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『ポケモン』原案ドラマ、制作陣が込めたポケモン愛 「ポケットに冒険をつめこんで」目指すは“夜の朝ドラ”

『ポケモン』大好きスタッフ&キャストが届ける、ポケモン愛あふれるドラマに!
『ポケモン』大好きスタッフ&キャストが届ける、ポケモン愛あふれるドラマに! - (c)「ポケットに冒険をつめこんで」製作委員会

 1996年にゲームソフトとして誕生し、アニメやカードゲームといったさまざまな形で愛され続けている『ポケットモンスター』(通称『ポケモン』)。そんな同作を原案とする初のオリジナルドラマ「ポケットに冒険をつめこんで」(10月19日深夜スタート)が、株式会社ポケモン&テレビ東京のタッグによって誕生した。初回放送を前に、企画・脚本・プロデュースを務めた畑中翔太がリモートインタビューに応じ、『ポケモン』が大好きなスタッフの愛が詰まったドラマ制作、主人公役の西野七瀬らキャストの起用秘話、『ポケモン』に触れたことがない人でも楽しめる作品の魅力を語った。(編集部・倉本拓弥)

【画像】エピソード名もアツい!第1話「こうかはばつぐんだ!」場面写真

 主人公は、関東地方のとある港町・真白育ちの赤城まどか(西野)。地元の大学を卒業し、蒲鉾メーカーで働いていたが、学生時代から憧れていたクリエイターを目指して、東京の小さな広告代理店「ADventure」に転職する。夢を追いかけ上京したまどかだったが、キラキラした世界とは無縁の日々を送っていた。会社の命運を握るプレゼンを引き受けてしまったまどかは、ある日、実家からの荷物に入っていたゲームボーイポケットと『ポケットモンスター 赤』のソフトを手に取る。20年ぶりに『ポケモン 赤』をプレイしてみると、そこには人生にとって大切な何かが詰まっていた。

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『ポケモン 赤・緑』がコミュニケーションツールだった

ポケつめ
(c)「ポケットに冒険をつめこんで」製作委員会

Q:「ポケットに冒険をつめこんで」企画誕生のきっかけを教えてください。

 テレビ東京さんとは「絶メシロード」「お耳に合いましたら。」「量産型リコ -もう1人のプラモ女子の人生組み立て記-」など、様々なカルチャーをテーマにしたドラマ作りをしてきました。その中で、『ポケモン』を原案とするドラマができないかという相談が1年以上前にありまして、そこから企画が立ち上がっていきました。

 私も『ポケモン 緑』を発売初日に購入した直撃世代の人間で、限られた情報を頼りにゲームを遊び尽くしていました。友達と通信交換をしたり、通信対戦中に負けそうになると通信ケーブルを抜かれてしまったり、当時新しかった『ポケモン』がコミュニケーションツールとなって、そこから人間関係が生まれていきました。本作では、ポケモンが現実世界に出てくるとかではなく、『ポケモン』をプレイしている人たち、そこに集まってくる人とのつながりを描けないかということが構想にありました。最新作を遊んでいる人も、昔遊んでいた人もわかる『ポケモン』の真髄にあるものとヒューマンドラマとを掛け合わせられないかということを、ポケモン社さんにご相談したところ「面白いですね」という返答をいただき、企画にGOサインが出ました。

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Q:ドラマの脚本に『ポケモン』の要素をどのように落とし込んでいきましたか?

 第1話のタイトルは「こうかはばつぐんだ!」です。ポケモンにはタイプ相性があり、このタイプに対抗するには、このタイプを出すということを最初に学びます。それは、一般社会にも当てはまるんです。「この人は論理に強いけど、感情には弱い」「正面からぶつからなくても、別の角度から攻めれば効果は抜群」というように、ポケモンを実生活に置き換えてみました。

 「コイキング」(あまり仕事ができない最年少社員・小出優希のモチーフ)というポケモンは、ものすごくわかりやすい象徴です。ゲームでは弱小ポケモンとして知られ、バトルに出しては変えるということを繰り返して地道にレベルアップさせると、ある時突然、「ギャラドス」という強いポケモンに進化します。現実世界でも急に開花する人がいたり、人材育成論において同じことが言えるかもしれません。ゲームの設定やストーリーを、いかにしてヒューマンへ転換するかをミソにして切り取っていく作業は、難しかったと同時に面白かったです。

