シャーリーズ・セロンが恋人の監督を「一緒に寝ている男だから評価できない」
映画『バトル・イン・シアトル』(原題)について、監督のスチュアート・タウンゼントのパートナーであるシャーリーズ・セロンと主演のマーティン・ヘンダーソンに話を聞いた。本作は1999年に起きた世界貿易機関(WTO)に対して抗議闘争をした環境活動家や弁護士、医師たちの姿を力強く描いた作品であり、スチュアート監督念願の企画だ。
‐抗議運動への参加経験はありますか?
(シャーリーズ・セロン)そういった抗議活動には参加したことはないわ。わたしはつい最近、アメリカでの市民権を得たんだけれど、その権利を得る前にドキュメンタリー映画『イースト・オブ・ハバナ』(原題)というキューバの貧しい人たちを描いた作品を製作したの。作品の宣伝の際に、アメリカに対して攻撃的な発言をしたこともあったわ。しばらくして、それが非国民的発言になるかもしれないと気付かされて、それがわたしの市民権獲得を遠ざけてしまうのでは? と思ったの。その経験がわたしを消極的にさせているのよ。残念だけれど……。
‐抗議闘争に参加した人々とはお会いになられましたか?
(マーティン・ヘンダーソン)撮影前には何人かの参加者と会って、かなりの影響を受けたよね。運動の中心人物の個性を集めたものが、僕の演じたキャラクターになっていたんだ。映画では僕がリーダー的存在として扱われているけれど、当時起きた抗議闘争は、インターネットを通して不特定多数の人々が策略を練っていたんだよ。その対処に警察は頭を痛めただろうね。
‐私生活のパートナーでもあるスチュアートの監督としての評価は?
(シャーリーズ・セロン)わたしが彼についていろいろと言っても、周りは真剣に聞いてくれないわ。だって一緒に寝ている男なんだから(笑)! 実はわたしが一番最初に彼の脚本を読んだ人物なの。だけどわたしは性格上黙ったり、おべっかを使うことができないタイプだから本音で意見していったわ。でもその価値観はお互い大切にしているものなのよ。
‐次回作は?
(シャーリーズ・セロン)11月にヴィゴ・モーテンセンとの映画『ザ・ロード』(原題)が公開される予定よ。それと映画『ミニミニ大作戦』の続編が準備されているみたい。まだ交渉段階じゃないんだけれど、またやってみたいと思うの。
マーティンは、これから期待されるニュージーランド出身の俳優だ。一方、公私共に充実しているシャーリーズの姿は輝いているように見えた。パートナーであるスチュアート監督が製作したこの映画が、高い評価を受けていることが何よりもうれしいのだろう。(取材・文:細木信宏 / Nobuhiro Hosoki)