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『アレキサンダー』コリン・ファレル特集

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純情な青年から完全にイッってしまっているキャラまで見事な演技の幅の広さで見せてくれるコリン。デビューして6年と意外に短い芸歴ながら、その演技力にはますます円熟味が増して来ている。彼の代表作の中からその演技のポイントをピックアップ。ポイントを特に堪能して鑑賞してみると、またあらたなコリンの魅力が発見できるかも。
 『アレキサンダー』

(C)2004 IMF3


オリバー・ストーンの歴史大作でアレキサンダー大王を熱演。『リクルート』や『フォーン・ブース』などで“苦悩&オロオロ演技”は披露済みのコリンだが、この作品ではその極みが見られる。オリバー・ストーンがコリンに求めたアレキサンダー像は、エキセントリックな母親(アンジェリーナ・ジョリー)に支配され、同性愛的嗜好を持ち、時として盲目になる究極のドリーマー。そんな屈折した生身のヒーローを、コリンはトレードマークの極太眉を駆使して(眉の角度で苦悩の度合いを体現)演じきっている。母親からプレッシャーを受け、父子関係に悩み、親友への友情を超えた性愛に身悶えるコリンを見ていれば、(おそらく)3時間があっという間に過ぎる。

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ストーリー:紀元前356年、マケドニアの王フィリッポスと西方の王国の出身である妃オリンピアスの間に誕生したアレキサンダー。その20年後、父王の死により即位した彼は、強大なペルシア帝国を打ち破リ、アジア侵攻を開始する。
キャスト・スタッフ:監督:オリバー・ストーン 出演:アンジェリーナ・ジョリー、ヴァル・キルマー、アンソニー・ホプキンス
  「私が愛したギャングスター」

(C)1999 Unicorn Distributors Limited


ケビン・スペイシー扮する天才強盗マイケル・リンチの仲間役で登場。強盗一味の若い衆という役どころゆえ、血気盛んにヘマをやらかす設定なのかと思いきや、むしろ従順でスマート、お利口に仕事をこなす期待のポープ的キャラだ。コリンがこの役に抜擢されたのは、ケビン・スペイシーがロンドンの舞台でコリンを見て、その演技を気に入ったからだとか。そのせいかどうかは定かでないが、ケビンとのツーショット映像では、父と子、もしくは兄と弟を思わせる愛が感じられる(気がする)。ささやかな役のわりには印象的なショットが多く、アップも多いので、若き強盗をフレッシュに演じる“スター以前のコリン・ファレル”が堪能できる、隠れたお宝映画だ。

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ストーリー:確かな技術と直感、明晰な頭脳でスマートに盗みを働く天才強盗マイケル・リンチとその仲間たち。挑発的な態度で権力や体制に反発する彼らは、カラヴァッジオの名画「キリストの逮捕」を美術館から盗み出すことに成功するが……。
キャスト・スタッフ:監督:サディウス・オサリバン 出演:ケビン・スペイシー、リンダ・フィオレンティーノ、ピーター・ミュラン
 「タイガーランド」


コリンのハリウッドデビュー作にして、初主演映画。体制や権力、暴力に対して反抗的である一方、命を重んじ、仲間を思いやる敏腕兵士を熱演。人を食ったような、ふてぶてしさギリギリのクールな態度と繊細な内面が共存するヒーロー的な役どころは、この後、急速なサクセスを遂げるコリンのスターイメージに影響を与えたとも言える。撮影当時、24歳。若さゆえのフレッシュさは見られるものの、大役をこなす上でのプレッシャーや新人らしいたどたどしさは皆無。また、先頃、「セクシーすぎる」との理由で新作映画からヌードシーンが大幅カットされたコリンだが、この作品では無防備な全裸姿(美尻つき)がチラリと見られるので、ぜひご堪能あれ。

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(C) Twentieth Century Fox Home Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

ストーリー:ベトナム戦争下の1971年、ルイジアナ州ポーク基地。新兵たちはここで訓練を積み、最終訓練地“タイガーランド”での実戦さながらの訓練を経て戦地へと送られていた。そんな中、新兵の1人、ボズは上司に向かって反戦を唱える反抗的な態度を見せていた。
キャスト・スタッフ:監督:ジョエル・シュマッカー 出演:マシュー・デイビス、トーマス・グイリー、コール・ハウザー
 「アメリカン・アウトロー」


アメリカ西部史に名を残す伝説の銀行強盗ジェシー・ジェームズ役で登場。コリン、初の西部劇である。正義の名の下に白昼堂々と銀行を襲い、大衆に支持されたジェントルな義賊を好演。実は、コリン自身はこの作品をあまり気に入っていないようだが、愛さずにはいられないヒーロー像をスマートに構築した彼はなかなか魅力的だ。絶体絶命のピンチに直面した時こそ「フッ」と笑いをもらし、クールな男気を見せる一方、ヒロインを務めるアリ・ラーターとのロマンチックなくだりも。美しい彼女を前におどおどしてしまうシーンやシェイクスピアを引用して愛を告白しようとするシーンなど、公私を通して非常に稀な“純情コリン”がキラリと光る爽やかな作品だ。

(C) Morgan Creek International Inc. All Rights Reserved.

