橋本愛、岡田将生と映画『告白』以来の再会 イベント中、涙流す場面も

俳優の橋本愛が3月13日、NHK放送センターで行われたドラマ「地震のあとで」(NHK総合で4月5日スタート、毎週土曜夜10時~10時45分・全4話)完成試写会に岡田将生、唐田えりか、演出の井上剛、制作統括の山本晃久と共に出席。2010年公開の映画『告白』で共演した岡田との再会を喜ぶとともに、阪神・淡路大震災との距離感について話すなか、涙を流す場面もあった。
本作は、作家・村上春樹が1995年に起こった阪神・淡路大震災のあとに綴った4つの連作短編を原作にした物語。岡田、唐田と共に第1話「UFOが釧路に降りる」に出演した橋本は、東京に暮らし、震災直後に夫の前から姿を消す未名を演じた。
未名は、瞬きすることなく震災の報道番組をじっと見つめるなか、ある日突然、夫・小村(岡田)に書き置きを残して家を出ていく。橋本は「未名は、セリフがほとんどない役で、佇まいのなかにいろいろな言葉や思いが詰まるように頑張って演じました」と語る。
また橋本は作品の特徴として「被災した人々の話ではなく、実際の地震と距離のある人たちを描いていることが興味深い」と述べると「それは私自身に重なるところで、東日本大震災も、熊本地震も、能登の地震も直接の被災地にはいませんでしたし、阪神淡路大震災のときは生まれていませんでした。その意味で登場人物たちと同じような距離感なんです。この国には、そういう立場の人の方が多いので、その距離感のなかで、自分の意識と体がどう変化していくか、どう揺れ動いていくかを感じながら台本を読みました」と作品へのアプローチ方法を語っていた。
夫役の岡田とは、湊かなえの同名小説を映画化した『告白』(2010)で共演している。橋本は「私が中学生の役で、岡田さんが先生という関係性だったのですが、大人になって再会できたのは本当にすごく嬉しかった」と笑顔を見せると「一つの答えを明示するような作品ではないので、岡田さんが演じた小村という役は、めちゃめちゃ大変だろうなと思えるような難役。そのなかで、岡田さんの立ち振る舞いや声に、言語化していない世界観が乗っていたような気がして、それを聞いているのが心地よかったです」と岡田の芝居を称賛する。
岡田も「時を経てこうして夫婦として共演させてもらうのは大変光栄でした」といい、「僕自身の変化も彼女に見せたいなという思いもあり、緊張感がありました。橋本さんは今回セリフがない役でとても難しかったと思いますが、彼女がテレビを観ている先に何があるのかを想像させてくれるお芝居を見て、共演出来て良かったなと思いました」と語っていた。
またこの日は、役を演じることで30年前に起きた阪神・淡路大震災との距離感に変化があったのか? という質問が登壇者に投げかけられた。橋本は「私は1996年生まれなので、ちょうど震災の1年後に生まれたんです」と前置きすると「阪神・淡路大震災で私たちの景色や全てが確固たるものでもなく、安全なものでもないということがみんなの意識のなかに植え付けられたあとに生まれた世代なので、日々生きているなかでこの景色も諸行無常で、常に移り変わりゆくものだという感覚は、生まれたときからというか、物心ついたときからあったんです。地震のあとの余波の上に私たちの命というか、人生があるんだなということに改めて気づかされました」と話すと、言葉に詰まって大粒の涙を見せるシーンも見られた。(磯部正和)