塚本晋也『斬、』ベネチア・コンペ出品!池松壮亮&蒼井優も感激
第75回ベネチア国際映画祭
主演に池松壮亮、ヒロインに蒼井優を迎え、塚本晋也監督が初めて時代劇に挑んだ新作映画『斬、』(ざん)が、来月開幕する第75回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門に出品されることが決定した。
カンヌ、ベルリンと並んで世界三大映画祭に数えられるベネチア国際映画祭と塚本監督の縁は深く、『六月の蛇』(2002)ではコントロ・コレンテ部門(現・オリゾンティ部門)で審査員特別大賞、『KOTOKO』(2011)でオリゾンティ部門の最高賞にあたるオリゾンティ賞を受賞。メインコンペティションへの出品は、『鉄男 THE BULLET MAN』(2009)、前作『野火』(2014)に続く3度目となる。
「初めての時代劇とともにベネチアの地を踏めるのがうれしい」と感慨深げな塚本監督は、「行く、というより、帰ってきた、と思わせてくれる映画祭。池松さん、蒼井さんらの素晴らしい演技を見ていただけるのが、一番の喜びです。同時に、今を生きる人たちの心に、鋭い刃を突きつけたいと思っています」と意気込み。
同映画祭に初めて参加する池松は「作品にとても自信があるので、胸を張って向かいたいと思います。普段日本にいてもなかなか感じる事のできない手触り、映画を通して世界を体感する事がとても楽しみです」と手応えを感じている様子。一方、『蟲師』(2006、大友克洋監督)で同映画祭に参加したことのある蒼井は、「塚本監督おめでとうございます。この作品でベネチア国際映画祭に参加できて幸せです。素晴らしい映画祭に連れて行ってくださる塚本監督にとにかく感謝しています。共演者として池松さんの芝居をベネチアの人たちに観てもらえることが本当に嬉しいです。日本の“色気”を感じてもらいたいです」と熱い思いが込み上げた。
今年の審査員長を務めるのは、昨年、『シェイプ・オブ・ウォーター』で最高賞である金獅子賞を受賞したギレルモ・デル・トロ監督。第75回ベネチア国際映画祭は現地時間8月29日から9月8日までイタリア・ベネチアで開催される。
『斬、』は塚本が監督、出演、脚本、撮影、編集、製作を務めた完全オリジナル作品。開国するか否かで大きく揺れ動いていた江戸時代末期の江戸近郊の農村を舞台に、時代の波に翻弄されるひとりの浪人と彼に関わる人々を通して、生と死の問題に迫った。共に塚本作品初参加となる池松が文武両道で才気あふれる浪人を、蒼井が浪人の隣人である農家の娘を熱演。11月24日よりユーロスペースほか全国で公開される。(編集部・小松芙未)