Q:脚本執筆の際、スタッフのみなさんと「ポケモンあるある」を出し合ったそうですね。

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 本作の打ち合わせは特殊で、とても楽しかったです。というのも、最初の方は『ポケモン』についてひたすら話していました。私は攻略本などがまだ出ていない時代にプレイしていたので、トキワの森でピカチュウが出現することを知らずに進めてしまって後悔したなど、みんなで思い出合わせをしながら構成していきました。

 あるあるに関しても大小があります。すごくわかりやすいあるあるはストーリーの中に入れてみたり、細かいものはマニアな人だけが気付く程度に差し込んでいます。セリフにも注目していただくと、第1話も大木戸のナレーションがゲームの中で聞いたことのあるセリフになっていたり、ライバルの登場方法も、当時プレイしていた人ならピンとくるはずです。

 また、本作では『ポケモン』のゲームの音楽をリミックスしたり、そのまま使用したりしています。現実世界のお話ですが、所々でマサラタウンの音楽やポケモンセンターの回復音など、気持ちに合わせた音楽が散りばめられているので、ポケモン好きの方はワクワクしていただけると思います。

柳葉敏郎が“大木戸”役、チーム内でも驚きの声

ポケつめ
(c)「ポケットに冒険をつめこんで」製作委員会

Q:『ポケモン 赤・緑』直撃世代の西野さんを主人公に起用した理由は?

 本作は前提として、『ポケモン』好きでモノづくりをしようというルールを決めていました。『ポケモン』好きの熱量でドラマを制作してみたかったので、ポケモン好きかどうかを判断基準にして、チームを集めてみました。西野さんがポケモン好きということを知っていた上で、本作の主人公はレッド(=赤城まどか)にしたいと思っていたんです。ゲームのレッドのように、凜として裏表がない、冒険に向かっていく前向きな人格といった主人公のキャラクター像を赤城まどかに背負わせたかった。そこで、西野さんのイメージがまどかにピタリとハマったということからオファーさせていただきました。

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Q:ライバル・工藤美登里役は、ゲーム&アニメ好きで知られる内田理央さんです。

 まどか役に西野さんが決まっていたので、西野さんとは性格や雰囲気もどこか反対側にいるライバルを描きたいと思いました。その中で、内田さんのイメージが出来上がっていきました。内田さんが主演したドラマ「来世ではちゃんとします」の柔らかいイメージとは違って、ライバルはツンとしていて、主人公にマウントを取って去っていく。最近のイメージとはまた違った内田さんを見てみたいと思い、オファーさせていただきました。

Q:オーキド博士のように主人公を導くストーリーテラー・大木戸の声は柳葉敏郎さんが担当します。柳葉さんを大木戸役に起用した理由は?

 ゲームでのオーキドは、主人公のライバル・グリーンのおじいちゃんという設定で、主人公のことを気にかけてくれる存在です。そういう意味では、ナレーションをしながら年上からの目線で二人を見守っている存在であり、怖そうだけど、少し優しい目で見守ってくれる人がいいなと思い、配役を考えた際に柳葉さんはどうかという話がチームから出てきました。柳葉さんが『ポケモン』をテーマにした作品に出演してくださるかは未知数で、「これはもう行ってみよう!」と覚悟を決めてオファーさせていただきました。「出演します」とお返事をいただいた時は、チーム内でも驚きの声が上がっていました。

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 セリフなどに関しても、直接会う前にやり取りさせていただきました。柳葉さんは「これはドラマとしての大木戸なのか、ゲームとしてのオーキドなのか」を気にされていて、僕たちも大木戸はどのような人間であるべきか、一緒にディスカッションしています。役づくりも完璧で、僕たちがイメージする大木戸を演じていただきました。

ポケモンバトルに特化した回も用意

ポケつめ
(c)「ポケットに冒険をつめこんで」製作委員会

Q:『ポケモン』ゲームの魅力の一つであるポケモンバトルは、脚本にどのように落とし込んでいきましたか?

