中国映画が金熊&銀熊の2冠!会見はリンクレイター監督の再受賞に沸く
第64回ベルリン国際映画祭
現地時間15日、第64回ベルリン国際映画祭授賞式が開催され、ディアオ・イーナン監督の映画『ブラック・コール、シン・アイス(英題) / Black Coal, Thin Ice』(中国)が最高賞にあたる金熊賞、主演のリャオ・ファンが銀熊賞(最優秀男優賞)を受賞した。
本作は1999年の中国北部を舞台に元刑事が連続殺人を追うスリラー。受賞者会見でイーナン監督は、中国での映画産業の現状について「ヨーロッパは映画も観客も成熟している。中国はマーケットは大きいが、メインストリームのコマーシャリズムは受け入れられても、アートハウスフィルムは難しい」と語った。
今回は、独特の作風で人気があるウェス・アンダーソン監督(『グランド・ブダペスト・ホテル』、審査員賞)と、91歳にして、新しい視点を示した映画に与えられるアルフレート・バウアー賞受賞の巨匠アラン・レネ監督(『ライフ・オブ・ライリー(英題) / Life of Riley』)が欠席。出席していれば注目されたであろう2人に代わり、一番歓声を浴びたのがリチャード・リンクレイター監督(監督賞)だった。1995年に『恋人までの距離(ディスタンス)』で監督賞を受賞しているリンクレイター監督が再び同賞受賞して登場すると、記者団から喜びの声が上がった。
断然フォトジェニックだったのは、あでやかな着物姿で若くかわいらしい最優秀女優賞の黒木華。「こっち向いて」「笑って」の声に、律儀にあちこちのカメラと視線を合わせ、ほほ笑みで応えていた。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)
主な受賞作、受賞者は以下の通り。
金熊賞
『ブラック・コール、シン・アイス(英題)』(ディアオ・イーナン監督)-中国
銀熊賞-審査員賞
『グランド・ブダペスト・ホテル』(ウェス・アンダーソン監督)-イギリス、ドイツ
銀熊賞-最優秀監督賞
リチャード・リンクレイター監督『ボーイフッド(原題) / Boyhood』-アメリカ
銀熊賞-最優秀女優賞
黒木華『小さいおうち』(山田洋次監督)-日本
銀熊賞-最優秀男優賞
リャオ・ファン『ブラック・コール、シン・アイス(英題)』(ディアオ・イーナン監督)-中国
銀熊賞-芸術貢献賞(カメラ)
ツォン・ジエン『ブラインド・マッサージ(英題) / Blind Massage』(ロウ・イエ監督)-中国、フランス
銀熊賞-最優秀脚本賞
ディートリヒ・ブリュッゲマン、アナ・ブリュッゲマン『ステーションズ・オブ・ザ・クロス(英題) / Stations of the Cross』(ディートリヒ・ブリュッゲマン監督)-ドイツ
アルフレート・バウアー賞
『ライフ・オブ・ライリー(英題) / Life of Riley』(アラン・レネ監督)-フランス