萩原聖人、トレンディドラマ全盛期からの揺るぎないキャリア
近頃は麻雀プロリーグ戦、Mリーグに出場するなどプロの雀士としての活動も展開する萩原聖人。10日よりスタートするテレビ朝日系連続ドラマ「あなたには渡さない」(毎週土曜夜11時15分~)を前に、40代後半に突入した近年、より円熟した彼のキャリアを振り返る。出演歴をさかのぼってみると、1990年代にトレンディドラマを中心に認知度を上げつつ、初期から東陽一、崔洋一、滝田洋二郎、山田洋次ら名監督のもとで実力を磨いているのが特徴的だ。
萩原は1987年、連続ドラマ「あぶない刑事」第32話の置き引き少年の役でテレビ初出演。1989年に『ウォータームーン』で長渕剛の弟分の少年僧役で映画デビュー。元中学総番長を演じたドラマ「はいすくーる落書2」(1990・TBS系)を皮切りに、「北の国から」シリーズの杉田成道演出による単発ドラマ「1970ぼくたちの青春」(1991・フジテレビ系)、「学校へ行こう!」(1991・フジテレビ系)、「先生のお気に入り」(1991・TBS系)などの青春モノのドラマで脚光を浴びた。
その後、後に映画化された「白鳥麗子でございます!」(1993・フジテレビ系)や、「夏子の酒」(1994・フジテレビ系)、「若者のすべて」(1994・フジテレビ系)などのドラマに出演。「若者のすべて」では主演を務め、木村拓哉、武田真治、鈴木杏樹、深津絵里らとのアンサンブルが話題に。本広克行の長編監督デビュー作となった1996年公開のラブストーリー『7月7日、晴れ』では観月ありさの相手役を務めた。
お茶の間で人気を博す一方、東陽一監督作『橋のない川』(1992)、山田洋次監督作『学校』(1993)などで名匠たちと組み、ビートたけし原作の映画『教祖誕生』(1993)で主演を務め、エランドール賞、日刊スポーツ大賞など映画賞の新人賞を受賞。崔洋一監督と『月はどっちに出ている』(1993)に続くタッグを組んだ『マークスの山』(1995)や黒沢清監督によるスリラー『CURE キュア』(1997)などで強烈なキャラクターを熱演。日本アカデミー賞をはじめ数々の映画賞の助演男優賞に輝いた。1972年連合赤軍の同志リンチ事件を題材にした『光の雨』(2001)では高橋伴明監督と、『この世の外へ クラブ進駐軍』(2003)では阪本順治監督と組んでいる。舞台経験も豊富で内藤裕敬、蓬莱竜太、ケラリーノ・サンドロヴィッチらの演出を受けている。
またNHKドキュメンタリー「アスリートの魂」などのナレーションや、アニメーション作品の声優としても活躍。大ヒットドラマ「冬のソナタ」をはじめぺ・ヨンジュン主演ドラマ、映画の吹替えのほか、新海誠監督の初長編アニメ映画『雲のむこう、約束の場所』(2004)、「闘牌伝説アカギ 闇に舞い降りた天才」(2005・日本テレビ系)や「逆境無頼カイジ 破戒録篇」(2011・日本テレビ系)など福本伸行原作のテレビアニメシリーズの声優を担当。現在放送中の「逆境無頼カイジ」のスピンオフを原作とした「中間管理録トネガワ」(日本テレビ系)でも伊藤開司(カイジ)の声を担当している。
近頃では、連続ドラマ「BG ~身辺警護人~」(2018年1月クール・テレビ朝日系)で、木村拓哉らが演じる民間警備会社のボディガードたちを揺るがすキーパーソンにふんし、木村との久々の共演も話題に。主演を務めた単発ドラマ「復讐捜査 ~警察犬と刑事の殺人追跡行~」(5月6日放送・テレビ朝日系)では警察犬を相棒に、因縁の事件に立ち向かう刑事に。第63回日本推理作家協会賞を受賞した貫井徳郎の同名小説に基づく単発ドラマ「乱反射」(9月22放送、メ~テレ・テレビ朝日)では、極度の潔癖症に悩む造園業者を熱演し、強烈な存在感を放った。映画『きみの鳥はうたえる』(9月1日公開)では従業員(石橋静河)とただならぬ関係にある書店店長にふんし、人生の酸いも甘いもかみわけた中年男の悲哀を体現している。
連城三紀彦の名作「隠れ菊」を現代版にリメイクする新ドラマ「あなたには渡さない」では、木村佳乃演じるヒロインの夫役に。父親の跡を継いで料亭の板長を務めるも多額の負債を抱え、愛人・多衣(水野美紀)と6年にわたる不倫関係を続けた末に妻との別れを決意するという役どころ。木村、水野を相手にドロドロの三角関係を繰り広げる。(編集部・石井百合子)