『天空の蜂』永瀬匡【第92回:イケメン調査隊】
イケメン発掘調査隊
Q:超巨大ヘリから少年を救出する航空自衛隊員・上条を演じましたが、オファーを受けたときのお気持ちは?
実は、僕の亡くなった祖父が航空自衛隊員だったんです。だからすごくうれしかったんですよ。もしも祖父が存命だったら、今回の役を喜んでくれたでしょうね。撮影に入る前に祖母から祖父の話を聞いて、役づくりの参考にしました。
Q:運命的なものを感じたのではないですか?
それはあります。個人としても俳優としても、すごく意味のある作品に出会えたような気がします。この映画の上条は、少年のためにアクロバティックな救出作戦をやってのけますが、自分には上条ほどの根性があるのか、正直なところ自信がないです。でも、祖父に恥じないように演じたいなと思いました。
Q:あの緊迫した上空の救出シーンは、どのように撮影したのでしょう?
基本はグリーンバックだったので、自分の置かれている状況を頭の中で作り上げながら演じました。この上は空だとか、下はこうなっているとか。ただ、上空で大変なことをやっているという意識はまったくなかったです。それよりも、「なんとしてでも少年を助けたい」という上条の気持ちを大切にするようにしました。
Q:VFXを駆使して完成した映像は、想像通りのものでしたか?
自分が想像していたビジュアルとのギャップは、あまりなかったんですけど、すごい臨場感でした。ストーリーも原発に携わるいろいろな立場の人の思いが伝わってきて、考えさせられました。自分が身を削ってでも守りたいものは何なのか、この作品を観る方にも考えてもらえたらうれしいです。
Q:堤幸彦監督の現場はいかがでしたか?
とても和やかでした。堤監督がジョークをおっしゃたり、江口洋介(ヘリの設計士・湯原役)さんに「その眉毛、描いてるの?」とか言われたりしていました(笑)。描いているわけじゃないんですけど(苦笑)。あと、本木雅弘(原子力機器設計士・三島役)さんが休憩中に子役さんの相手をされていて、とても優しい表情をされていたのが印象に残っています。
Q:そんな映像界の先輩方から、何を学びましたか?
江口さん、本木さんをはじめ、皆さんの演技が素晴らしくて、自分が役者としてどうあるべきなのか、改めて考えました。例えば、どんなに良い表情をしてもカメラに映らないと意味がない。どこから撮られているのか把握して、ちゃんとその角度に自分がいることって大事なのではないかと思うんです。そういったことも理解した上で、気持ちをセリフに込めていきたいと思いました。
Q:好きな映画を教えてください。
『ドライヴ』と『セブン・サイコパス』。あとは……『フランキー・ワイルドの素晴らしき世界』。『ドライヴ』の主人公がカッコよくて、あんな男に憧れます。映像もすごくカッコいい。あの、暗闇の中に光が差し込むような世界観がたまらなく好きです。『フランキー・ワイルドの素晴らしき世界』は、耳の聞こえないカリスマDJのドラマで、音を視覚化して表現しているところが面白いなと思いました。
Q:影響を受けた役者さんといえば?
渡辺謙さんです! 日本も世界も区別なくやっていらっしゃるスタンスに憧れます。この間、『ズタボロ』という映画で奥さんの南果歩さんと共演させていただいたんですけど、本当にステキな奥様でうらやましい(笑)。
Q:永瀬さんご自身は、どんなパートナーがいいと思います?
んー、どんな人がいいのかなあ……。やっぱり、話が面白い女性がいいですね。すごくしゃべる人ということではなくて、その人が話すことで自分が興味を持てることもあるだろうし、自分が話したくなることもある。一緒にいることに意味が感じられる人。外見よりも内面が気になりますね。じっくりと時間をかけて相手を知りたいです。
Q:では、ひと目ボレすることはあまりない?
それはあります。それはしょうがないですよ(笑)。まあ、あんまりないですけど。
Q:そうなったら、自分から積極的に行動するタイプですか?
行くときは行きますね。タイミングさえ合えば。でも、その先は時間をかけて相手を知っていきたいので、出会ってから早い段階で結論を出すことはないと思います。
Q:自分の性格を一言で説明するとしたら?
はっきりとモノを言う。すぐ顔に出ちゃうし、何でも言ってしまう。だからモテないんです(苦笑)。この間も、年上の女性に「永瀬くんって若いね。わたしは年だから」って言われたときに、ツッコミのギャグとして「オバサンやないかい!」って言ったら、傷つけちゃったみたいで。もちろん、本当はオバサンだなんて思っていなかったんですよ。申し訳なかったです。
Q:ツッコまずにはいられない性分なんですね(笑)。
そうなんです。あと、サングラスをしている人がいて、「昨日、すごく泣いたから目が腫れちゃって」と言うので、「僕、そんなの気にしないですから外してくださいよ」って言っておいて、相手が「そお?」ってサングラスを外した瞬間に、「腫れてるやないかい!」ってツッコミを入れて不機嫌な顔をされてしまったり(笑)。ギャグでやっているのだということを、理解してもらえたら助かります。
Q:休日は、何をしているときが一番楽しいですか?
「仮面ライダーウィザード」で一緒だった戸塚純貴くんという親友がいるんですけど、休みの日は彼と映画を観に行ったり、食事をすることが多いんです。二人で何げない会話をしたりとか、そんなときが楽しいです。
Q:この先、どんな俳優になりたいですか?
その物語の世界でリアルに生きるのはもちろんですが、作品を観てくださる方にきちんとメッセージを届けられる俳優になりたいです。ただがむしゃらにやるだけでなはなく、その作品の中で自分がどう存在するべきなのか、追求していきたいです。
映画『天空の蜂』は9月12日より全国公開
取材・文:斉藤由紀子 写真:上野裕二
スタイリスト:関敏明
サイドゴアブーツ:KIDS LOVE GAITE
映画『天空の蜂』
人気作家・東野圭吾が原子力発電所を題材に1995年に発表した傑作小説を、堤幸彦監督が映画化した社会派サスペンス。最新鋭の大型ヘリを手に入れたテロリストが、日本全国の原発の停止を求め稼働中の原発上空でホバリングさせるテロ事件を描く。困難な直面に立ち向かうヘリコプター設計士を江口洋介、原子力機器の設計士を本木雅弘が演じ、初めての共演を果たす。東日本大震災による原発事故を経験した日本において、改めて社会と人間の在り方を問う衝撃作。
生年月日:1993年1月22日
出身地:鳥取県
身長:176cm
血液型:A型
趣味:音楽鑑賞・歌・英会話
特技:ダンス・バスケットボール
芸歴:2013年、テレビドラマ「仮面ライダーウィザード」の仮面ライダービースト役でブレイク。その後、テレビドラマ「心がポキッとね」「ナポレオンの村」、映画『好きっていいなよ。』などの話題作に出演。2015年には、松田翔太の主演作『ワルボロ』の続編となる映画『ズタボロ』で初主演を果たす。不良少年から正統派ヒーローまで、さまざまな役柄に挑戦中。