ティルダ・スウィントンが日本刀でゾンビ退治する衝撃!
第72回カンヌ国際映画祭
現地時間15日、第72回カンヌ国際映画祭でコンペティション部門に出品されているゾンビ映画『ザ・デッド・ドント・ダイ(原題) / The Dead Don’t Die』の公式会見が行われ、ジム・ジャームッシュ監督、ティルダ・スウィントン、ビル・マーレイ、セレーナ・ゴメスら豪華キャストが出席した。アメリカの田舎町でゾンビ発生に対処する警官コンビ(ビル、アダム・ドライヴァー)の姿をオフビートな笑いとともにつづる一方、道着をまとった謎のスコットランド人役のティルダが日本刀でゾンビを退治するという衝撃的な作品だ。
【フォトギャラリー】ティルダ・スウィントン、セレーナ・ゴメス、ビル・マーレイら豪華キャストが出席
『ストレンジャー・ザン・パラダイス』から『パターソン』まで、長年にわたり米インディペンデント映画界に君臨するジャームッシュ監督が、ついにゾンビ映画を手掛けたと話題の本作。吸血鬼を描いた映画『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』(2013)でもジャームッシュ監督と組んでいるティルダは、「あの映画の劇中でもゾンビに言及していて、『絶対ジムは、次はゾンビ映画を撮りたがるはず!』と思ったのを覚えているわ。そして、撮り終ったらすぐに、『ゾンビ映画を撮ろうと思っているんだけど、どう思う?』と聞かれて」と本作は監督が長年温めてきた企画だと打ち明ける。
「あらゆるタイプの映画に幅広く興味がある」というジャームッシュ監督は、「『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/ゾンビの誕生』が最初に観たロメロ(ゾンビ映画の父ジョージ・A・ロメロ)映画で、それ以来、彼の映画はほとんど観た」と語る。「ロメロは、ゾンビとモンスターという概念を変えた。ゴジラやフランケンシュタインといったモンスターは社会の枠組みの外側から来て脅かすけれど、ロメロのゾンビは崩壊しつつある社会の枠組みの内側からやって来る。ロメロがゾンビでやったことはとても興味深い。彼はゾンビを被害者でもあり、モンスターでもあるという存在にしたんだ」。それだけに、本作にはロメロのゾンビ映画へのオマージュも多分に含まれる仕上がりとなった。
世の中への悲観的な“暗さ”もある本作だが、ジャームッシュ監督は本作に出て来る3人のティーンエイジャーのキャラクターに希望を託したという。「僕はティーンエイジャーが大好きなんだ。彼らに大いなる希望を持っている。彼らは僕たちの服、スタイル、音楽といった文化的なものを定義して、いろいろな変化をもたらしてくれるが、いつもひどい扱いを受けていて、『成長しろ』とか言われている。『僕はティーンエイジャーの味方だ!』という思いだ。僕は彼らを本当に評価している」と何かあれば批判されがちな若者たちに、未来の明るさを見ていると熱く語っていた。(編集部・市川遥)
映画『ザ・デッド・ドント・ダイ(原題)』は2020年春、日本公開
第72回カンヌ国際映画祭は現地時間5月25日まで開催