ちょっと気の早い!第88回アカデミー賞ノミネート予想(2/2)
今週のクローズアップ
火星に一人取り残された男の決死のサバイバル
『オデッセイ』
【監督】リドリー・スコット 【出演】マット・デイモン、ジェシカ・チャステイン、クリステン・ウィグ 【日本公開日】2016年2月5日
『ブレードランナー』などで知られる巨匠リドリー・スコットが、『ボーン』シリーズなどのマット・デイモンと初タッグで描くSF超大作。火星での有人探査の最中、猛烈な嵐に巻き込まれて死亡したと推測され、火星に一人取り残された宇宙飛行士の決死のサバイバルと、彼を助けようとするNASAスタッフやチームメンバーたちの奮闘を描く。
以前はオスカーと相性が悪いといわれていたSF作品だが、近年では『ゼロ・グラビティ』が7冠に輝くなど傾向は変わりつつある。本作は批評家からの評価も高く、作品賞・監督賞ノミネート有力。どんな状況でもユーモアと希望を失わず、決して諦めない主人公ワトニーを好演したマットの主演男優賞にも期待がかかる。
神父による児童性的虐待を暴いた記者たち
『スポットライト(原題) / Spotlight』
【監督】トーマス・マッカーシー 【出演】マイケル・キートン、マーク・ラファロ、レイチェル・マクアダムス 【日本公開日】未定
アメリカ・ボストンにおけるカトリック教会の神父たちによる児童性的虐待と、それが数十年にわたって組織的に隠ぺいされてきたという恐るべき事実を暴いたボストン・グローブ紙の記者たちを描いたドラマ。『カールじいさんの空飛ぶ家』の原案者としても知られるトーマス・マッカーシーが監督を務めた。
記者チーム“スポットライト”の面々にふんしたマイケル・キートン、マーク・ラファロらは助演でのノミネートが濃厚。前回、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』で主演男優賞の最有力とされながらも、涙を呑むこととなったマイケル・キートンのリベンジに期待。作品賞&監督賞ノミネートも間違いなし。
『世界にひとつのプレイブック』チームが再集結
『ジョイ(原題) / Joy』
【監督】デヴィッド・O・ラッセル 【出演】ジェニファー・ローレンス、ロバート・デ・ニーロ、エドガー・ラミレス、ブラッドリー・クーパー 【日本公開日】未定
『世界にひとつのプレイブック』のデヴィッド・O・ラッセル監督、ジェニファー・ローレンス、ロバート・デ・ニーロ、ブラッドリー・クーパーが再集結。“ミラクルモップ”などのアイデアグッズを発明した女性実業家ジョイ・マンガーノをモデルにしたドラマ。
主人公ジョイにふんするジェニファー・ローレンスは、25歳の若さですでに3度アカデミー賞にノミネートされ、『世界にひとつのプレイブック』では主演女優賞を受賞。『アメリカン・ハッスル』や『ザ・ファイター』でも高い評価を受けたデヴィッド・O・ラッセル監督の新作とあり、ジェニファーの主演女優賞に加え、作品賞や監督賞ノミネートも期待できるだろう。
製作中止の危機もあったタランティーノ最新作
『ザ・ヘイトフル・エイト(原題) / The Hateful Eight』
【監督】クエンティン・タランティーノ 【出演】カート・ラッセル、サミュエル・L・ジャクソン、ジェニファー・ジェイソン・リー、ティム・ロス、ブルース・ダーン、マイケル・マドセン 【日本公開日】未定
『キル・ビル』『ジャンゴ 繋がれざる者』などの鬼才クエンティン・タランティーノ監督がメガホンを取った西部劇。脚本が流出し、一時製作が中止になったことも話題に。南北戦争後の米ワイオミングを舞台に、吹雪で立ち往生し店に集まった賞金稼ぎらを描く。
“The Hateful Eight”(=憎らしい8人)を演じるのは、『デス・プルーフ in グラインドハウス』のカート・ラッセルや、『パルプ・フィクション』のサミュエル・L・ジャクソン、ティム・ロスら。そのうちの一人で紅一点のジェニファー・ジェイソン・リーは助演女優賞の候補として有力視されている。
誘拐され監禁された母親と、そこで生まれ育った息子
『ルーム(原題) / Room』
【監督】レニー・アブラハムソン 【出演】ブリー・ラーソン、ジェイコブ・トレンブレイ、ジョーン・アレン 【日本公開日】未定
誘拐され監禁された母親とそこで生まれ育った息子がその“部屋”を出て、外の世界に適応しようともがくさまを描く。マイケル・ファスベンダーがかぶり物をしたバンドマンにふんした『FRANK -フランク-』のレニー・アブラハムソン監督がメガホンを取った。
オスカーの前哨戦といわれるトロント国際映画祭では、最高賞にあたる観客賞を受賞。同賞にはこれまでも『それでも夜は明ける』『英国王のスピーチ』など、のちにアカデミー賞作品賞を受賞することになる作品が選ばれており、本作の動向も注目される。母親役のブリー・ラーソンは主演女優賞の最有力候補!
(編集部・中山雄一朗)