年末年始映画特集2021~配信オリジナル&独占編~
寒い冬、家でゆっくりと映画ざんまいはいかが? 年末年始の配信オリジナル作品には賞レースを盛り上げそうな作品が続々登場。休日にじっくり浸りたい重厚なドラマや、LGBTQの恋を描いたハッピーなコメディー、スターたちの競演が話題の作品など、バラエティーに富んだラインナップを紹介します!(文・岩永めぐみ)
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
監督・脚本:ジェーン・カンピオン
キャスト:ベネディクト・カンバーバッチ、キルステン・ダンスト
128分
『ピアノ・レッスン』などのジェーン・カンピオン監督がメガホンを取り、複雑な人間性を持つカウボーイの心の機微をベネディクト・カンバーバッチが熱演する重厚なヒューマンドラマ。頭はキレるが独善的な牧場主のフィルは、弟の新妻とその息子ピーターに冷酷にあたる。しかし、男らしさに囚われているフィルの秘密が明かされ、繊細なピーターとの距離が縮まるにつれ、予測のつかないスリリングな展開が加速していく。ベネチア国際映画祭では銀獅子賞(最優秀監督賞)をジェーン・カンピオンが受賞。アカデミー賞の前哨戦の一つと言われるニューヨーク映画批評家協会賞でも監督賞・主演男優賞・助演男優賞などを獲得するなど、今後の賞レースの注目株となっている。
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『シングル・オール・ザ・ウェイ』
監督:マイケル・メイヤー
キャスト:マイケル・ユーリー、ファイリーモン・チェンバーズ
101分
自分の気持ちに素直になれない男性同士の恋を描いた、クリスマス感満載のラブコメディー。クリスマス休暇を迎えた主人公のピーターは、親友で同居人のニックに家族の前で恋人のフリをしてもらうことにするが、母親は息子と地元のスポーツジムのトレーナーとのデートをセッティングしていた。監督はトニー賞を受賞したミュージカル「春のめざめ」を演出したマイケル・メイヤー 。メイヤー監督と主演のマイケル・ユーリー、ファイリーモン・チェンバーズはゲイであることを公表済みで、LGBTQの恋愛を温かなユーモアを交えて描写。想い合っているのに気持ちがすれ違う二人を、彼らを取り囲む登場人物たちと一緒に応援したくなる!
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「ウェルカム・トゥ・アース あなたの知らない地球」
製作総指揮:ダーレン・アロノフスキー、ジェーン・ルート
キャスト:ウィル・スミス
『メン・イン・ブラック』シリーズなどの俳優ウィル・スミスをナビゲーターに、「ナショナル ジオグラフィック」の制作チームとタッグを組んで地球の神秘に迫ったドキュメンタリー。「登山をしたことがない」「湖で泳いだこともない 」と本人が言うように、これまではアウトドアな活動に無関心だったウィルが、探検家に案内されてときに過酷で危険な冒険に挑戦。アイスランドやナミビア、タンザニアなど世界各地を旅し、個人では訪れることが困難な深海や砂漠といった壮大な自然を案内する。地球の歴史や、自然の脅威や神秘を感じさせる圧倒的な光景に思わず息をのむ。
>>ドキュメンタリーシリーズ「ウェルカム・トゥ・アース あなたの知らない地球」1~6」はDisney+ (ディズニープラス)にて独占配信中
『浅草キッド』
監督・脚本:劇団ひとり
キャスト:大泉洋、柳楽優弥
123分
芸人ビートたけしの若き日々を、劇団ひとりが監督を務め、大泉洋と柳楽優弥の共演で描いた青春ドラマ。浅草の演芸場「フランス座」の舞台に立つ伝説の芸人・深見千三郎に弟子入りしたタケシは、修行に励み、芸の道を邁進していた。しかし、テレビの台頭で演芸場が衰退していき、悩んだ末にある決断をする。師匠の深見に大泉が、タケシに柳楽がふんし、門脇麦、土屋伸之、鈴木保奈美などが共演。芸人であり監督でもある劇団ひとりならではの敬愛のこもったまなざしで描かれた、浅草の愛すべき登場人物たちの生きざまや、師匠とタケシの粋なやり取りが涙を誘う。
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『消えない罪』
監督:ノラ・フィングシャイト
キャスト:サンドラ・ブロック、ジョン・バーンサル
114分
『しあわせの隠れ場所』や『ゼロ・グラビティ』などのサンドラ・ブロックが、刑務所を出所したばかりの女性を演じる社会派ドラマ。殺人罪で20年の服役を終え、社会に復帰したルース・スレイター(サンドラ・ブロック)。世間の冷たい目や卑劣な言葉がルースを苦しめる中、彼女は事件後に生き別れて連絡の途絶えた幼かった妹を捜そうとする。犯罪者の社会復帰というヘビーなテーマに向き合い、本来の華やかなオーラを完全封印して終始思い詰めた表情をしたサンドラの熱演は見応えあり。ルースが起こした事件に隠された、あまりにも悲しい真実に胸が苦しくなる。
