『カメラを止めるな!』各国のバイヤーからも注目!
第31回東京国際映画祭
10月25日からの第31回東京国際映画祭の開幕に先駆け、併設マーケットTIFFCOMが23日、東京・池袋でスタートした。この日はこの1年の日本映画の代表作を上映する同映画祭ジャパン・ナウ部門に選出されている『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督、『菊とギロチン』の瀬々敬久監督、『パンク侍、斬られて候』の石井岳龍監督、『モリのいる場所』の沖田修一監督が「Meet with Creators」と題した特別ティーチインを行った。
会場に集まったのは各国の映画会社のバイヤーや海外映画祭のディラクターやプログラマーなど約100人で、予想を超える来場者で立ち見状態となった。中でも注目は、なんと言っても都内2館から始まった興行が10月22日時点で293館までに広がり、観客動員も200万人を突破するという“ジャパニーズ・ドリーム”を邁進している『カメラを止めるな!』だ。
市橋浩治プロデューサーが「現在60を超える海外の映画祭で18冠の賞をいただいており、韓国、台湾、シンガポール、香港、タイで公開が実現しました。見ていただいたお客さんに評価される映画です」と近況を報告すると、会場には「おぉ!」という感嘆の声が上がった。すると早速、「南米やアフリカ、ヨーロッパの配給会社は?」や、「ハリウッドからリメイクの話があったら?」など具体的な質問が飛んだ。
リメイクについて上田監督は「出来れば自分でやりたいですけど、海外の方が全く違う『カメラを止めるな!』を作るという構想を持って、全く違う企画を立ててくれたら任せてもいいかなと思っています」と戸惑いながら回答。また、次回作は海外のオーディエンスを意識するようになるのかと聞かれると、「この映画自体ワークショップで、イベント上映で終わるという想定のもとで作っていたので、日本の興行も想定していませんでした。僕は小さい頃からハリウッドや海外の映画を見て育って、その影響が強いので、意識せず作ったら自然と海外へ行けるのでは? と思っています。あまり意識してはいけないと思っていますね」と周囲の喧騒に惑わされることなく、冷静に語った。
TIFFCOMは、22日からスタートした経産相らが主催の映像・音楽・アニメーションの国際見本市ジャパン・コンテンツ・ショーケース2018(以下、JCS)の一環として開催されており、今年で15年目。2017年はJCS全体で10,954人の来場者があり、7,798の商談が成立。成約金額は6,005万ドル(約66億550万円。1ドル=110円換算)に上るという。ここを拠点に日本をはじめアジアのコンテンツが海外へと飛び立っている。(取材・文:中山治美)
第31回東京国際映画祭は10月25日~11月3日までTOHOシネマズ六本木ヒルズなどで開催