レオス・カラックス監督13年ぶり長編に出演のカイリー・ミノーグ、カンヌの地に立ち「夢のよう」
第65回カンヌ国際映画祭
現地時間23日、第65回カンヌ国際映画祭コンペ部門の最注目作品といわれている、レオス・カラックス監督作『ホーリー・モータース(英題) / Holy Motors』がカンヌの後半戦に登場した。フランスのベテラン監督13年ぶりの新作長編映画とあって、注目を浴びている。
カラックス作品の常連として知られるドニ・ラヴァンも参加、また世界的なポップ・アイコン、カイリー・ミノーグも出演しているとあって、会見にはさまざまな国のメディアが詰め掛けた。
1980年代から1990年代にかけて、カラックス作品の常連として知られたドニ。日本公開作品は少ないが、フランスで長編・短編映画に出演している。本作はダークファンタジー仕立てになっており、ドニ演じる主人公オスカーがあるときは経営者、またあるときは殺し屋、物乞いなどに成り切って、殺しを実行する。記者会見でドニは「撮影に入る前の契約書では10人分の役を演じることになっていたが、現場では演じる役が増えていたよ。でもレオスの作品に戻ってこれて光栄だ」と笑顔で本作参加の喜びを表現していた。
「本作の撮影に入る前、ロンドンでケイト・モスたちと別の製作の準備をしていんたが、そのときに周囲からカイリーを薦められたんだ」とカイリー起用の経緯を述べたカラックス監督。会見中には、「今回の製作は資金面などでとても苦労をしたので、スタッフやキャストには本当に感謝している」と同席していた人々をねぎらう場面もあった。
一方、カイリーは「こうやってカンヌの地に立てたことが夢のよう。アイドル歌手『カイリー・ミノーグ』としてかぶっている仮面を脱ぎ捨てて、レオスが意図したままになれるよう、真っ白なキャンバスになりきって演じることが出来た」と自信をのぞかせる。そのカラックス監督について聞かれると「撮影のときも、今のように言葉は少ないわ。満足していないときは、ただ何度もテイクを重ねるだけ。満足したときは『次、行こう』って言ってくれる。シンプルだけどレオスが満足すればただハッピーになる。テンダー(優しい)という言葉がぴったり。ほかのスタッフやキャストメンバーもみんなテンダーで、カンヌで再会できて幸せ」とコメントしていた。(記者:高松美由紀)