フランス実写版『シティーハンター』は音楽にも注目!冴羽リョウ俳優のこだわりがすごい!
漫画家・北条司の代表作をフランスで実写化した『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』で監督・主演を務めたフィリップ・ラショーが来日。幼少期にアニメ版を見て育ったという”フランスの冴羽リョウ”が、作品に込めた愛とこだわりを語った。
【動画】『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』予告編
アニメ「シティーハンター」は、異国フランスでも、子供向けテレビ番組「クラブ・ドロテ」(1987~1997)内で放送され大ブームとなった。ラショーも、1980年生まれの“ドロテ世代”なだけに「とにかく原作に忠実であること。そのうえで、シティーハンターの世界観と自分のユーモアを融合させた、現代的なアクションコメディを作ることを心がけました」と語る。「作品の魂はもちろん、香のハンマーや、シラけムードの時に飛ぶカラスといったディテールまで、きちんと踏襲しようと思ったんです」。
今回の実写版では、超一流のスイーパー・冴羽リョウと相棒・槇村香が、香りを嗅いだ者を虜にする「キューピッドの香水」の奪還作戦に挑む。”ホレ薬”をフックにした、アニメの1エピソードのような設定をはじめ、ギャグとアクション、そして子供向けな下ネタのブレンドも実に絶妙。ラショーの言葉の通り、まさに「シティーハンター」らしい仕上がりの一本だ。
「僕も大好きなコミックの実写化にガッカリした経験があります。『ドラゴンボール』とかね。だから観客に、こんなのぜんぜん『シティーハンター』じゃない! と思われることだけは避けたかった。だからこそ、コミカルな部分を大事にしたんです。北条先生も『シティーハンター』はコメディだって言ってくれました」
「ただ、冴羽リョウはすごくカッコいいけど、正直、女性に対して良くないところもありますよね。そこのバランスはすごく気をつけました。彼のしていることがセクハラっぽくならないように、デリケートに取り扱ったんです」
そんなラショーのこだわりは、ポケットのない特注の水色ジャケットや音楽にまで及ぶ。テーマ曲の「Get Wild」(TM NETWORK)以外にも、ファンおなじみの楽曲やBGMを劇中で使用。「版権の問題であまり多くは使えませんでしたが、許可をとれたものはとことん入れました。もっと入れたかったですよ。ほかにも、銃弾がリョウのほほをかすめる時の擬音なんかも、できるところは全て再現しました」と自信を見せる。
そんなこだわりが詰まった本作だが、撮影は実にスムーズに進行したという。「キャストも技術スタッフもみんな同世代で『シティーハンター』が大好き。いちいち『シティーハンター』ならこうしなきゃ! って説得する必要はなくて、まさに阿吽の呼吸でしたよ」。ちなみに、予告編の公開時から特に話題になっていた、海坊主を演じるカメル・ゲンフーのソックリ具合だが、ラショーいわく「彼は本当にあのまんまの見た目なんだ! サングラスをかけてヒゲをつけただけで完璧に海坊主になりましたね」ということだ。
「ふだんの僕の映画が好きな若い世代には、この映画を通じて『シティーハンター』を知った人も多かったんです。そして幸いにも、映画の公開後にテレビで再放送がはじまって、若い世代が『シティーハンター』を学んでいます」と語るラショー。続編の可能性を尋ねると「もちろん、そうなったら最高ですよね」と笑みを浮かべた。(編集部・入倉功一)
映画『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』は全国公開中