渡辺大、人生の師匠は「津川雅彦さん」
俳優の渡辺大が20日、都内で行われた映画『ウスケボーイズ』初日舞台あいさつに登壇し、人生の師匠と話す故・津川雅彦さんに思いをはせた。この日は、出合正幸、内野謙太、竹島由夏、伊藤つかさ、柿崎ゆうじ監督も来場した。
本作は、日本のワインを世界レベルに引き上げたワイン界の先駆者・麻井宇介の思想を受け継ぎ、ワイン造りに励む若者たちの物語。マドリード国際映画祭では外国語映画部門最優秀作品賞と最優秀主演男優賞を、アムステルダム国際フィルムメーカー映画祭でも外国語映画部門最優秀監督賞と最優秀主演男優賞を受賞。さらに先日、ミラン国際フィルムメーカー映画祭で5部門にノミネートされたことも発表された話題作だ。
ワイン作りに苦悩する実直な青年・岡村役で主演を務めた渡辺は、「ワインの本場のイタリアで、日本のワインをわかっていただけるとうれしい」と声を弾ませると、「これからは海外の方も日本のワインに興味を持って、どんどん飲まれる文化になっていくんじゃないかな」と期待を寄せた。
作品にちなみ、人生の師匠を尋ねられた渡辺は「二人いた」と切り出し、「一人は津川雅彦さん。17歳の頃からお世話になっていて師弟のような感じ。向こうは弟子を取った覚えはないと思いますけど」と笑いながら、「いろんなことを学ばせていただきましたし、こうやって(役者を)やれたのは津川さんのおかげ」としみじみと語った。
もう一人は、10歳の頃に栃木の乗馬クラブで指導してもらった人で、「本当に呼び名が師匠でした」と明かすと、一人で合宿をした時のことを思い返し、「怒鳴られ、がなられ、きつくて帰りたいと思ったけど帰れなくて……」と苦笑い。しかし、「今、俳優として馬に乗れることは大きなスキルなので、基礎を子供のうちから叩きこんでくれて有り難い方でした」と感謝を表した。とはいえ、「僕の師と言える人がどんどんいなくなって寂しい」と本音も吐露すると、MCから「渡辺さんのご活躍をお二人の師匠は空の上から喜んでいらっしゃるでしょうね」と声をかけられ、「『まだまだだな』と言われている方がやりがいがあるので、いつまでもそう言っていただきたい」と故人に思いをはせていた。(取材・文:錦怜那)