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パルムドール候補!カンヌ前半戦、コンペ部門で評価が高いのは?

第77回カンヌ国際映画祭

映画『エミリア・ペレス(原題)』より
映画『エミリア・ペレス(原題)』より - (c) Shanna Besson

 第77回カンヌ国際映画祭前半6日間が終了し、最高賞パルムドールをはじめとした各賞を競うコンペティション部門では全22作品のうち、11作品の上映が終了した。前半戦、コンペ部門で批評家から高い評価を得た映画を紹介したい。

【画像】大胆ドレス!第77回カンヌ国際映画祭レッドカーペット

 これまでのところ、例年に比べて「これぞ」という作品が少ない印象のコンペ部門だが、5日目に上映されたメキシコ舞台のミュージカルスリラー『エミリア・ペレス(原題) / Emilia Perez』は輝きを放った。『ディーパンの闘い』(2015)でパルムドールを獲得しているフランスの巨匠ジャック・オーディアール監督の新作で、悲願だった性別適合手術を受けて“エミリア・ペレス”という名の女性に生まれ変わったカルテルの元ボスが辿る旅路を描く。

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 カルテルがはびこり、毎年無数の行方不明者が出るメキシコの現状を描くのにミュージカルという手法はミスマッチに聞こえるかもしれないが、これが驚くほどハマっている。滑らかなカメラワークで観客を歌とダンスの世界に自然と引き込み、耳に残る楽曲とキャスト陣の名演が組み合わさって、メキシコ、そしてキャラクターたちが抱えるリアルな怒りや痛みをより切実に伝える。エミリア・ペレス役のトランスジェンダー女優カーラ・ソフィア・ガスコンと、性別適合手術の手配を進めるために雇われた弁護士役のゾーイ・サルダナも魅力たっぷりだ。フランスの映画誌「le film francais」の星取り表では、批評家15人中5人がパルムドールに推すなど一番の評価を得ている。

 イギリスの映画誌「Screen International」の星取り表では、各作品にもっと差がない。僅差だが、上からジャ・ジャンクー監督のラブストーリー『コート・バイ・ザ・タイズ(英題) / Caught by the Tides』、『エミリア・ペレス(原題)』、そしてヨルゴス・ランティモス監督の『憐れみの3章』と続いている。

 その他の注目作では、フランシス・フォード・コッポラ監督の『メガロポリス(原題) / Megalopolis』は最高評価を与える人がいる一方で「最低」とする声も多く、賛否がはっきりと割れている。コラリー・ファルジャ監督作『ザ・サブスタンス(原題) / The Substance』はコンペでは異色のゴア映画で、デミ・ムーアの文字通りの“怪演”と吹き出し続ける血にプレス試写は異様な盛り上がりとなった。

 受賞結果は映画祭最終日の現地時間25日に発表される。(編集部・市川遥)

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