『時かけ』と共通点?細田守監督の新作『未来のミライ』ビジュアルに注目
数々のヒット作で知られる細田守監督の最新作『未来のミライ』が来年7月20日に公開されることが13日、都内で行われた会見で明らかになった。あわせてお披露目された作品のメインビジュアルには、青空を背景に制服姿の少女と小さな男の子が描かれている。これは、青空が印象的な細田監督の過去作品のポスターの中でも、『時をかける少女』を思い起こさせるが、細田監督が込めた思いとは?
【画像】『時かけ』と比較!細田守監督による作品ビジュアル一覧
3年ぶりとなる細田監督の新作は、4歳の男の子・くんちゃんと、未来からやってきた妹・ミライちゃんの“きょうだい”の物語。原作・脚本も細田監督が手がける。くんちゃんという名は、「“くん”なの? “ちゃん”なの?」とアイデンティティーが揺れ動くことを表現しており、それがどうやって“ミライ”にたどり着くのかという意図があるという。細田監督は、自分の生き方をそれぞれ選ぶことがきる現代、「多様な価値観を持つ社会だからこそ、個人が揺れ動いている」と指摘。その状態をくんちゃんに当てはめ、そういう人がどう生きていくか、未来はどこにあるのかをめぐるようだ。
そんなくんちゃんと、ミライちゃんが描かれたビジュアル。「本作もそうですが、『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』とずっとオリジナル作品だったので、まだ内容をまったく知らない作品を観客に示すとき、ポスターの作り方として“堂々としていよう”という思いから、仁王立ちのポスターを続けてきました」と話す細田監督。その上で、今回は“ダイナミックなもの”にしたかったといい、「大人が思っている以上に子供たちは大きなダイナミズムを持って何かを飛び越えるというイメージ。そして、具体的にきょうだいの一種の絆というのが強く結びついているというのを形にしたいと思いました」と語る。
『時をかける少女』のポスターは少女が青空にジャンプする姿が写されているが、「そのときに思ったのは、一人の女の子のいきいきとした姿というのが、未来そのものだなということ。経済成長とか科学技術の発展などよりも、人間のバイタリティーそのものが未来に直結すると考えた思い出があります」と振り返り、「今回も子供の未来というか、子供自身が未来そのものだということを感じてもらえるようなポスターにしたいと思いました。(そうした意味では)共通項があるのではと思います」とコメントした。
本作ビジュアルは、くんちゃんの可愛らしさも特徴だが、細田監督は「可愛らしく描きたい」という思いがあるとし、「子供の可愛らしさを描くというのは楽しいです。冬の子供の頬っぺたは柔らかくて冷たくて気持ちいい、そんなことまで表現したくなるような可愛らしさがある。挙動のおもしろさや柔らかさ、暴れたときの面倒くささや頑固で嫌になっちゃうところとか、ひっくるめて一緒にいる喜びを描きたい。これまでの作品でもありましたが、よりそういった思いが強いです」とも語っていた。(編集部・小山美咲)