“大河の大先輩”渡辺謙、横浜流星にエール 7年ぶり・6度目の大河「べらぼう」で田沼意次役
横浜流星主演の2025年大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~」の新キャスト発表会見が5日にNHK放送センターで行われ、田沼意次役に決定した渡辺謙が“大河ドラマで影響を受けたこと”として1987年放送の主演作「独眼竜政宗」を振り返りながら、横浜にエールを送る一幕があった。
この日の会見では、大河ドラマ初出演となる横浜が演じる蔦屋重三郎に大きな影響を与える4人の人物を発表。田沼意次を渡辺謙、喜多川歌麿を染谷将太、田沼意知を宮沢氷魚、鱗形屋孫兵衛を片岡愛之助が演じることが決まった。この豪華な顔ぶれと並んだ横浜は「脚本の森下(佳子)さんや、制作統括の藤並(英樹)さんとは作品についていろいろと話を重ねていますが、あらためてこの皆さんと顔を合わせると実感が沸いてきましたし、喜びや責任感も沸いてきて。身が引き締まる思いですね」と力をこめて語ると、「史実はあっても、残っているものがあまりないからこそ、自由に。しかもオリジナル脚本なので。想像をふくらませながら、でもそれを飛び越えるような作品をつくっていけたら」と意気込んだ。
一方の渡辺は「まずこの話をお伺いしたときに、脚本が森下(佳子)先生だったので。(連続テレビ小説)『ごちそうさん』で娘(杏)がお世話になったので、そのご恩返しをしたいなと思いました」と笑いながらコメント。
そしてこれまでの人生で“大河ドラマで影響を受けたこと”について質問が及ぶと、本作が6作目の大河出演となる渡辺は「時代背景もあると思いますけど、でも僕を一番引き上げてくれたのは『独眼竜政宗』(1987年)だったと思いますが、大河ドラマってある種、その時代を映すものだと思うんです」と切り出し、「ちょうど朝ドラをやった時に、その時のドラマ部長が“朝ドラ、大河はうちの3番、4番なんで、覚悟を持って気合いを入れてやりましょう”といわれたのを、30数年前ですけど覚えています」と野球好きで知られる渡辺ならではのコメントで述懐。
渡辺にとって大河出演は「西郷どん」(2018※島津斉彬役)以来、およそ7年ぶり。「今回は大河なので、4番バッターの打席をみんなでつくりあげていくんだというのを何本かやらせてもらう中で感じながら1年を過ごすというのが大河ドラマだと思うし、流星くんがクランクインするのはまだ先だと思うけど、相当いろんなものにぶつかりながら、いろんなものを習得できる1年半くらいの時間になると思う。僕にとっても大河ドラマって違うものに挑戦させてもらえる機会だし、今回もそういうものになるだろうなと思っています」と横浜にエールを送った。
横浜にとっては“江戸時代のメディア王”を描く大河ドラマに期待することも多いようだ。「だからこそ人間模様を濃く描けると思いますし、これは今こそ描くべき作品かなと思っていて。田沼意次の世に変わって風紀が厳しくなる中で、エンタメのあり方を再確認できる作品だというのを感じていますし、そういうところが普段はあまり濃く描かれないからこそ、新たな作品を皆さまにお届けできるのではないかと。期待して待ってていただければ」とメッセージを送った。
江戸の本屋業でのし上がる重三郎と、江戸の政治を牛耳る老中・田沼意次。その二人を“結ぶ糸”とは何なのか。制作統括の藤並英樹CPは「現在、物語は構想中」と前置きしつつも、「人物同士がどう出会って描かれるか。気を付けているのは、ドラマの都合にならないような出会い方にしたいということ。たとえば、どうしても時代劇で、この場でこういう人はいないよね、というのではなく、その当時の常識であったり、身分の違いを大事にしながら、お客さんがこれ変だよねと思わないような出会い方、関係性が築けていけたらいいなと考えております」と解説。重三郎と意次が直接出会うのか、間接的に出会うのか、について質問を受けると「これからのお楽しみにさせてください」と返答。「ただ直接にせよ、間接にせよ、蔦屋重三郎の熱のある生き方が、当時の世の中に知れ渡っていく中で、それが田沼の耳にも入るでしょうし、田沼の人となりや人物が重三郎に届くこともあると思うので、そのあたりはこれからつくりあげていきたいなと思います」と期待を煽った。(取材・文:壬生智裕)