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細田守監督、アニメは子供を描いてこそ!新作『未来のミライ』に込めた思い

第71回カンヌ国際映画祭

カンヌ映画祭に参加した細田守監督&主人公の4歳児くんちゃん役の上白石萌歌
カンヌ映画祭に参加した細田守監督&主人公の4歳児くんちゃん役の上白石萌歌 - (c) 2018 スタジオ地図

 映画『サマーウォーズ』『バケモノの子』などで知られる細田守監督が手掛けた新作『未来のミライ』の主人公は、4歳の男の子だ。子供を描くことが難しくなってきているという日本のアニメーション界で本作を制作した意義について、細田監督が第71回カンヌ国際映画祭開催中の仏カンヌで語った。

映画『未来のミライ』予告編

 細田監督いわく「アニメーションは子供を描くもの」という考えは、もう昔のものなのだという。「他にも、昔のアニメーションは動物をいっぱい描いていたのですが、今はそれもあまりできないんです。今回は大変な努力をして犬も描いたんですけどね(笑)。今はああいうことはできない。もっと大人を描く、キャラを描く、というのがアニメーションの役割になった。でもそれに対して異議を唱えたいという気持ちがあるんです」

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 その言葉通り、『未来のミライ』は生まれたばかりの妹に愛情を奪われてしまったと感じている4歳児の想像力に満ちた視点から、家族の姿や人生の形を映し出した意欲作。4歳児も犬も生き生きと表現されており、アニメーション映画ならではの魅力にあふれている。今年のカンヌ映画祭「監督週間」に選ばれた20作品の中、唯一のアニメが本作だということにも納得だ。

 「子供を描いてこそアニメーションなのではないか、子供を描くことを通して、家族を、社会を、世界を描くということがアニメーションに課された役割なんじゃないか、と思うんです。僕が子供のころに観て育ったアニメはそういうものでしたが、今は違うわけで。そういう問題意識が強くあるからこそ、あえて4歳児を主人公にして、映画を作ることの今日的な意義というのを自分なりにすごく強く感じて作ったつもりです」

『未来のミライ』
4歳児を描いた『未来のミライ』

 また、宮崎駿監督の『となりのトトロ』(1988)を例に挙げ、「30年前には4歳の女の子(メイ)を表現していた時代があったわけですが、今はやらないでしょう。それはいけないと思う。そこを怠ってはいけないと思う」と力を込めた細田監督。「企画のときには無謀だといわれましたけど、軽い使命感を覚えまして(笑)。それがアニメーション映画の可能性を切り開くんじゃないかと思います」

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 細田監督は、アニメーション映画そのものへの強い思いも告白。「実写映画は歴史上たくさんの作品が作られ、人生のあらゆることを描写してきたと思うんです。だけどアニメーションという技法で作られた本数はそんなになくて、その技法を使えばまだ映画として表現されていない“人生の何か”を描けるんじゃないか、と。アニメなら可能なのではないか、と常に意識して作っています。アニメーションを通して、映画芸術のまだ表現できていない未知の領域に対して、何か少しでも貢献できればと思っているんです」とあふれる思いを止められない様子で語っていた。(編集部・市川遥)

映画『未来のミライ』は7月20日より全国公開

未来のミライ 予告 » 動画の詳細
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