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『The Hand of God』
監督・脚本:パオロ・ソレンティーノ
キャスト:フィリッポ・スコッティ、トニ・セルヴィッロ
130分
『グレート・ビューティー/追憶のローマ』でアカデミー賞外国語映画賞を受賞したイタリアの名匠パオロ・ソレンティーノ監督が、自身の10代のころをモチーフにした物語。タイトルはサッカー選手のディエゴ・マラドーナの物議をかもしたプレーが由来。1980年代のナポリを舞台に、サッカーに夢中だった少年が家族の悲劇を体験し、やがて映画製作への夢を抱く。ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員大賞)を受賞、来年のアカデミー賞外国語映画賞イタリア代表にも選ばれている本作。少年の喪失と再生の物語を軸に、随所に散りばめられた大家族の強いきずなやイタリア女性たちの魅力、ナポリの景色といった美しいシーンに引き込まれる。
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12月3日より一部劇場にて公開
>>Netflix映画『The Hand of God』は12月15日より独占配信
『スワン・ソング』
監督・脚本:ベンジャミン・クリアリー
キャスト:マハーシャラ・アリ、グレン・クローズ
111分
不治の病で死期が迫り、愛する家族のためにクローンを作ろうとする主人公を描くSFドラマ。医師は患者のキャメロン・ターナーに妻子に悲しい思いをさせないようにとクローン実験を提案し、彼も一度はその提案を受け入れる。主演は『ムーンライト』と『グリーンブック』でアカデミー賞助演男優賞を獲得したマハーシャラ・アリで、『007』シリーズなどのナオミ・ハリスや『天才作家の妻 -40年目の真実-』などのグレン・クローズらが共演。監督は『僕はうまく話せない』でアカデミー賞短編映画賞を受賞したベンジャミン・クリアリーで、長編監督は本作が初となる。愛と犠牲について考えさせられる感動的な物語。
>>『スワン・ソング』はApple TV+にて12月17日より独占配信
『ドント・ルック・アップ』
監督・製作・脚本:アダム・マッケイ
キャスト:レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・ローレンス
145分
レオナルド・ディカプリオやジェニファー・ローレンスなどの豪華競演が話題のコメディー。レオとジェニファーが演じる天文学者と大学院生が、地球に接近中の巨大彗星(すいせい)を発見! 大統領やニュースキャスターに人類滅亡の危機を訴えるもまともに相手にしてもらえず、何としても世界に知らせようと奔走する。メガホンを取ったのは、『マネー・ショート 華麗なる大逆転』などのアダム・マッケイ。共演陣もメリル・ストリープやケイト・ブランシェット、ティモシー・シャラメなど主役級がズラリ。ハリウッド屈指の実力派スターたちが繰り広げる演技合戦から目が離せない。
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12月10日より一部劇場にて公開
>>Netflix映画『ドント・ルック・アップ』12月24日より独占配信
『愛すべき夫妻の秘密』
監督・脚本:アーロン・ソーキン
キャスト:ニコール・キッドマン、ハビエル・バルデム
125分
1950年代にアメリカで放送された人気番組で、日本でも放送された往年の人気コメディーテレビドラマ「アイ・ラブ・ルーシー」の舞台裏を描いたドラマ。番組で夫婦を演じ、私生活でも夫婦だったルシル・ボールとデジ・アーナズにふんするのは、『スキャンダル』などのニコール・キッドマンと『ノーカントリー』などのハビエル・バルデム。ルシルとデジが、キャリアとプライベートの両方にとっての危機に直面する。脚本を手掛けた『ソーシャル・ネットワーク』や監督を務めた『シカゴ7裁判』など、実在の人物を描くことに定評のあるアーロン・ソーキンが監督・脚本を担当。お茶の間の人気者の裏の顔を引き出す、彼の手腕に期待したい。
Amazon Original映画『愛すべき夫妻の秘密』12月21日より独占配信
『ロスト・ドーター』
監督・脚本:マギー・ギレンホール
キャスト:オリヴィア・コールマン、ジェシー・バックリー
122分
女優のマギー・ギレンホールがメガホンを取り、ベネチア国際映画祭最優秀脚本賞などを受賞した心理ドラマ。原作は「ナポリの物語」シリーズなどで知られるイタリアの作家エレナ・フェッランテの小説。バカンスのために海辺の町をひとりで訪れた中年女性が、若い母娘と出会ったことにより、過去の苦い思い出がよみがえり、不安に駆られる。主演は『女王陛下のお気に入り』でアカデミー賞主演女優賞に輝いたオリヴィア・コールマンで、ダコタ・ジョンソンやマギーの夫でもあるピーター・サースガードなどが出演。大作からインディペンデント作までさまざまな作品に出演してきたマギーの初長編作を目にするのが待ち遠しい。