『ファンタビ』第3弾、ダンブルドアとグリンデルバルドが出会うと“二人だけの世界”になる理由
映画『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』のミニ会見にデヴィッド・イェーツ監督が出席し、本作における印象的なダンブルドアとグリンデルバルドの邂逅シーンの演出意図について語った。
ダンブルドアの妹はまだ幼い頃にマグルの少年たちに襲われたことで生涯治らない傷を負い、内にこもった魔法力が時々爆発するという危険な存在になった。復讐を求めた父は監獄アズカバンへ送られ、母は妹が起こした不慮の事故で死亡。並外れた才能によって華々しい未来が待っていると思われた10代のダンブルドアは突然、弟と不安定な妹を抱えて家に縛り付けられることになってしまった。そんな時、才能にあふれた若きグリンデルバルドと出会ったダンブルドアは、マグルを力で従属させ、革命の指導者になるというグリンデルバルドの考えに惹きつけられることに。後にある出来事がきっかけで光と闇、それぞれの道を進むことになるも、短い間ながら二人は恋愛関係にもあった。
そんな複雑な過去を持つ二人が、本作ではついに再び顔を合わせることになる。オープニングのカフェのシーンも終盤のバトルシーンも、ダンブルドアとグリンデルバルドのシーンは“二人だけの世界”として描かれるのが印象的だ。
イェーツ監督は「僕たちはカノン(正典)の問題に対処しようとしたんです。ジョー(原作・脚本家のJ・K・ローリング)の『ハリー・ポッター』シリーズのタイムラインでは、ダンブルドアとグリンデルバルドの最終的な対峙、特に最後の大決闘は、本作が描く年代より後に起こることになっています」と切り出す。「ジョーには『ダンブルドアとグリンデルバルドが一緒にいるところ、また、決闘の一部をごく簡単に今作に入れ込めないだろうか』とお願いしたんです。彼女のストーリー上では最後に起こる大決闘、おそらくこのシリーズの最後の方で描かれるだろうと僕は想像しているのですが、その見どころを奪ってしまうということではなく、観客に二人の関係を深く理解してもらうためには、二人が一緒にいるところを見せる必要があると思ったんです」と意図を説明する。
そこでイェーツ監督たちが思い付いたのが、今回の“映像言語”だ。「それは、その世界にはこの二人しかいないと暗示するもので、二人が登場するシーンでは、周囲が白くなって、彼らの周囲の世界が消え失せる……。正典上でもっと後に起こるアイデアを尊重し、ジョーに安心してもらうために、僕たちは二人が邂逅する独自の世界を作り出したんです。他の人たちは誰もその姿を見ることができない世界です。なぜなら正典上では、この二人の対峙とその関係性や対立はもっと後に時間をかけて起きますからね。だから、今作では二人だけの世界の中で起こっていることとして描くことにしたんです」と解説していた。正典との矛盾を避けるために現実的なところから生まれたアイデアだが、ダンブルドアとグリンデルバルドの親密さもうまく表現した美しい演出といえるだろう。(編集部・市川遥)
映画『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』は公開中