ちょっと気の早い!第88回アカデミー賞ノミネート予想
今週のクローズアップ
今年も残すところ1か月ちょっと。年に一度のアワードシーズンが近づいてきました。今週のクローズアップでは、ちょっと気が早いけれど、第88回アカデミー賞のノミネートを大予想! 必ずや賞に絡んでくるであろう注目の10作品をご紹介します。
ディカプリオ悲願のオスカー受賞なるか
『レヴェナント:蘇えりし者』
【監督】アレハンドロ・G・イニャリトゥ 【出演】レオナルド・ディカプリオ、トム・ハーディ 【日本公開日】2016年4月
レオナルド・ディカプリオを主演に迎え、第87回アカデミー賞で作品賞・監督賞を含む最多4冠に輝いた『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』のアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督がメガホンを取った注目作。狩猟中に熊に喉を裂かれ瀕死の重傷を負ったハンターのヒュー・グラス(ディカプリオ)は、自分を置き去りにした狩猟チームの仲間(トム・ハーディ)に復讐するため、大自然の脅威の中で壮絶なサバイバルを繰り広げる。音楽は坂本龍一が手掛ける。
これまで4度アカデミー賞にノミネートされるも、いまだ無冠のディカプリオが、休業宣言を覆して出演を快諾した本作。イニャリトゥ監督は究極のリアリティーを追求するため、極寒の地で撮影を敢行。ディカプリオとハーディを本気で格闘させ、ディカプリオの鼻が折れるもそのまま撮影を続行し、二人の迫真の演技を極限まで引き出したという。本年度の大本命との呼び声高く、レオ様悲願の受賞もある?
女性同士の禁断の愛に待ち受ける運命は
『キャロル』
【監督】トッド・ヘインズ 【出演】ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラ 【日本公開日】2016年2月11日
「太陽がいっぱい」などで知られる作家パトリシア・ハイスミスの小説を原作に、同性ながらも強く惹(ひ)かれ合う女性たちに待ち受ける運命を追うラブロマンス。『ブルージャスミン』で2度目のオスカーに輝いたケイト・ブランシェットと、『ドラゴン・タトゥーの女』で主演女優賞ノミネート経験のあるルーニー・マーラが共演を果たした。メガホンを取ったのは『アイム・ノット・ゼア』のトッド・ヘインズ監督。ケイトとルーニーは劇中で女性同士のラブシーンにも挑戦した。
洗練された美しさを持ち、どこかミステリアスな雰囲気を醸すキャロルにふんしたケイトと、彼女に出会い生まれて初めて本当の恋をしていると実感するテレーズを演じたルーニー。二人の主演女優賞&助演女優賞ノミネートはほぼ確実! ケイトの3度目の受賞にも期待したいところだけど、個人的には自分の気持ちに戸惑いながらも一歩を踏み出す女性の心を繊細かつ大胆に体現したルーニーに一票。ルーニーは本作でカンヌ国際映画祭女優賞も獲得している。
スピルバーグ×トム・ハンクス×コーエン兄弟の最強タッグ
『ブリッジ・オブ・スパイ』
【監督】スティーヴン・スピルバーグ 【出演】トム・ハンクス、マーク・ライランス 【日本公開日】2016年1月8日
スティーヴン・スピルバーグとトム・ハンクスが4度目のタッグを組み、『ノーカントリー』などのジョエル&イーサン・コーエン兄弟が脚本を手掛けたサスペンス。舞台は、アメリカとソ連が世界を二分して対立し、一触即発の冷戦状態にあった1950~60年代。スパイ容疑をかけられた男の弁護を引き受けたことをきっかけに、世界の平和を左右する重大な任務を委ねられることになる弁護士ドノヴァンを名優トム・ハンクスが演じる。
作品賞などに加えて期待したいのが、主人公ドノヴァンが弁護を担当するロシア人スパイで、次第に彼と不思議な絆で結ばれていくアベルを好演したマーク・ライランスの助演男優賞。マークはイギリス出身の舞台俳優で、テレビや映画でも活躍。今年のエミー賞に8部門ノミネートされた歴史ドラマ「ウルフ・ホール」では主演を務め、自身も主演男優賞(リミテッドシリーズ/テレビムービー部門)にノミネートされた。スピルバーグの次回作『The BFG(原題)』にも出演する。
スティーブ・ジョブズの生きざまを再び映画化
『スティーブ・ジョブズ』
【監督】ダニー・ボイル 【出演】マイケル・ファスベンダー、ケイト・ウィンスレット、セス・ローゲン、ジェフ・ダニエルズ 【日本公開日】2016年2月
テクノロジーの常識を変えたアップル社の共同創始者、スティーブ・ジョブズの生きざまを、『スラムドッグ$ミリオネア』のダニー・ボイル監督と『ソーシャル・ネットワーク』の脚本家アーロン・ソーキンのタッグで新たに映画化。『プロメテウス』などのマイケル・ファスベンダーがジョブズを、ケイト・ウィンスレットが元マッキントッシュのマーケティング主任を熱演する。
1984年のMacintosh、アップル社を追われて作った1988年の NeXT Cube、アップル社に復帰して発表した1998年のiMacという三つの重要な局面にフォーカスし、娘との確執と和解というプライベートにも真正面から切り込んだ本作。作品賞・主演男優賞(ファスベンダー)・助演女優賞(ウィンスレット)・脚色賞ノミネートは堅そう。混戦が予想される監督賞はどうなるか。
女性に性転換した実在の画家とその妻の物語
『リリーのすべて』
【監督】トム・フーパー 【出演】エディ・レッドメイン、アリシア・ヴィキャンデル、ベン・ウィショー、アンバー・ハード 【日本公開日】2016年3月18日
自分らしく生きるために最愛の妻と共にこれまで誰も歩んだことのない道を模索し、トランスジェンダーの先駆者といわれるデンマークに実在した画家リリー・エルベの生涯と、驚くほど深淵で稀有な夫婦の愛を描いた物語。『博士と彼女のセオリー』で主演男優賞に輝いたエディ・レッドメインが主人公リリーにふんし、『レ・ミゼラブル』のトム・フーパー監督と再タッグを組んだ。
男性から女性に性転換する難しい役どころに挑んだエディの主演男優賞はもちろんのこと、献身的な愛で夫を支える妻ゲルダを演じたスウェーデン出身のアリシア・ヴィキャンデルの助演女優賞ノミネートは確実といえそう。アリシアは公開中の映画『コードネーム U.N.C.L.E.』に出演しているほか、ルイ・ヴィトン2015年秋冬の広告キャンペーンに起用されるなど大注目の女優だ。