波瑠、ラブホ経営者の娘役に挑む 映画『ホテルローヤル』で主演
第149回直木賞に輝いた桜木紫乃の小説を映画化する『ホテルローヤル』(2020年冬公開)で、女優の波瑠が主演を務めることが明らかになった。北海道の釧路湿原を背にしたところに建つ小さなラブホテル“ホテルローヤル”の経営者の一人娘・田中雅代役に挑む。
原作は、桜木自身の生家でもあるラブホテルの盛衰と、そこを訪れる人々の生と性を描いた七編からなる連作小説。『百円の恋』や「全裸監督」(総監督)といった話題作を世に送り出してきた武正晴監督が、NHK連続テレビ小説「エール」の脚本家・清水友佳子とタッグを組んだ映画版では、ホテル経営者家族の一人娘・雅代を軸に、ホテルを訪れる男女や問題を抱える経営者家族、従業員の人生模様を柔らかく描き出す。
波瑠ふんする雅代は、美大受験に失敗して居心地の悪さを感じながらも、家業のホテル仕事を手伝うことになっていく。少し冷めた目でホテルの客たちを眺めながら、仕事に励むという難しい役どころに挑戦した波瑠。撮影期間中は、共演者ともっと仲良くなりたいと思いながらも役づくりのため我慢していたそうで、「いつも所在なさげで可哀想にも思えるけど、悲劇のヒロインにはなりきれないような曖昧さだったり、中途半端にも見えるところが彼女の人間味になればいいなと思って演じていました」と振り返った。
原作者の桜木が自身を投影したキャラクターでもある雅代。桜木は、同役を務めた波瑠について「誰にも心を見せず開かず、無表情を貫き、黙々とラブホテルの掃除をする彼女の姿は、苦しくなるほどリアルでした」と絶賛の言葉を寄せている。(編集部・吉田唯)
波瑠 コメント全文
ラブホテルで働く人と訪れる人がいて、そこにうまれる微妙な温度差を役者さんたちがどんな風に表現するのかととても楽しみになる脚本でした。
撮影期間は、素敵な共演者のみなさんでとても楽しかったです。私が演じた雅代はちょっと周りに馴染めないところがあるので、もっと皆さんと仲良くなりたいなと思いながら我慢していました。
雅代はどこかいつも傍観者というか、起こる状況の中心にはいない人で。それも自覚していてどこかコンプレックスだったりもして。いつも所在なさげで可哀想にも思えるけど、悲劇のヒロインにはなりきれないような曖昧さだったり、中途半端にも見えるところが彼女の人間味になればいいなと思って演じていました。