河合優実&吉田美月喜がW主演!『ルックバック』評価は?
編集者レビュー
『ルックバック』2024年6月28日公開
「チェンソーマン」などの藤本タツキによるコミックを原作とする青春アニメ。小学4年生の少女が、漫画好きという共通点を持つ不登校の少女と共に漫画制作にまい進するも、やがて衝撃的な出来事が起こる。二人の少女の声を俳優の河合優実と吉田美月喜が担当。監督を『映画ドラえもん のび太の新恐竜』の演出やアニメ「ライジングインパクト」シリーズのキャラクターデザインなどを担ってきた押山清高が務め、アニメーション制作をスタジオドリアンが手掛ける。
編集部・入倉功一 評価:★★★★
学級新聞に漫画を描く小学4年生の藤野と、類まれなる画力を持つ不登校児の京本。「チェンソーマン」の原作者・藤本タツキが、漫画を通じて出会った少女たちの創作にかける日々をつづった話題の読み切りをアニメ化。原作漫画のタッチを再現しながら、2人の心情がその表情から伝わってくる忠実なアニメーション表現に、監督・脚本・キャラクターデザインを手掛けた、押山清高の原作愛があふれると同時に、京本からの憧れをぶつけられた藤野の思いがほとばしり、思わず駆け出すシーンなど、アニメならではの高揚感に満ちたシーンも原作ファンにはうれしい。
ダブル主演で声優を務めた、河合優実(藤野役)と吉田美月喜(京本役)の表現する、初々しい2人の感情も原作のテイストを見事に捉えている。原作の描く創作の喜びと呪い、あらゆるクリエイターたちに向けた思いにまで作り手たちの情熱があふれているようで、クラマックスには原作を読んだ時と変わらぬ、得も言われぬ切なさと感動がこみ上げてくる。原作に忠実であるがゆえか上映時間は短めで、映画ならではの世界にもっと浸りたいという思いもあり★4つにとどめたが申し分のないクオリティーの作品だ。
編集部・浅野麗 評価:★★★★★
「チェンソーマン」の藤本タツキによる読み切り漫画をアニメ化。原作へはもちろん、漫画、アニメ、しいては“絵を描くこと”への、リスペクトと愛に溢れている作品だ。少女たちを夢中にさせ、生涯の友情を育ませ、そして人生すら導いた運命の出会い。藤野と京本がただただ純粋に、真っすぐに、愛おしくてたまらない気持ちで無我夢中になっている姿は、なんとも魅力的で瞬く間に引き込まれてしまう。
そしてそんな魅力的な2人のキャラクターに息を吹き込んだダブル主演声優の河合優実と吉田美月喜の素晴らしさは語らずにはいられない。ちょっと小生意気な藤野は何とも人間味があり、京本は驚くほどに無垢。だが、どちらもこの声に違いないと思わせる説得力があり、物語への没入感を間違いなく高めてくれる。
心にこみ上げるものを訴えかけてくるノスタルジックな音楽も印象的で、60分程度の上映時間ながら、高い充足感が得られる作品だ。
『ルックバック』あらすじ
小学4年生の藤野は学生新聞で4コマ漫画を連載し、クラスメートから絶賛されていた。ある日、藤野は先生から不登校の京本が手掛けた4コマ漫画を学生新聞に載せたいと告げられる。そのことを機に藤野と京本は親しくなっていくが、やがて成長した二人に、全てを打ち砕く出来事が起こる。