話題作『メランコリック』『岬の兄妹』監督2人が製作秘話を語る!
低予算のインディーズ映画ながら異例のヒットを記録した『カメラを止めるな!』に続く話題の映画『メランコリック』の田中征爾監督と、『岬の兄妹』の片山慎三監督の対談イベントが16日に都内で行われ、両監督が製作秘話や次回作について語った。
『メランコリック』は、閉店後に「人を殺す場所」として貸し出されている銭湯を舞台に、登場人物たちの人間模様を変幻自在な展開とサプライズ満載で描いた青春エンターテインメント。初の長編映画にして、田中監督はウディネ・ファーイースト映画祭の新人監督作品賞のほか、第31回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門の監督賞などを受賞した。
そんな同作は、「僕自身が影響を受けたウディ・アレンのベースがあって、素人が自尊心のために犯罪の沼にハマっていくアメリカのテレビドラマ『ブレイキング・バッド』のアイデアがのっかって、『(ダウンタウンの)ごっつええ感じ』の(コント)『トカゲのおっさん』の会話の雰囲気がある」と説明。そして、「冒頭の和彦と百合の再会シーンは(「トカゲのおっさん」に)似ているので、ぜひ見ていただきたい」とアピールした。
すると、片山監督は「あれはいいですよ」と続け、「松本人志さんは、あれを映画化すればいいのにとずっと思っていた」とコメント。また、「普通の映画はオープニングに笑いでつかんで、後半は感動させたがるけど、(同作は)最初は真面目にはじまって、だんだん笑えてくる構成が面白い」と田中監督の手腕も称えた。
その片山監督は、山下敦弘やポン・ジュノの作品に携わり経験を積んだ経歴を持ち、売春によって生計を立てる自閉症の妹と兄の姿を描いた初の長編作『岬の兄妹』は、公開前から拡大上映が決まるという異例の展開で、日本映画界に大きな爪痕を残している。
『岬の兄妹』は公開が決まらない中、1年もかけて製作しており、片山監督は「僕も(兄役の)松浦(祐也)さんも(妹役の)和田(光沙)さんも、カメラマンの池田(直矢)さんも35(歳を)過ぎていて、この先も映画にかかわるためには今やらないでいつやるんだ! くらい切羽詰まった状況だったので、それがモチベーションだった」と思い返した。
次回作の話に及ぶと、田中監督は日本と韓国を舞台に、主人公の兄と性同一性障害の妹が登場する、今作のように「常にニヤニヤしながら観れる雰囲気」の作品で、「韓国のバイオレンス映画への憧れがあるので、多少は(登場人物を)殺したい」と希望を告白。片山監督は「ミステリーっぽい感じ。女子中学生が主役で、彼女とお父さんの話。殺人はあります。父親の見え方が変わってくるみたいな映画」と展望を明かし、ファンの期待をあおっていた。(取材:錦怜那)
映画『メランコリック』はアップリンク渋谷ほか全国公開中