仮面女子・猪狩ともか、パラスポーツヘの関心持続を願う
第32回東京国際映画祭
第32回東京国際映画祭・特別上映作品『東京パラリンピック 愛と栄光の祭典』(2020年1月17日より復活上映)の舞台あいさつが29日、TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、アイドルグループ・仮面女子の猪狩ともかが出席。パラスポーツ・バリアフリー応援大使(パラ応援大使)を務める猪狩は、「いま2020年に向けてパラスポーツへの興味や関心が高まっていると思いますが、その意識を切らすことなく、さらに思いが高まっていければ」と思いを口にした。
『東京パラリンピック 愛と栄光の祭典』は、世界で初めてパラリンピックという愛称を生んだ1964年の東京パラリンピックの様子を記録したドキュメンタリー。大会に参加する障がい者のスポーツへの取り組みや、選手たちの苦悩などが描かれる。1965年の公開から55年が経つ来年、デジタル修復された同作が劇場で上映となる。イベントには猪狩のほか、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて活動する上智大学の学生団体「Go Beyond」の山本華菜子代表も出席した。
不慮の事故による脊髄損傷の影響で両下肢麻痺(まひ)となり、車いす生活を余儀なくされた猪狩。現在も車いすでアイドル活動を続ける彼女は、スポーツに懸命に取り組む人たちを映し出す映画について「白黒の映像や音楽も昔を感じ、令和から昭和へタイムスリップしたような気持ちになりました。いまパラリンピックの勉強をしているので、貴重な映像を観ることができてうれしい」と笑顔を見せる。
パラリンピックという言葉は、1964年開催の東京パラリンピックから使用されるようになったが、猪狩は「応援大使をやらせていただいているので、一応知っていました」と切り出すと、「映画のなかで競技をしている方のシーンがたくさん出てきますが、皆さん普段使っている車いすでスポーツをしているんですよね」と指摘。現在は、それぞれ競技用の車いすがあり「どんどん車いすも進化しているんだなということを実感できました」と彼女ならではの視点で映画のポイントを挙げていた。
2020年には、東京に再びパラリンピックがやってくる。猪狩は「いまは関心が高いと思いますが、それが終わってしまったからといって、意識を切るのではなく、さらに良い環境になっていけばいいなと思っています」と語り、「多くの人が過ごしやすい環境になれば」と未来に思いを馳せていた。(磯部正和)