第8回
今月の5つ星
毎月公開される新作映画の中から、シネマトゥデイ編集部おススメの5本を紹介します。
松山ケンイチ主演の時代劇アクション、人気アメコミ・シリーズ最新作など秋の話題作がズラリ!
映画『X-MEN:ファイナル ディシジョン』よりさらに前の話なのに、ウルヴァリンがさらにパワーアップしている!? と感じるのは、前作よりさらにスケールアップしたド派手なアクションが楽しめるからだ。私生活で、スカーレット・ヨハンソンとアツアツのライアン・レイノルズが剣を操る戦士デッドプールを演じたり、ブラック・アイド・ピーズのウィル・アイ・アムがミュータント役で登場するなど、脇を固めるキャストもスゴイ。そして、これまで明かされなかったウルヴァリンの壮絶な過去や、兄ビクターとの確執など人間模様が鋭く描かれており、映画『ツォツィ』でアカデミー賞外国語映画賞の受賞経験があるギャヴィン・フッド監督の手腕は、さすがの一言。またストライカーやサイクロップスなど、シリーズおなじみのキャラクターがウルヴァリンの過去と上手く絡んでいてく展開も見もの。原作ファンはもちろん、これまでのシリーズを知らない人でも楽しめる作品だ!
新ラブコメ女王の地位を確立しつつあるキャサリン・ハイグルと、映画『P.S. アイラヴユー』で世の女性の心をわしづかみにしたジェラルド・バトラーが、反発しながらも互いに惹かれていくという、昔ながらの王道ラブコメに挑戦したのが本作。美人で仕事もできるのに、なぜかモテないテレビ・プロデューサーのアビーと、ちょっと低俗で口も悪いのになぜか絶大な支持を得ている恋愛カウンセラーのマイクが繰り広げるバトルは、恋愛における男女の考え方の違いをこれでもかというくらいにストレートに表現しており、大人の男女なら「そう、そうっ!」とうなずかずにはいられない作品だ。加えて、ちょっぴりエッチな恋愛トークのさく裂ぶりが程よい笑いを誘ってくれる。軽快さといい、わかりやすさといい、まさにデートムービーにうってつけの作品なのだが、個人的には、マイクの過去をもう少し掘り下げてほしかったという思いも残る……。
『アメリ』のオドレイ・トトゥが、世界的ファッション・デザイナー、ココ・シャネルにふんしたサクセス・ストーリー。オドレイが『アメリ』のキュートなイメージとは一転、女性は男性の添え物という抑圧から解放されていく凛々しい女性像を好演している。彼女の演技で最も印象的だったのが、ココは心から笑うことがないように思えたこと。その憂いをたたえたまなざしから、途方もない試練を乗り越えてきたココの内面について、想像をかきたてられる。ココが男性のファッションから影響を受けているのは有名な話で、彼女は上流階級の男性たちと愛し合い、彼らが身につけている衣服から、機能性を重視した動きやすいスタイルを自らのファッションに取り入れた。男性たちのあきれ顔をよそに、レースやコルセットを取り払ったシンプルな衣服に身を包むことによって、ココはどんどん活力を得ているように見える。「男性のように自由でありたい」と願い続けたココの葛藤(かっとう)に、激しく胸を揺さぶられた。
とにかく松山ケンイチがカッコイイの一言に尽きる! 忍の道を抜けたカムイ(松山ケンイチ)は命を狙われ逃げる日々……。走る松ケン、飛ぶ松ケン、海で泳ぐ松ケンと、松ケンファンにはたまらない。それと並ぶように伊藤英明もヤサ男風ではなくワイルドさ120パーセントを醸し出し、この二人がカッコイイからすべてOK! と言ってしまいたくなる映画! 小雪演じるスガルは3人の子持ちという設定なのに、顔を黒くし、髪はバサバサでも、バツグンのスタイルが現代的過ぎてちょっと違和感。とまぁ、ツッコミたいところも多々あるが、本作の脚本を担当した宮藤官九郎は、新たな作家性を見せてくれたと思う。とにかく硬派。脱力系な笑いは一切なし!
ジョン・カーペンター監督の映画『ニューヨーク1997』、漫画「北斗の拳」、映画『マッドマックス2』などのテイストを混ぜ込んだ終末的バトルアクション映画がついに公開! 映画『ドッグ・ソルジャー』『ディセント』で「バラエティ紙が選ぶ2007年に注目すべき10人の監督」の1人に選ばれたニール・マーシャルが、死のウイルスが蔓延し、世界から隔離されたスコットランドを舞台に、抗ウイルス剤を見つけるべくイギリス政府の命で結成されたスペシャリストチームと、凶暴化し独自のコミュニティーを築いている生存者たちとのバトルを描く。肉と肉がぶつかるようなバイオレンス、命知らずなスタントマンたちの技が光るカーチェイスなど、CGに頼ることなくリアルで荒々しいテンションが焼き付けられた本作は、アイデアと映画愛さえあれば、面白い作品を作ることができるということを改めて教えてくれる傑作となっている。