GW映画特集2022~配信オリジナル&独占編~
いよいよゴールデンウィークが到来する。久々に旅行へ出かけようという人もいれば、おうち時間をまったり過ごしたいという人も少なくないだろう。そこで今回は、話題の国内外ドラマシリーズからサスペンス、コメディー、ドキュメンタリーなどの映画まで、充実しまくった最新の配信オリジナル作品を厳選してご紹介しよう。(文・なかざわひでゆき)
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「ムーンナイト」
監督:モハメド・ディアブ、ジャスティン・ベンソンほか
キャスト:オスカー・アイザック、メイ・キャラマウィ
全6話
「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」や「ホークアイ」に続く、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のドラマシリーズ。主人公は博物館のギフトショップで働く小心者で心優しい男性スティーヴン(オスカー・アイザック)。実は、彼には屈強な元傭兵マーク・スペクターという別人格が存在し、そのマークが古代エジプトの月の神コンスと契約したことから、罪を犯した悪人だけを殺すスーパーヒーロー、ムーンナイトとして活躍する。二重人格のスーパーヒーローというのは恐らく前代未聞。同じ肉体を共有する非暴力主義のスティーヴンと好戦的なマークが、お互いに反目しながらもカルト教団を相手に戦うという設定が面白く、シリアスとユーモアのサジ加減も絶妙だ。
『オールド・ナイフ ~127便の真実~』
監督:ヤヌス・メッツ
キャスト:クリス・パイン、タンディ・ニュートン
102分
イスラム過激派による旅客機ハイジャック事件が発生。CIAウィーン支局による救助作戦もむなしく、犯人、乗員乗客の全員が犠牲となってしまう。それから8年後、CIA本部は当時の作戦チームにテロリストの内通者がいたとの情報をつかみ、真相究明を任された捜査官ヘンリー(クリス・パイン)は、鍵を握る当時の同僚シリア(タンディ・ニュートン)と対峙することになる。この主人公2人が実は元恋人というのがミソで、お互いへの複雑な思いを絡ませつつ、やがて驚きの真実が解き明かされていく。会話劇が中心の渋いスパイサスペンス映画だが、そのヒリヒリとした緊張感は格別。スパイの世界の非情さを痛感させられる作品だ。
「アウターレンジ~領域外~」
監督:ブライアン・ワトキンス
キャスト:ジョシュ・ブローリン、イモージェン・プーツ
全8話
ブラッド・ピット率いる制作会社プランBエンターテインメントが手掛けたドラマシリーズ。アメリカ・ワイオミング州で広大な牧場を経営する中年男性ロイヤル(ジョシュ・ブローリン)は、息子の妻の失踪事件や近隣の牧場主とのトラブルに悩まされていたところ、領地内に謎の巨大な穴を発見する。この突如として現れた穴はいったい何なのか? 牧場周辺で起きている不可解な出来事と関係があるのか? まさに謎が謎を呼ぶようなストーリー展開で、この手のSFミステリーを見慣れた視聴者でも先を読むのはなかなか難しいだろう。リリ・テイラーにイモージェン・プーツという通好みの脇役キャストも魅力的だ。
「彼女達が、キレた時」
監督:セシリア・アハーン
キャスト:ニコール・キッドマン、シンシア・エリヴォ
全8話
エミー賞のコメディーシリーズ部門作品賞にもノミネートされた女子プロレス・ドラマ「GLOW:ゴージャス・レディ・オブ・レスリング」の製作チームによる最新作。エピソードごとに独立したアンソロジー形式のドラマシリーズである。いずれも主人公は女性。夫のオフィスで文字通りのトロフィー・ワイフとして飾られる美人妻など、どこかシュールで寓話的なストーリーを通して、現代女性の多くが直面するさまざまな問題が浮き彫りにされていく。第2話では製作総指揮を兼ねる女優ニコール・キッドマンが「写真を食べる女」として登場。斬新な切り口のフェミニスト・ドラマだ。
「ヒヤマケンタロウの妊娠」
監督:箱田優子、菊地健雄
キャスト:斎藤工、上野樹里
全8話
なかなか解消されない男女のジェンダーギャップが問題視される昨今、これは作られるべくして作られたドラマシリーズと言えるかもしれない。舞台は女性だけでなく男性も妊娠するようになった世界。独身生活を謳歌(おうか)するエリートサラリーマンの桧山健太郎(斎藤工)が、予期せぬ妊娠を告げられたことから、キャリア志向の恋人・亜季(上野樹里)も巻き込んでさまざまなトラブルに直面していく。妊娠・出産に伴うキャリアの選択や周囲の偏見・無理解との闘いなどなど、男女の立場を逆転させることによって、現実社会で女性たちが強いられている負担が、男性にもわかりやすく可視化されるという仕掛けだ。カップルで楽しむにもうってつけの映画だ。
