オダギリジョーのフランス語や竹内結子のダークな演技力に脱帽!:コンペティション部門三者三様の邦画3作【第28回東京国際映画祭】
第28回東京国際映画祭
11年ぶりの邦画3作品選出も話題になったコンペティション部門。観たい作品は数あれど限られた日程の中で、どの作品を観ればいいのかわからない。自分の好みの作品はどれなのか迷ってしまうという人のために、本部門のプログラミングディレクター・矢田部吉彦氏が全16作品の注目ポイントをズバリ解説!
『FOUJITA』
製作国:日本=フランス
監督:小栗康平
出演:オダギリジョー、中谷美紀、アナ・ジラルド
パリが愛した日本人、画家・藤田嗣治の知られざる半生を、『泥の河』『死の棘』『眠る男』の小栗康平監督が日仏合作で描く。フジタ役にオダギリジョー、妻の君代を中谷美紀ほか。静謐な映像美で魅せるフジタの世界。
【矢田部氏のここに注目!】
日本の巨匠である小栗康平監督が、藤田嗣治のフランス時代と日本での戦争時代を1本の映画の中で描いていてとても素晴らしい。藤田芸術と小栗芸術が真っ向から勝負したような、刺激的な作品です。
『残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋-』
製作国:日本
監督:中村義洋
出演:竹内結子、橋本愛、佐々木蔵之介
あなたの部屋の、前の住人は、どんな人か考えたことありますか……? からみ合う謎、その先に待つ衝撃の結末。『予告犯』『白ゆき姫殺人事件』の中村義洋監督×小野不由美の傑作小説、待望の初映画化。
【矢田部氏のここに注目!】
隣の部屋から人の声ではなく、サ~サ~という妙な音が聞こえてくる……このリアルな恐怖は中村監督の演出力の賜物。一人暮らしの方は家に帰れなくなるかも。怪談映画のジャンルに、新たな1ページを開いた作品です。
『さようなら』
製作国:日本
監督:深田晃司
出演:ブライアリー・ロング、新井浩文、ジェミノイド F
人間と本物のアンドロイドが実際に共演。世界が注目する画期的プロジェクト、アンドロイド演劇「さようなら」を完全映画化。放射能で汚染された日本を舞台に人間の生と死の本質を鋭く問いかける。
【矢田部氏のここに注目!】
終末観の描き方が残酷な美しさで満ち溢れていて、ラスト20分はこれまで観たことがない驚きの描写です。今年、これを紹介できないならコンペをやる意味がないとさえ思いました。日本映画界に一石を投じる作品です。
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