ストーリー:1865年、南北戦争終盤のアメリカ、ミズーリ州。南部派ゲリラだった青年ジェシー・ジェームズとその兄フランクらは、強引な開発を進め、農民たちから土地を奪う鉄道会社に反発し、鉄道会社と関係のある大手銀行を狙った強盗を繰り返す。
キャスト・スタッフ:監督:レス・メイフィールド 出演:スコット・カーン、アリ・ラーター、ガブリエル・マクト
 「ジャスティス」
(C)1999 Unicorn Distributors Limited


ドイツの捕虜収容所を舞台にした軍事サスペンス大作で、ブルース・ウィリスとダブル主演。コリンは大物軍人の父を持つ、実戦経験のないお坊ちゃまエリート中尉に扮する。野性味あふれる風貌のコリンがお坊ちゃま役とは、何とも珍しいかぎり。しかし、決してミスキャストには陥らず、素直で勤勉だが世間知らずで甘ちゃんな若き軍人が正義と向き合い、たくましく成長していく過程を嫌味なく演じ上げている。叩き上げの米軍大佐を演じるブルース・ウィリスとの共演シーンでは、静かな火花を散らす役柄関係のせいか(現場での不和説もあったが)、何とも表現しがたい微妙な緊迫感アリ。ただし、コリンが全く気後れしておらず、むしろブルースを圧倒しているのだけは確かだ。

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ストーリー:1944年、第2次世界大戦下のドイツ。連合国軍捕虜が囚われているムースブルグ捕虜収容所で、米国人兵士が殺される事件が発生。裁判が開かれ、米軍の若きエリート中尉ハートは被告を弁護することになるが、事件の裏には驚きの事実が潜んでいた。
キャスト・スタッフ:監督:グレゴリー・ホブリット 出演:ブルース・ウィリス、テレンス・ハワード、コール・ハウザー
 「マイノリティ・リポート」

(C)2004 Twentieth Century Fox Home Entertainment, Inc. All Rights Reserved.


スピルバーグのSFアクション大作でトム・クルーズと共演。コリンは逃亡した主人公アンダートン(トム・クルーズ)を追う司法省の調査官役で登場する。SFアクション大作に相応しく、ハードなアクションにも挑戦。トム様相手の肉弾戦も見られるが、スーツ姿の調査官役ゆえ、いまいちサマになっていないのが惜しい(ただし、サマになっていないのもおそらく演技、のはず)。冒頭でこそ、ガムをクチャクチャ噛みながらトム=アンダートンを挑発する“バッドボーイ演技”を見せるが、中盤以降はひたすら仕事熱心にトムを追い、インテリ風味のメガネ姿で頭脳派ぶりもアピール。キャラクターに奥行きと幅を持たせられるコリンの演技力が何気なく発揮されている作品だ。

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ストーリー:“プリコグ”と呼ばれる3人の予知能力者によって近い未来の殺人が予知され、事件が未然に防がれる2054年のワシントンD.C.。犯罪予防局の主任刑事ジョン・アンダートンは、自分が会ったこともない人物を36時間以内に殺すと予知され、逃亡を図る。
キャスト・スタッフ:監督:スティーブン・スピルバーグ 出演:トム・クルーズ、サマンサ・モートン、マックス・フォン・シドー
 「フォーン・ブース」


ジョエル・シュマッカー監督作に2度目の主演。謎の人物から公衆電話越しに脅迫される男を熱演する。上映時間81分のコンパクトな作品だが、コリンは最初から最後までほぼ出ずっぱり。公衆電話ボックスの中で恐怖におののき、汗だくになり、だんだんと憔悴していく様がリアルこの上ない。私生活での(女性に対する)野獣ぶりがクローズアップされ始めた時期の作品だが、性欲過多なギョーカイ人という、ある意味、自虐的な設定も軽やかにこなす余裕が見事。半ベソ顔もなかなか可愛らしい。泣き顔コリンに母性をくすぐられてか、この作品をきっかけに彼のファンになった人も多く、事実、俳優コリン・ファレルの実力と魅力を確認するのに最適な作品の1つと言える。

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(C)2004 Twentieth Century Fox Home Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

ストーリー:妻がいるにもかかわらず、新進女優のパメラをモノにしようとしている自称・名パブリシストのスチュ。突然ベルが鳴り始めた街角の電話ボックスの受話器を取ってしまった彼は、通話相手の男に「受話器を置いたら命はない」と脅される。
キャスト・スタッフ:監督:ジョエル・シュマッカー 出演:フォレスト・ウィテカー、ラダ・ミッチェル、ケイティ・ホームズ
 「デアデビル」


デアデビルを亡き者にしようとする殺し屋ブルズアイ役で登場。ワイルドで危険な香りのする風貌がウリでもあるコリンだが、意外にも狂気演技の披露は今回が初めて。だが、この1作だけで十分お腹いっぱいになれる狂いっぷりだ。丁寧に剃られたスキンヘッドに嫌らしさを感じさせる口ヒゲというビジュアルからして激しいが、バーで絡んでくる男だろうと、飛行機でひっきりなしに話しかけてくるお喋りなお婆さんだろうと、気に食わないヤツは片っ端から皆殺しにする悪役ぶり(だが、手先は器用で少々お茶目)が素晴らしい。あまりにも上手すぎて彼自身が誤解される恐れもあるので、コリン初心者には決してオススメしないが、一風変わったコリンを観てみたい時には打ってつけの作品である。

