GW映画特集2022~劇場邦画編~
今年のゴールデンウィークも、邦画はにぎやか。親子の愛情やピュアなラブストーリー、背筋の凍るサイコサスペンスからドキドキが止まらないホラー、考えさせられる社会派など、多彩です。世界に没入して楽しめるオススメ作品をピックアップしました!(文・早川あゆみ)
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『とんび』公開中
直木賞作家・重松清の同名大ベストセラー小説を、阿部寛と北村匠海で映画化。『護られなかった者たちへ』の瀬々敬久監督がメガホンを取り、薬師丸ひろ子、杏、安田顕ら実力派が脇を固めた。ヤス(阿部)は不器用な頑固者。突然の事故で妻を亡くすが、周囲の温かい人情のおかげで息子アキラ(北村)を育てている。とんびが鷹を生んだようだとアキラを自慢に思うヤスだったが、アキラが大学進学のために家を出ることが決まると、寂しさから突き放してしまった。“古き良き”という言葉がぴったりの、人情味あふれる親子三代の絆の物語。過去に2度テレビドラマ化されているが、今回は原作にもない令和の時代までを描く。
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『チェリまほ THE MOVIE ~30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい~』公開中
女性経験のないまま30歳を迎えたことで人の心を読む魔法を手に入れ、有能で完璧な同期・黒沢の自分への恋心を知ってしまった安達の葛藤と、2人の恋愛模様を描いたBLコメディーの映画化。テレビドラマ版はTwitterで世界トレンド5位を記録するなど国内外で大ヒット、演じた赤楚衛二と町田啓太を大ブレイクに導いた。映画では、キャストと温かい世界観はそのままに、安達の転勤と事故によるすれ違いと和解、さらにこの先の未来を一緒に生きるためにどうするのかという現実的な課題に2人が直面する。コメディー部分は影を潜め、誰もが自分らしく生きられる世界を求めたヒューマンドラマの側面も。人を愛することの純粋さや優しさに癒される。
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『N号棟』4月29日公開
2000年に岐阜県で実際にあった「幽霊団地事件」をモチーフにした体験型ホラー。心霊現象で話題になった廃団地で卒業制作のホラー映画を撮ろうとする史織、啓太、真帆。ロケハンに訪れた無人のはずのそこには、なぜか多くの住人がいた。激しいラップ音など怪現象が続くが彼らはそ知らぬ顔。あげく住人が自殺してしまうが、なぜか無かったことになっていた。住人たちは言葉巧みに啓太と真帆を取り込み、史織は孤立してしまう。主演は『成れの果て』の萩原みのりで、ドラマシリーズ「世にも奇妙な物語」を多く手掛けた後藤庸介が脚本と監督をつとめた。霊的恐怖と人間の怖さがミックスされ、得体のしれない怖さに包まれる。
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『機界戦隊ゼンカイジャーVSキラメイジャーVSセンパイジャー』4月29日公開
2022年3月まで放送されていたスーパー戦隊シリーズ第45作「機界戦隊ゼンカイジャー」を中心に、その前年の「魔進戦隊キラメイジャー」と、先輩レッドたちの「センパイジャー」が奇跡の共闘を果たす“VSシリーズ”の通算28作目。最終回で並行世界に旅立った五色田介人(駒木根葵汰)らゼンカイジャーたちだったが、なぜか怪人の攻撃を受けて焼肉屋空間に連れ込まれ、焼肉を食べて、ダンスをして、カレーを食べて、また焼肉を食べるはめに!? 駒木根は放送中の「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」でもおなじみ。キャプテン・マーベラス役の小澤亮太と夜野魁利役の伊藤あさひも参戦! にぎやかに楽しめるお祭りムービーだ。
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『劇場版ラジエーションハウス』4月29日公開
2019年に連続テレビドラマとして放送され、2021年にはシーズン2が作られた話題作の劇場版。放射線技師という医療の裏方にあたる“病の写真家”に焦点を当てた視点が新鮮で、さらにバラエティーに富んだキャラクターたちも人気を博した。映画では、放射線科医・杏(本田翼)が大型台風で孤立した島で未知の感染症と対峙。何とか助けたいと奮闘する主人公の唯織(窪田正孝)ら“チームラジハ”メンバーの姿を中心に、交通事故で妻とおなかの子が生死をさまよう夫(山崎育三郎)の葛藤など、命と未来の物語が展開される。裕乃(広瀬アリス)の唯織への秘めた思いや、じれったいほどゆっくりだった唯織と杏の恋模様にも進展あり!?
