『ブレードランナー』続編、未来の巨匠へ名匠から唯一のアドバイス
傑作SF映画の続編『ブレードランナー 2049』製作にあたり、生みの親であるリドリー・スコットからメガホンを託されたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が、名匠から受けた唯一のアドバイスを明かした。
フィリップ・K・ディックの小説を原作に、荒廃した未来世界で人間社会に紛れ込んで暮らすアンドロイド、レプリカントたちの苦悩と、彼らを追う専門捜査官“ブレードランナー”の葛藤を追った『ブレードランナー』(1982)。先鋭的なビジュアルで描かれた未来世界のイメージは、映画を超えたあらゆるポップカルチャーに影響を及ぼした。
その影響は現在にいたるまで続いており、これまで多くのクリエイターが自分だけの『ブレードランナー』を想像してきたはずだ。『メッセージ』『ボーダーライン』など卓越した映像センスを発揮するヴィルヌーヴ監督も当然その一人。それだけに、「僕にとって“ブレードランナー”の世界はかなり明確だったので、あえてリドリーにあれこれ質問する必要はなかった」と自信を持って本作に臨み、その才能を認めたリドリーも「自分の思うとおりにやればいい。これはきみの映画だ」と伝えたという。
そんなリドリーが、ヴィルヌーヴ監督にした唯一のアドバイスは「前作のミステリーの部分をきちんと維持するべき」という言葉だった。それゆえ続編では、前作では明かされなかった“謎”が描かれることになる。謎を含んだ作品はヴィルヌーヴ監督の得意とするところなのは、常にミステリーが主軸となる過去作が証明している。
自ら「僕は謎を含んだ作品が好きなんだ。それも目眩を感じさせるようなね」と言うヴィルヌーヴ監督は、そのうえで「前作で、リドリーがまさに採用したアプローチのように“鍵は存在するのだけれど、その鍵がなにを開けるのかは分からない”というミステリーを目指しているんだ」と言及。『ブレードランナー 2049』が、前作をリスペクトしながらも、違う驚きを味わえる、まさに新しい時代の一本となることを期待させる。(編集部・入倉功一)
映画『ブレードランナー 2049』は10月27日より全国公開