 まどかが『ポケモン』のストーリーを進めていく中で、いろんなバトルをしていきます。彼女がゲーム内で出会う敵やジムリーダー(「ポケモンジム」の責任者)が、まどかがADventureで過ごす実生活とリンクしていくのもこのドラマの面白さです。またみなさんも遊んでいた通信対戦でのポケモンバトルを繰り広げる回も用意しています。その回は人生論というよりも、子供の頃に戻ったように純粋にポケモンバトルを楽しむ内容です。

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 また、まどかが作中でどのポケモンを育てていくかも、作品の一つの見どころになります。バトルの構成も、当時どんなポケモンを使って、どんな技を繰り出して倒していたのか、スタッフと案を出し合い、色々な要素を詰め込みました。傍から見れば「それセコいよ」と思う技が実際は強かったり、最初にステータスを上げてから戦ったり、状態異常(ポケモンがバトル中にかかる悪い効果)を駆使する戦い方も採用しているので、覚えている方は「この戦い方あった!」と懐かしさを感じると思います。

Q:ゲームのように、ジムリーダーをモチーフにした人物が各話に登場するのでしょうか?

 毎話にジムリーダーが登場するわけではありません。第1話に関しては、最初のハードルであるニビジム(ニビシティにあるポケモンジム)が、クライアントとリンクします。もちろん、ジム戦に沿った話もありますが、ゴーストタイプのポケモンが出現するポケモンタワーや珍しいポケモンを捕まえるサファリゾーンなど、みなさんが覚えている場所がテーマになったりもします。

人生はいつだって冒険ができる

ポケつめ
(c)「ポケットに冒険をつめこんで」製作委員会 (c)1995 Nintendo/Creatures inc./GAME FREAK inc.

Q:本作を通じて伝えたいメッセージは?

 「ポケットに冒険をつめこんで」というタイトルに意味を込めています。20年ぶりに『ポケットモンスター』で遊んだら、人生が小さな冒険に変わっていくというのが作品のコンセプトです。主人公のまどかは、『ポケモン』をプレイしていく中で学んだことを仕事に生かしたり、仲間がどんどん寄ってきたり、なついたりもします。毎日は同じことの繰り返しかもしれないですが、見方を変えるだけで「冒険」になる。人生はいつだって冒険になるということがテーマになっています。この作品を通じて、「人生は毎日が冒険であり、毎日はもっともっと楽しくなる」ということが伝われば嬉しいです。

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Q:『ポケモン』ファンと『ポケモン』に触れたことがない視聴者へ向けて、それぞれ第1話の見どころを教えてください。

 『ポケモン』のどの世代をプレイしているかは関係なく、共通するテーマや設定、ストーリーを扱っているので、遊んだことがある方はしっかり楽しんでいただけると思います。細かな設定や場所にも注目していただければ、「これはあのポケモンじゃないか? あのストーリーじゃないか?」と答え合わせをしながら楽しめます。

 もちろん、『ポケモン』に触れたことがない方も、そのまま楽しめる作品になっています。20代後半で東京に出てきた一人の女の子が、広告代理店でクリエイターを目指して、その中でいろんな強敵に遭遇したり、仲間が増えていきます。それぞれのストーリーが誰かの心に刺さるヒューマンドラマなので、『ポケモン』を知らない方にも、そのフィルターを外して見ていただきたいです。

 さらに、本作は「夜の朝ドラ」というテーマを掲げて制作しています。深夜ドラマというのは通常、深夜ドラマらしい好まれる世界観やストーリーがあると思います。ただ今作は「深夜だけど朝ドラみたいなドラマを作ろう!」と、勇気や愛、仲間や友情などをテーマにストーリーを考えています。深夜ドラマですが、朝ドラのようなまっすぐな主人公と仲間たちが登場するので、時間帯は気にせずにお楽しみください。

ドラマ「ポケットに冒険をつめこんで」は10月19日からテレビ東京系で放送開始(毎週木曜深夜24時30分~)

ポケットモンスター・ポケモン・Pokemonは任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です(正式にはeにアキュート・アクセント付き)

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