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(C)2004 Twentieth Century Fox Home Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

ストーリー:少年時代に放射性廃棄物の液体を目に浴びて以来、普通の人間にはない超感覚を身につけ、昼は弁護士、夜は正義の味方“デアデビル”として日夜奔走するようになった青年マット。ある日、彼は海運王の父親を持つ美女エレクトラと出会い、恋に落ちるが……。
キャスト・スタッフ:監督:マーク・スティーブン・ジョンソン 出演:ベン・アフレック、ジェニファー・ガーナー、マイケル・クラーク・ダンカン
 「ヴェロニカ・ゲリン」


盟友ジョエル・シュマッカーの社会派ドラマにゲスト出演。フーリガン役のコリンは、街角でビールを飲みながらテレビのサッカー中継を見ている時、そばを通りがかったヴェロニカ・ゲリン(ケイト・ブランシェット)と短いサッカー談義を繰り広げる。坊主頭に無精ヒゲで登場するコリンのいでたちは、まさしくブルズアイ(『デアデビル』)寸前。一瞬の出番ながらも強いインパクトを放ち、スターオーラを身につけたことを図らずも証明している。というより、物語の脇道で楽しく遊んでいる、と言うべきか。ちなみに、コリンは先頃ドラッグ使用の過去を認めるコメントを発表したが、この作品では彼の出身地であるダブリンの麻薬蔓延の実態が描かれている。

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(C)Buena Vista Home Entertainment,Inc.

ストーリー:アイルランドの麻薬犯罪の実態を報道しようとする新聞記者ヴェロニカ・ゲリン。子供たちにまで麻薬が蔓延している事実に憤りを覚え、熱心な取材を行う彼女は、麻薬売買で富を得る犯罪者たちにとって邪魔な存在となっていく。
キャスト・スタッフ:監督:ジョエル・シュマッカー 出演:ケイト・ブランシェット、ジェラード・マクソーリー、シアラン・ハインズ
 「S.W.A.T.」


LA市警のS.W.A.T.隊員の活躍を描いたアクション大作で、正義感あふれる優秀なS.W.A.T.隊員を好演。冒頭からクライマックスまで、とにかくアクションに重きを置いた作品なので、コリンのキャラも他の作品に比べると若干薄めの感はある。とはいえ、S.W.A.T.の制服に身を包んだコリンは抜群にカッコよく、トレーニングに勤しむコリン、銃を撃ちまくるコリン、犯罪者を追って下水道を駆け抜けるコリン、カーチェイスをするコリン、挙句の果てには電車が迫り来る線路上での肉弾戦までもを披露するコリンと、いろいろなコリンが楽しめるのは確か。また、実生活ではやんちゃなコリンだが、劇中では同棲中の彼女に突然去られて傷つく、といったしおらしい姿も見られる。

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(C)1999 Unicorn Distributors Limited

ストーリー:逮捕された麻薬王アレックスが「俺を逃がしてくれた人間に1億ドルを払う」とマスコミを通じて宣言。そのため、彼の護送任務にあたるS.W.A.T.隊員は、麻薬組織のみならず、報道を目にしたあらゆる人間を敵に回して任務を決行することになる。
キャスト・スタッフ:監督:クラーク・ジョンソン 出演:サミュエル・L・ジャクソン、ミシェル・ロドリゲス、オリビエ・マルティネス
 「リクルート」


『ジャスティス』『マイノリティ~』に続く大物共演シリーズ第3弾にして決定打とも言うべき作品で、CIAのスパイ候補生を好演。頭脳明晰で優秀なのに、心根が優しいせいか、互いが互いを欺く過酷な心理戦にくたびれてヘロヘロになり、アル・パチーノ扮するCIA教官に振り回されて身も心もほとほと疲れ果ててしまうジェームズ=コリンが愛くるしい。相手が「若手スターとの共演もどんと来い!」な名優パチーノ様だけに、その演技合戦も見応え十分。映画でのセクシーショット披露回数は意外と少ないコリンだが、この作品ではブリジット・モイナハン演じるCIA仲間とのベッドシーンもこなしている。ブリジット嬢によれば、撮影は「そりゃあ楽しかったわよ!」とのこと。

作品情報

(C) Touchstone Pictures and Spyglass Entertainment Group, L.P. All Rights
Reserved.

ストーリー:マサチューセッツ工科大学の学生ジェームズ・クレイトンは、ある日、CIAのベテラン教官でリクルート担当者のウォルター・バークにスカウトされる。晴れて訓練生となったジェームズは、ウォルターから思いがけない指令を受けるが……。
キャスト・スタッフ:監督:ロジャー・ドナルドソン 出演:アル・パチーノ、ブリジット・モイナハン、ガブリエル・マクト
(テキスト:渡邊ひかる)
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