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松下洸平「光る君へ」周明の20年の空白を語る 加齢表現は両親を参考に

第46回「刀伊の入寇」より松下洸平演じる周明
第46回「刀伊の入寇」より松下洸平演じる周明 - (C)NHK

 吉高由里子が紫式部(まひろ)役で主演を務める大河ドラマ「光る君へ」(NHK総合・日曜午後8時~ほか)でオリジナルキャラクターの周明(ヂョウミン)を演じる松下洸平。11月24日放送の第45回ラストで約5か月ぶりに姿を現し大きな反響を呼んだ周明だが、松下がまひろと20年以上ぶりに再会した周明の変化を語った。6月16日放送・第24回は周明がまひろを誘惑し、裏切るショッキングな展開で幕を閉じたが、松下は「僕はあまり反響を見ないので、皆さんがどう思われたのかちょっと分からないんですけど、(周明として)申し訳なかったなと……言うしかなくて(笑)。突然退場したので、周りの人たちに“もう出ないの?”とよく言われましたね」と振り返っている。

【画像】周明&まひろが再び親密に…

 平安時代に、のちに1000年の時を超えるベストセラーとなる「源氏物語」を生んだ紫式部の生涯を、大河ドラマ「功名が辻」(2006)、ドラマ「セカンドバージン」(2010)などの大石静によるオリジナル脚本で描く本作。松下演じる周明は、5月26日放送・第21回から登場。まひろが越前守となった父・為時(岸谷五朗)と共に越前に赴いた際に出会った人物で、生まれは日本(対馬)、育ちは宋という複雑な生い立ちがある。周明はまひろに宋のことばを教え、二人は親しくなっていくが、彼がまひろに近づいたのは宋と日本の交易を成そうとする商人の長・朱仁聡(ヂュレンツォン/浩歌)のためで、左大臣・藤原道長(柄本佑)と親しいまひろを利用しようとしていた。

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 吉高とは2021年放送のドラマ「最愛」で惹かれ合う設定で共演し、松下演じる刑事“大ちゃん”が絶大な人気を博したとあって、「光る君へ」でもまひろと周明の恋愛展開を期待する視聴者が多かった。その期待通り二人は徐々に絆を深め、6月16日放送・第24回では周明がまひろを誘惑する場面が大きな反響を呼んだが、松下はこのときの至近距離での芝居を「あのシーンはすごく楽しくて、吉高さんとしかできない芝居だなと思いました。1週間、2週間ご一緒した方とはやっぱりできない。3か月、4か月現場を共にした方とだからこそできるお芝居をさせてもらえたなと思うし、吉高さんに本当に感謝しています」と思い返す。

 まひろを傷つけ、決別した周明だが、第45回のラストでは二人が大宰府でまさかの再会を果たした。脚本の大石から「“まだいっぱい書くからね”“松下洸平と吉高由里子のシーンを書かないと怒られる”と(笑)」と予告されていたそうで、「こんなにありがたいことはない」としみじみ感謝する松下。さらに、松下にとって喜ばしいことがあった。

 「演出に関しては(チーフ演出の)中島(由貴)監督とは朝ドラ『スカーレット』で長らくお世話になったんですけど、今回は前半のシーンではご一緒できなかったので、念願かなって約5年ぶりに中島さんと現場で台本を見ながらお話しするのがすごく懐かしい気持ちになりました。『スカーレット』のときから中島さんのおっしゃることは変わらずとても的確で、僕が読みきったと思うその先の考えをお持ちの方なので、毎回はっとさせられますし、細かいところまで見てくださるのですごく勉強になるんです。今回は特に“もっと笑顔でいいよ”とか“もっと優しい表情で”といったご指摘を受けることが多かったです」

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 約半年のブランクがあり「久しぶりなので少し緊張するかなとも思ったんですけど、変わらない現場でした」と安堵したものの、またしても中国語を話すシーンがあり苦戦を強いられたという。

 「僕が撮影に参加した最初の頃と全く変わらず明るい吉高さんがいてくれて、現場の雰囲気も変わらずで、ある一定の緊張感を持ちながらも楽しく撮影していたので、僕も自然と前と同じような雰囲気で居られました。なんですけど、また中国語があるので……中島監督に“もう中国語はないですよね?”と伺ったら“あるよ”と言われて“あるんだ…そうか…”と(笑)。中国語のお稽古をつけていただいたときに“うわ~この感じ”と、忘れかけていた大変な気持ちを思い返しました。ちょっと苦労しましたけど、今回も先生につきっきりで見ていただいたので何とかやれました」

  大宰府で再会したとき、まひろは50代に。周明はもう恨む気持ちはないというまひろに、あれからどう過ごしていたのかを語り出す。一方、まひろは道長の元を離れ、物語を書く気力もなく、周明はそんなまひろを「なぜ(道長の)妻になれなかったのだ。もてあそばれただけか」「まだ命はあるんだ。これから違う生き方だってできる」とその胸中を慮り、励ます。かつては目的を成すためにまひろを脅し命を奪おうともした周明の変化に、松下はこう考えを巡らせる。

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 「以前の周明って自分の命さえ軽視していたと思うんです。いつ死んだって構わないと思って生きてきた彼が、まひろに“死という言葉をみだりに使わないで”と言われたことも大きかったんじゃないかなと。ともすれば、あの一件の後に、もう失うものが何もなくなって、自ら命を絶つことも考えたはずなんですよ。でも、そこを救ってくれたまひろの強さがあったから、20年以上心の中で消えずにいたんじゃないかなと思うんですよね。まひろのために一人でいたわけではないと思いますけど、まひろに対する想いとしてはやはりそこが大きかったんじゃないかなと思います」

 なお、まひろと周明の年齢については「周明が少し上」と認識しながらも「演じるうえでは年齢差はあまり意識していなかったですね。まひろが若いから騙せると思ったわけではなく、彼女の一挙手一投足から、ここ以外の世界のことを知らない若さみたいなものを感じとっていたような気がして、だからこそ使えるって思ったし、騙せると思った」と話す。

 一方で、50代になった周明の加齢表現については連続テレビ小説「スカーレット」での経験をふまえながら構築していったという。

 「『スカーレット』でも1度経験しているんですけれども、しばらく僕の出番がない時期があって、再登場したときにはいきなり50代になっていたんですね。そのときはメイクで白髪に塗ったりもしましたが、加齢を出すのにはどうしたらいいんだろうと考えて、姿勢を少し前かがみにするようにしました。僕もたまに実家に帰ると、父親や母親がちょっとずつ小さくなっている気がして、その小ささが加齢だなと思うので。なので、周明についても前はすっとしていたので、今度は少しだけ腰を曲げるようにしましたが、大きく芝居を変えることはしませんでした。憑き物の取れたような周明をイメージして、少し話すときのスピードを落としたり、表情を柔らかくするといったことは意識してやっています」

 第46回ラストは、異国の勢力が襲来し、周明がまひろをかばって射貫かれるショッキングな場面で幕を閉じたが、果たして周明の安否は……?(取材・文:編集部 石井百合子)

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