第23回:ウーマンラッシュアワーの『フォックスキャッチャー』談義
映画たて・よこ・ななめ見!
ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トーク。今回は五輪メダリストの兄弟が巻き込まれた実際の殺人事件を映画化した『フォックスキャッチャー』をななめ見しちゃいます!(取材・文:シネマトゥデイ編集部 入倉功一)
村本:デュポンさん(スティーヴ・カレル)っていう金持ちが、デイヴ(マーク・ラファロ)とマーク(チャニング・テイタム)という、レスリングでオリンピック金メダルを取った兄弟を、自分の結成したレスリングチームに引き抜こうとすると。
中川:デイヴとマーク兄弟の、どっちが優れているのかって話になってたやろ。デュポンさんが弟に、金に糸目をつけないからおまえの優秀な兄貴を連れてこいとかって。あれってお笑いコンビにもいえる気がする。
村本:あるある。この兄弟でいうと僕は兄貴のデイヴの方やね。僕やったらデュポンさんみたいな人にはついて行かんもん。飼い犬になって飯を食うぐらいなら、野良で飢えて死んだ方がいいというね。
中川:僕はすぐについて行くと思う。
村本:あのな、自分で言うのもあれやけど、僕の方が実力が上で人気があり、ピンで仕事に呼ばれ……という感じなわけや。それで、映画の中で弟がチームを去らなくちゃならんときに、兄貴が「俺が残る代わりに弟にも給料を渡せ」って言うシーンがあったでしょ。
中川:あったあった。
村本:僕が兄貴ならすぐにおまえを切るわ!
中川:そのときは僕がおまえを殺すわ!
中川:僕はね、これイイ話かと思ってたのよ。最終的に金メダルを取って、『ロッキー』的な終わり方をするのかなと。でも何か、体がすごい重たなったわ。
村本:デュポンさんが本当に起こした殺人事件が基になっていて、すごい結末になるわけやけど、135分でボケ1個みたいな、すごい漫才を見た気分。オチがあって、またそこからずっと考えさせられる。こんな絵に描いたような不幸があんのかと。その不幸は多分、デュポンさんのお母さんに認められたいという願望から始まっている気がするな。
中川:馬を育てているお母さんね。競技会とかのトロフィーを部屋に飾って。
村本:僕は馬でなくこいつら(オリンピック選手)を育てているんだと。それで認められたかったけど、お母さんには下品なスポーツと言われてね。おまえのおかんも、ああいう感じやったな。
中川:……そんなことないよ別に! すんなり認めてくれたよ。いつもライブを見に来てくれるやんか。
村本:そういうことにしといたらええやん。
中川:ええことないよ! うそはやめてよ。
村本:美談の一つや二つ、作らせろよ!
中川:2人ともおかんにめっちゃ応援されとるやないか!
村本:劇中、弟が試合に負けちゃって泣いているのを、お兄ちゃんが抱き締めるでしょ。弟、上半身裸でちょっとホモっぽいよね……。おまえのとこの兄貴とか、どうなん?
中川:僕もああいうとき、兄貴が裸でぎゅっと抱き締めてくれたよ。
村本:優しい!
中川:僕がね、友達とけんかしてケガをさしてもうたのよ。僕も傷だらけやったけども、まず兄貴は相手の家に謝りに行って。初めてやね、兄貴の土下座を見たんは。
村本:おまえのお父さん忙しかったからな。代わりに兄貴が支えてくれたわけや。
中川:映画のまんまやね。それで家に帰ってね、1枚、1枚僕の服を脱がして熱い風呂に入れてくれて、最後は傷だらけになった僕の顔をペロペロッとなめて、ずっと癒やしてくれたわけ。
村本:ツバつけといたら治るからな。
中川:うん。
村本:おまえの兄貴はいろんな人から愛されてるしな! 1回ケガしてギプスをしていたとき、同級生が寄せ書きしてくれたんやろ? 何て書いてあったん……?
中川:これからもゲイ友達でいましょうねとか、いろいろ。
村本:ホンマのゲイやんか!
村本:でもまぁ、あの兄弟を見ていたら、コンビ組んだ当初の気持ちが戻ってきたわ。レスリングで金メダルを取るっていうのは、「THE MANZAI」で優勝を目指すのと似てるやろ。バイトを何個も掛け持ちしてその間にネタを作って、何とか有名になってやるんだという気持ちでやってたわけや。おまえも一生懸命バイトして……。
中川:僕は、ずっとパチンコしとったね。
村本:そういえばおまえ、ずっと暇やったやないか! よく考えたら。
中川:毎日パチンコして遊んどったな、そういえば。
村本:とんでもないやつやな!
『フォックスキャッチャー』
デュポン財閥の御曹司ジョン・デュポンが起こした殺人事件を映画化した実録ドラマ。ジョン・デュポンが結成したレスリングチームに引き抜かれた五輪メダリストの兄弟が、彼の知られざる姿を知った果てに悲劇に見舞われる。監督は『カポーティ』などのベネット・ミラー。『40歳の童貞男』などのスティーヴ・カレルをはじめ、チャニング・テイタムやマーク・ラファロら実力派が共演する。彼らの鬼気迫る演技に圧倒される。
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2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。先ごろ行われた「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。
島ぜんぶでおーきな祭 -第7回沖縄国際映画祭-開催!
開催期間:3月25日(水)~29日(日)
会場:宜野湾市:沖縄コンベンションセンターおよび周辺地区/ 島ぜんぶでおーきなスタジオ
那覇市:桜坂劇場/国際通りてんぶす前広場
沖縄市:コザ・ミュージックタウン/コザゲート通り周辺
その他:北谷町はじめ県内各所
※開催期間中はなるべく公共交通機関をご利用ください。
第7回となる今回は、名称を「島ぜんぶでおーきな祭」にリニューアルをし、3月25日(水)から29日(日)まで、県内北から南、離島までを巻き込んだ祭典としてスケールアップします。国内外からの秀逸な映画作品の上映、音楽・お笑いイベントを県内中で開催。また映画祭の華であるレッドカーペットは、沖縄市でも初開催するほか、那覇市国際通り、宜野湾メイン会場でも実施いたします。3月12日には、那覇市国際通りによしもと沖縄花月、沖縄おもろお化け屋敷(仮)がオープンします。
詳しくはオフィシャルホームページでご確認ください!
「島ぜんぶでおーきな祭-第7回沖縄国際映画祭-」オフィシャルサイト
1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です!」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため(中退)、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。
1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。