらせる。
土井監督が「『昨日の朝一の回で観て、そのまま続けて2回観ました』と連絡をもらったんです」と報告すると、坂元は「それを聞いてがっかりしました。嘘つきですよね。僕にはなかった。本当に『片思い世界』です」と映画タイトルにかけて悲しみを表現。会場からは坂元のオチのついたトークに大きな拍手が巻き起こっていた。
坂元は「新社会人や大学に入学したばかりの方は、この先上手くやっていけるのだろうか……と不安に思う方も多いと思います。そんな方の背中を押せるような温かい作品になっていたら嬉しいです」と物語に込めた思いを語っていた。
舞台あいさつには広瀬、杉咲、清原演じるキャラクターの幼少期を務めた子役の太田結乃、吉田帆乃華、石塚七菜子が花束を持って公開のお祝いにかけつけた。(磯部正和)