「TOKYO VICE」
監督:マイケル・マンほか
キャスト:アンセル・エルゴート、渡辺謙
全10話
舞台はバブル時代の勢いが残る華やかな1990年代の東京。日本の大手新聞社に入ったアメリカ人青年が、警察担当の記者として取材を重ねていくうち、裏社会の人々がうごめく危険な世界へと足を踏み入れていく。外国人の目から見た東京の知られざるアンダーグランドを描いた日米合作ドラマ。製作総指揮と第1話監督にハリウッドの名匠マイケル・マンが携わっており、彼らしいスタイリッシュなノワールムードも存分に味わえる。日本語のセリフも流暢にこなす『ウエスト・サイド・ストーリー』のアンセル・エルゴートと、渡辺謙や菊地凛子、伊藤英明といった日本人キャストの共演も大きな見どころだ。
『知られざるマリリン・モンロー:残されたテープ』
監督:エマ・クーパー
キャスト:マリリン・モンロー、ローレン・バコール
101分
『七年目の浮気』や『お熱いのがお好き』など数々の名作映画に主演し、20世紀を代表するセックス・シンボルとして世界中で愛されながらも、1962年に36歳という若さで亡くなったハリウッド女優マリリン・モンロー。その死は自殺とされているものの、しかし長年に渡ってさまざまな憶測や陰謀説がまことしやかに噂されてきた。本作はこれまで未公開だった関係者の証言テープを基に、最後の数週間に何があったのかを多角的に検証しつつ、伝説のベールに包まれたモンローの素顔をひもといていくドキュメンタリー。映画ファン必見の秘蔵映像もたっぷりと盛り込まれている。
「シャイニング・ガール」
監督:ミシェル・マクラーレン、エリザベス・モスほか
キャスト:エイミー・ブレネマン、フィリッパ・スー
全8話
1990年代のシカゴ。新聞社に勤める女性カービー(エリザベス・モス)は、過去に巻き込まれた事件のトラウマに悩まされている。ある時、地元で残酷な殺人事件が発生。自分の事件との関連性を知った彼女は、先輩記者ダン(ワグネル・モウラ)と共に犯人を追跡する。いわゆる猟奇サスペンスに謎めいたSF要素を加味したところがユニークなドラマシリーズ。製作総指揮を兼ねる「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」などの女優エリザベス・モスの大熱演はもちろんのこと、何十年にも渡って殺人を繰り返している連続殺人鬼役ジェイミー・ベルの怪演も要注目である。
「ステーション・イレブン」
監督:パトリック・サマーヴィル
キャスト:マッケンジー・デイヴィス、ヒメーシュ・パテル
全10話
バラク・オバマ元米大統領も認めたカナダの小説家、エミリー・セントジョン・マンデルの世界的ベストセラー小説を映像化したドラマシリーズ「ステーション・イレブン」。新型ウィルスのパンデミックによって文明社会が崩壊して20年後、旅回りの楽団のメンバーとして巡業する女優キルステンを主人公に、過去と現在の時間軸を行き来しながら、生存者たちの複雑な人間模様とサバイバルが描かれていく。サスペンスにユーモアとヒューマニズムを交えた作風は、あまたのディストピア物と一線を画すポイント。失われた過去への思いと、新たな社会への希望が大きな感動を生む。主演は『ターミネーター:ニュー・フェイト』のマッケンジー・デイヴィス。『モーターサイクル・ダイアリーズ』などのガエル・ガルシア・ベルナルも顔を出す。
『君と一緒に過ごした夏』
監督:ソフィア・アルバレス
キャスト:エマ・パサロウ、ベルモント・カメリ
107分
ティーン・コメディー『好きだった君へ』シリーズの脚本家ソフィア・アルバレスが監督を手掛けた青春映画。大学進学を控えた優等生の少女オーデン(エマ・パサロウ)は、再婚した父親が住む海辺の町で夏休みを過ごすこととなり、そこで風変わりな若者イーライ(ベルモント・カメリ)と知り合う。子供らしい少女時代を過ごしたことのないヒロインが、ひと夏の恋と冒険を通して自由気ままな青春を謳歌し、やがて大人への階段をのぼり始める。これぞまさしく王道的な青春映画といった感じで、主演の若手コンビも爽やかで魅力的。アンディ・マクダウェルやケイト・ボスワースなどのベテラン勢が脇を固める。