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菅田将暉主演『Cloud クラウド』ベネチア映画祭で1032席が満席!黒沢清監督が菅田の凄さ熱弁「圧倒的にナンバーワン」

第81回ベネチア国際映画祭

現地より黒沢清監督
現地より黒沢清監督 - (c)Kazuko Wakayama

 菅田将暉主演・黒沢清監督の『Cloud クラウド』のワールドプレミア上映が、映画現地時間8月30日(日本時間8月31日)、第81回ベネチア国際映画祭アウト・オブ・コンペ部門で行われた。現地時間23:45スタートのミッドナイト上映にもかかわらず1032席が満席となり、上映後にはスタンディングオベーションが巻き起こった。

【画像】ベネチア映画祭の熱狂ぶり

 会場は、イタリアのべネチア・リド島。現地時間30日14:45ごろ、プレミア上映に先駆けて行われた会見には、黒沢監督とプロデューサーの荒川優美が出席。会見前に、第97回米国アカデミー賞国際長編映画賞の日本代表作品に選ばれたことが発表されたが、司会者からお祝いの言葉を贈られた黒沢監督は「本当に純粋な娯楽映画を作ろうというところからスタートした作品です。まさか今回のベネチア国際映画祭への出品も含め大きな名誉みたいなものと縁があるとは思っていなかったので、もう大変驚いています。それと僕の大きな楽しみは、この作品がアカデミー賞にノミネートされるようなことがもしあれば、主演の菅田将暉さんが、アメリカで大いに知られることになるだろうと想像すると、とてもそれは嬉しいことです」と心境を語った。

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 1997年に発表した『CURE キュア』で世界から注目を浴び続けている黒沢監督は、2001年にインターネットを題材にしたホラー『回路』を発表。本作でもネット社会を描いていることから『Cloud クラウド』の成り立ちについての質問が上がると、黒沢監督は「当時は、インターネットというものがまだ不気味でその中に何か邪悪なものが潜んでいるのではないかというフィクションが、妄想の中で成立した時代でした。それから20数年経った今、インターネットはごく当たり前の、 誰でも使う普通のツールになっていると思います。ただ、当時は未来はひょっとすると美しい平和な楽しい世界なのかもしれないと思えていたものが、今や先が見通せない。貧しい人もお金持ちの人も、年をとった人も若い人も、すべての人の間に“"なにか”が積もっていってるような気がします。 その人間の心の中にある欲求不満、あるいは歪みのようなものが、インターネットを通して異常に増幅され、集結してしまう。そういう現象は20数年前は考えられなかった。人間の心の中こそが今、やはり問題で、インターネットはそれを象徴的に表していると考えています。この発想がこの映画の原点になっています」と語った。

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 菅田将暉演じる主人公・吉井を転売ヤーとした理由については「知り合いに転売をやっている男がいたことがきっかけです。彼は別に悪いことをしてるというわけではなくて、ただ大きな組織の中で働くということが苦手で取り立てた何か才能があるわけではなく、もちろんお金があるわけでもない。それが現代の社会で生きて行こうとするときに、ひとつの生き方だと思いました。資本主義の冷たい現実があって、いかにもそのような現代を象徴する仕事だと思い、主人公を転売屋という設定にしました」と明かした。

 そして、主演・菅田の話題に。黒沢監督は「菅田将暉さんは、その世代で人気・実力ともに圧倒的にナンバーワンの俳優です」と紹介。「彼はあらゆる役を演じ分けることができる人です」といい、「主人公は曖昧な人にしようと考えていました。映画の主人公は、わかりやすく特徴的なキャラクターがあったり、喜怒哀楽をはっきり表したりする方が特にこういったジャンル映画の場合は都合がいいのですが、今回は普通の人でいきたい。それが僕の希望で、チャレンジでした。いい人か悪い人か。普通の人間が持ち合わせている濁った曖昧な感じを、菅田将暉の非常に高度な演技力があれば、曖昧さが曖昧さとしてそのまま観客に伝わるわるんじゃないかなと思い、彼以外にない! と考えていました。見事にそれに応えてくれたと思います」と菅田の凄さをアピールした。

 黒沢監督がレッドカーペットに現れると「KUROSAWA!」コールも上がり、黒沢監督は世界中から集まった映画ファンの声援とサインの要望に応えた。上映後、スタンディングオベーションが巻き起こると、黒沢監督は鳴りやまない熱い拍手喝采のなか、照れくさそうにしながらも安堵したような笑顔を見せ、会場を後にした。(編集部・石井百合子)

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