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スオミの話をしよう (2024)

2024年9月13日公開 114分

三谷幸喜監督最新作『スオミの話をしよう』評価は?

編集者レビュー

スオミの話をしよう
(C) 2024「スオミの話をしよう」製作委員会

スオミの話をしよう』2024年9月13日公開

 『記憶にございません!』などの三谷幸喜が監督と脚本を務めたミステリーコメディー。行方不明になった詩人の妻スオミの過去を知る男たちが集まり、誰が彼女に最も愛されていたのかを議論する。『コンフィデンスマンJP』シリーズなどの長澤まさみ、『ドライブ・マイ・カー』などの西島秀俊、『あの頃。』などの松坂桃李のほか、遠藤憲一小林隆坂東彌十郎らが出演する。

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編集部・石井百合子 評価:★★★★

 『THE 有頂天ホテル』『清須会議』など超豪華キャストが演じる超クセ者キャラが入り乱れる群像劇を得意とする三谷監督の新作は、いつもながら老若男女、全方位に向けたサービス精神満点の喜劇に加え、これまでに比べて登場人物が少ない分、キャスト一人一人の演技を存分に堪能できる。舞台は、著名な詩人・寒川しずおの豪邸。ある日、彼の妻スオミ(長澤まさみ)が失踪したことから元夫たちが集結する。

 スオミと各夫とのエピソードは場所を変え、終始飽きさせない工夫がなされているものの、より空間のバリエーションが欲しいところでもあり、そこを★一つマイナスとした。5人の元・現夫を演じる西島秀俊、松坂桃李、遠藤憲一、小林隆、坂東彌十郎ら芸達者な顔ぶれが繰り広げる掛け合い(小競り合い)はワンシチュエーションだからこそ高度な演技力が際立ち、なかでも詩人の寒川を演じる坂東彌十郎が白眉。超エゴイストなキャラクターにもかかわらずニクめないのは、坂東持ち前のチャーミングさゆえだ。そして、何といっても長澤まさみ。物語の軸はスオミの行方、失踪した理由を巡る謎解きだが、最大の謎は5人の夫が抱く彼女の印象がまるでバラバラという事実。その理由が浮かび上がるラストに一抹の哀愁が漂うところも、長澤の名演の賜物。長澤をはじめメインキャストが集結し、華麗に舞う大団円のミュージカルシーンはスクリーンで観てこその迫力!

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編集部・浅野麗 評価:★★★★

 三谷幸喜監督最新作は、監督の愛そのままにヒロイン・長澤まさみの魅力がいっぱいに詰まった作品だ。行方不明になったスオミの捜索にあたり、5人の夫によって語られる彼女は全くの別人。それぞれの夫から見た彼女が描かれるが、長澤の変貌ぶりがとにかく見事で、次はどんな姿を見せてくれるのかという期待をいとも簡単に超えてきてくれる。演技力はもちろんのこと、コメディエンヌとしてのセンス、そして何より長澤本人が楽しんでいる、楽しませようとしていることが伝わってくる。当然ではあるが、長澤でしかこのスオミはありえないのだと痛感させられる素晴らしさだ。

 それゆえ、豪華キャストは全員脇役となるわけだが、実力派揃いとあって、主な舞台となるリビングでの演技合戦は実に見応え十分。撮影の1か月前から入念なリハーサルが行われたというのも納得で、まさしく三谷の真骨頂ともいえる舞台愛が感じられる。一方で、回想シーンや壮大なエンディングなど、映画ならではのエンタメ色も。少々暴走感も否めないところもあり、★1つマイナスにしたが、それも含め三谷作品のだいご味と言えるのだろう。

『スオミの話をしよう』あらすじ

 著名な詩人・寒川しずお(坂東彌十郎)の妻・スオミ(長澤まさみ)が行方不明になる。大事にしたくないと寒川が捜査を拒否する中、スオミの最初の夫で庭師の魚山大吉(遠藤憲一)、2番目の夫でYouTuberの十勝左衛門(松坂桃李)、3番目の夫で警察官の宇賀神守(小林隆)、4番目の夫で警察官の草野圭吾(西島秀俊)が寒川邸にやってくる。彼らは、スオミの安否そっちのけで誰が一番スオミに愛されていたのかを語り合う。だが、それぞれが語るスオミは、性格も見た目もバラバラだった。

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