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『ツユクサ』4月29日公開
『かもめ食堂』『めがね』などの小林聡美が主演するヒューマンドラマ。海辺の小さな町で、気の置けない友人たちや小学生の親友と楽しく過ごしたり、隕石(いんせき)がぶつかる奇跡を体験したりしながら、穏やかに暮らす芙美(ふみ)。時折、悲しい過去が見え隠れするものの、引っ越してきた篠田との恋の予感も訪れる。篠田役の松重豊、友人を演じる平岩紙、江口のりこらの芝居が心地よく、スクリーンに広がる海辺の街の風景にも癒される。『閉鎖病棟-それぞれの朝-』などの平山秀幸監督が、旧知の脚本家・安倍照雄とともに10年以上あたためていた人生賛歌の物語。過去を抱えた大人だからこそのラブストーリーで、静かに深く心に染みわたる。
『ホリック xxxHOLiC』4月29日公開
カリスマ的人気を誇る創作集団・CLAMPの大ヒットコミックを蜷川実花が映画化。人の心の闇に巣くう“アヤカシ”が見えてしまう高校生・四月一日(ワタヌキ)は、ある日、不思議な“ミセ”の女主人・侑子(ユウコ)に出会う。何でも願いをかなえてくれるというが、その代償は“いちばん大切なもの”を差し出すことだった。四月一日の孤独と成長を繊細かつ力強く演じた神木隆之介と、もはや貫禄すら感じさせる侑子役の柴咲コウがダブル主演。四月一日の同級生を演じた松村北斗(SixTONES)と玉城ティナの独自性も光るが、ドSな悪女・女郎蜘蛛役の吉岡里帆の妖艶さには驚く。鮮やかで妖しく、圧倒的な美にあふれる蜷川ワールドに酔いしれよう。
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『死刑にいたる病』5月6日公開
櫛木理宇の同名小説を、『そこのみにて光輝く』の高田亮が脚本にし、『孤狼の血』の白石和彌監督が映画化したサイコサスペンス。鬱屈(うっくつ)した生活を送っている大学生の雅也のもとに届いた1通の手紙。それは死刑囚・榛村からで、彼は24件の殺人容疑のうち9件で起訴されていたが、最後の1件は冤罪だと主張、それを証明してほしいと雅也に依頼してきたのだ。淡々と人を拷問する連続殺人犯・榛村を演じる阿部サダヲの戦慄するほどの怖さ、彼に影響を受けていく雅也役の岡田健史の緊迫感、謎の男・岩田剛典と雅也の母・中山美穂のミステリアスさ、そして原作とは異なる驚愕のラスト。人の奥底の怖さを見せつけられて背筋が凍る。
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『マイスモールランド』5月6日公開
在留資格を失ってふつうの生活が奪われてしまったクルド人少女サーリャが、自らのアイデンティティーを模索する社会派映画。第72回ベルリン国際映画祭でアムネスティ国際映画賞のスペシャル・メンション(特別表彰)を受けている。主演は、自身がドイツ、イランなど5か国のルーツを持つ嵐莉菜。彼女に恋する日本人高校生を『MOTHER マザー』の奥平大兼が演じる。是枝裕和監督が率いる映像制作者集団「分福」に在籍する川和田恵真監督は、実際のクルド人難民に取材を重ね、さらに役者本人の資質もキャラクターに反映させ、ドキュメンタリーのような臨場感あふれる映画を作り上げた。理不尽な難民たちの状況が克明に描かれ、胸が締め付けられる。
『MIRRORLIAR FILMS Season3』5月6日公開
監督:松居大悟、李闘士男、井樫彩、Ken Shinozaki、林隆行ほか
キャスト:奈緒、優希美青、レイン・フラー、C・J・ベイカー、吉村界人ほか
山田孝之、阿部進之介、映画プロデューサーの伊藤主税らが、自由で新しい映画制作の実現を目指して立ち上げた短編映画制作プロジェクト「MIRRORLIAR FILMS」。総勢36名のクリエイターが作る短編映画をオムニバス形式で4シーズンに分けて公開、今作はその第3弾だ。松居大悟、李闘士男ら実力派監督や、村岡哲至、渡辺大知、そして山田孝之ら俳優陣もメガホンをとり、吸血鬼が一般化した世界を描くSF、葬儀にまつわるドキュメンタリー、サウナを舞台にした淡い恋物語、男女が道を歩く不条理劇のほか、シングルマザーの葛藤、AIの暴走、ペットの死などを描くバラエティーに富んだ9本の短編が集められた。オムニバスならではの楽しさ満載。