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“殺人が合法の日”ができたらどうする?『パージ』シリーズに名プロデューサーが惹かれた理由

無限パージ状態のアメリカから脱出せよ『フォーエバー・パージ』
無限パージ状態のアメリカから脱出せよ『フォーエバー・パージ』 - (C) 2021 UNIVERSAL STUDIOS

 殺人を含む全ての犯罪行為を合法にする法律が定められたアメリカを描く『パージ』シリーズ第5弾『フォーエバー・パージ』が、5月20日から日本公開される。2013年に誕生し、テレビドラマも製作された人気シリーズをプロデュースしてきた、製作会社ブラムハウス・プロダクションのジェイソン・ブラムが、自身の映画作りのルールと共にシリーズの魅力を公式インタビューで語った。

ついにパージは最終形態へ!映画『フォーエバー・パージ』予告編

 『フォーエバー・パージ』は、第1弾『パージ』、第2弾『パージ:アナーキー』、第3弾『パージ:大統領令』、第4弾『パージ:エクスペリメント』に続くシリーズ最新作。第4弾は前日譚(たん)にあたり、今回は『大統領令』後の世界が舞台となる。

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 シリーズの製作を手掛けてきたブラムは、『パラノーマル・アクティビティ』(2007)の成功から、『インシディアス』『ゲット・アウト』など、ブラムハウスで多種多様なヒットホラーを連発してきた、ホラー界の名プロデューサー。彼にとっても『パージ』は特別な作品で「僕の抱えるなかで、一番長く続いているのが『パラノーマル・アクティビティ』シリーズ。『パージ』は2番目の長寿シリーズだ」と語る。

 はじまりは、全シリーズで脚本を担当し、3作目までメガホンを取ったジェームズ・デモナコのアイデア。ブラムは「『パラノーマル・アクティビティ』の後、僕は低予算でコンセプトが売りの映画を作る、ブラムハウスのアイデアを思いついた。そしてジェームズは『パージ』を……その時はタイトルが違ったかもしれないが、リュック・ベッソンの会社のために書いたんだが、彼らは作りたがらず、他の誰もやりたがらなかった。僕と彼は長年の知り合い。それで彼が僕に作ってくれるかと聞いてきた」と振り返る。

 全ての犯罪が許される日に、欲望を開放する人々と、生き延びようともがく人々を描きながら、観客にも究極の問いを投げかける『パージ』シリーズ。ブラムが惹かれた点も、まさにそこだった。「12時間だけどんな犯罪も合法になるというのは、なんとも面白いコンセプトだ。犯罪をやっていいなら、自分なら何をするかなと考えるだろう。何もしない人も多いだろうし、時速200マイルで車をぶっ飛ばす人もいるかもしれない。みんなそれぞれに、自分なら何をしたいか考えるはずだ。『パージ』シリーズは人を殺したいと思う、狂った人々についての映画。僕はそれを、本当に賢いアイデアだと思ったんだよ」

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 さらにジェームズの脚本は、ブラムの映画作りのルールにもピタリとはまった。「怖くてすばらしく面白いコンセプトであることと、低予算でできるか。その2点が、僕らの会社が映画を作るかどうかを決めるうえで最も重要なこと。彼の脚本はそれらを満たしていたんだ」というブラムは「僕はジェームズに、(予算は)いくらかかる? と聞いた。すると彼が『700万ドル(約8億4,000万円)』と言うので、300万ドル(約3億6,000万円)ならいいよと伝えると、『わかった』と。そうやって始まったんだ(笑)」と明かす。(1ドル120円計算)

 最新作で描かれるのは、あるメキシコ移民夫婦の逃避行。2人が初のパージを生き延びた後、人種差別主義集団の暴走により、アメリカは終わりのない“無限パージ”に突入。大混乱のなか、夫婦は、6時間限定で国境解放を発表したメキシコへの国境を目指す。現実と立場が逆転したかのようなアメリカを舞台に、アメリカにいる意味、アメリカ人であること、そして、アメリカンドリームの現実を観客に問いかける。

現実を反映したかのような物語が魅力だが、ブラムはまず娯楽であることを大切にするという(C) 2021 UNIVERSAL STUDIOS

 「ジェームズは世界で何が起こっているかに注意を払っていて、そういう(社会的・政治的な)メッセージを映画に入れてくる。程度の違いはあるが、シリーズはどれも、すばらしい形で未来を予測している。この映画も含めてね。後から起こる問題を、彼はその前に見ることができるんだ。どうしたらそんなことができるのか僕にはわからないが、感心させられるね」

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 ただ、「まず何より、怖い映画でなくてはいけない。第1優先、第2優先、第3優先、全部がそれだ」というブラムにとって、優先すべきは観客が観たい映画であることだ。「僕らが作る映画には、メッセージ性があるものも、ないものもある。どちらも楽しいし、どちらも上手く作るのは難しいものだ。何かを伝えるホラー映画は面白いし、いつだって興味深いものだけどね」というブラムは「映画を作る前にそういう議論をやったら、誰も観に来てくれないと思う」と語る。「だから僕は、ジェームズにも自分の心を動かすものについて書いてくれと言うんだ。すばらしくて怖い物語をね。語りたいメッセージがあってもいいけれど、先に言わなくていい。そうしてしまったら、誰も映画を観にきてくれないからね」(編集部・入倉功一)

映画『フォーエバー・パージ』は5月20日よりTOHOシネマズ日比谷、渋谷シネクイントほか全国公開

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