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未見のアナタ、人生ソンしてます!「ブレイキング・バッド」が伝説になったワケ 海ドラ座談会企画PART1(2/6)

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ウォルターはどの時点で「あちら側」へ行ってしまったのか?

ブレイキング・バッド
豊富な化学の知識を生かし、限りなく純度の高いドラッグの精製に成功するウォスター 提供:Netflix

司会:ウォルターが悪になっていく過程について掘り下げてうかがいたいんですが、彼は、初めは「家族のため」と言い続けていたのが、最後には違った答えを出します。結局はどういうことなんでしょう。

今:ウォルターの人生がいいか悪いかといったら、これまではダメだった。ダメなりに幸せだったのが、限りなく純度の高いクリスタルメス(麻薬)が自分にしか作れないっていうエゴが芽生えてくるわけで。それを誇示したくて、「ハイゼンベルク」(ウォルターの裏社会での名前)になった時点で、彼の中の何かが消えてしまったなという。だから何となく、間の悪い人生ですよね。

司会:ウォルターが完全に道を踏み外したのは、ハイゼンベルクという名を持った瞬間ということですよね。

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ブレイキング・バッド
ウォルターは「ハイゼンベルク」の異名を取る麻薬界の大物になっていくが…… 提供:Netflix

犬塚:ある程度の年齢に差し掛かった人なら「こんなはずじゃなかった」「もっと他に可能性があったんじゃないのか」って思うことは、誰でもありますよね。そういう普通の中年男の心情が底流に流れているころは、スティーヴン・キングの世界観に似ているなと思った。実際、キング自身が「Entertainment Weekly」で、2009年のベストドラマにこの作品を選んでいます。人生において感じる不満や苦しみが描かれているからこそ、誰もが共感するところがあるんじゃないですかね。主人公だけじゃなくて、他の人も全員混乱しているような話でしょ。ハンク(ウォルターの義兄で刑事)の奥さんが万引き中毒だったり、ルーズ・コントロールの話になっている。

今:ウォルターがシーズン2の第10話で「俺のシマから出ていけ」って言うシーンがあるんだけど、つまりは完全に麻薬密売を「商売」と認識して、明確に主体性を持ち始めた。ここが、ウォルターの倫理観が完全に狂った瞬間だと思ってぞわっときました。

犬塚:シーズン2の第12話でジェシーの恋人がオーバードーズになって、ウォルターがあることをしてしまう場面があって、そこは結構ゾッとしました。ウォルター本人は「ジェシーのためにやった」と確信しているんですよね。でも、本当は自分の正体をバラさないための保身だという。

>次ページは、フツーに見えて実はヤバいキャラクターたち

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