山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • 恋の病 ~潔癖なふたりのビフォーアフター~
    運命の恋に落ちた二人の愛は永遠に続くか?
    ★★★★

    当人以外にはなかなか理解されにくい脅迫性障害を抱えた男女がひょんなことから出会う。破れ鍋に綴じ蓋、というか運命! 恋に落ちるしかない設定だが、「二人はずっと幸せに暮らしましたとさ」で終わらない男女関係をコミカルに描きつつ、切なさも漂わせる。対面通行だった恋もいつかは一方通行に変わるのだ。人間だもの。『アメリ』を意識したと思わせるキャラ設定やインテリアはキュートだし、カラーパレットの使い方も印象的。iPhoneで撮影したと後から知っていつも驚くが、画像は実に美しい。技術の進歩、すごいな。二人が出会う頂好超市やMRT松山線での撮影も台湾好きなら「どこ?」と目が釘付けだろう。

  • ご贔屓ミュージシャン、クエストラブの監督作というだけで興味津々だったが、BLM運動につながる黒人パワーの息吹を感じさせるドキュメンタリーに仕上がっていた。 若々しいスティーヴィー・ワンダーやニーナ・シモンが熱唱し、ゴスペルやモータウン、さらにはラテンと幅広いジャンルの音楽を網羅しながらも歴史に埋もれた音楽フェスの意義とは?  “ハーレム・カルチュラル・フェスティバル“を軸に音楽だけでなくカルチャー、ファッション、社会情勢とクエストラブ監督は多角的に黒人史に焦点を当てる。「ニューヨーク・タイムズ」紙記者のS・ハンター=ゴウトと編集長の黒人表記をめぐるバトルなど、知られざる逸話の宝庫でもある。

  • リル・バック ストリートから世界へ
    ストリートから飛び立った華麗な黒鳥
    ★★★★

    ジューキングを知らなかったが、リル・バックの踊りを見て、「タイトロープ」のダンサーとピンと来た。人並外れて柔軟な足首を生かした独特のステップは、非常に軽やかで、重力を感じさせない! 一度見たら絶対に忘れないダンスだ。今やバレエ界でも才能を認められているリル・バックの半生を辿りながら、ダンス愛とたゆまぬ挑戦で人生を切り開いた青年の情熱に感心しきり。バレエを学んでジューキングを進化させた件など、カッコ良すぎてため息が出た。ナレーターを本人が務めていて、彼自身の思いとして素直に受け取れるのもいい。リル・バックを知らずとも、ストリートから飛び立った華麗な黒鳥に圧倒されるはず。

  • 大地と白い雲
    生活様式の変化が生む夫婦のすれ違い
    ★★★★★

    モンゴルの遊牧民というと移住しながら羊や馬を放牧する印象が強いが、最近は定住を選ぶ人も多いよう。都会の生活に憧れる夫チョクトと草原暮らしに満足な妻サロールが徐々にすれ違い、想定外の選択を迫られる展開は、モンゴル人が直面する変化を体現しているようだ。伝統を守ることは素晴らしいかもしれないが、マテリアルな欲求を満たしたくなる気持ちも理解できる。そのバランスを取るのが難しいわけで、それは価値観に違いが生まれた夫婦関係にも通じるのかもしれない。広大な草原は美しくも厳しく、その地で繰り広げられる夫婦の物語には一抹の寂しさが漂う。ラストのカメラが捕らえる遠景に観客は何を思うのか?

  • ドント・ブリーズ2
    盲目のアンチヒーロが鮮やかに進化!
    ★★★★★

    武装強盗を惨殺した屈強の盲人ノーマンの復讐劇ではなく、“生きる”意義を見出した彼の戦いが描かれる。身体的ハンディキャップを超える鋭敏な聴覚や触覚、嗅覚を武器として孤高の戦うスタイルは前作を踏襲するが、S・ラングが演じるノーマンの心理は大きく異なる。暴力的な生き方が招く結末を覚悟しつつ、一種の贖罪とも受け取れる第二の人生を歩んできた老人の孤高のバトルに圧倒されるはず。R指定ギリギリなアクションだけでなく、ノーマンの心理描写に重きを置いた演出をしているのは、これが監督デビューのR・サヤゲス。脚本も手がけている彼のキャラを知り尽くしたからこそのお手並みが見事だ。

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