相馬 学

相馬 学

略歴: アクションとスリラーが大好物のフリーライター。『DVD&ブルーレイでーた』『SCREEN』『Audition』『SPA!』等の雑誌や、ネット媒体、劇場パンフレット等でお仕事中。

近況: 『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』『探偵マーロウ』『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』他の劇場パンフレットに寄稿。「シネマスクエア」誌にて、正門良規さんに映画とその音楽について話を聞く連載を開始。

相馬 学 さんの映画短評

« Prev 全1,188件中171~175件を表示しています。 Next »
  • To Leslie トゥ・レスリー
    底から這い上がる女性の、味わい深い物語
    ★★★★

     A・ライズボローのオスカー主演女優賞ノミネートで注目された作品だが、見れば納得。アルコール依存症から抜け出せず、息子との信頼も築けないダメ母を、息苦しいほどの生々しさとともに体現する。

     物語は、そんな主人公の再生を緩やかに見つめたもの。彼女の危うさを引き受ける、モーテルの気のいい男たちとの交流が温かい。テキサスの街道沿いの風景が、ときにのどかに、ときに寂しく、ときに美しくとらえられ、生活感を漂わせる。

     母と息子の葛藤のドラマも印象深いが、息子の心象も変化もドラマの肝に。結末近くのダイナーのシーンは音楽もなく、その静けさゆえに、母と子の心の揺れが染み渡る。

  • インディ・ジョーンズと運命のダイヤル
    グッとくる、老雄の挽歌
    ★★★★

     80歳を過ぎたH・フォードがインディを演じるのは、どうよ!?とも思ったが、杞憂。インディが老いたことを、ドラマはしっかり見据える。

     第二次大戦から時は流れ、ベトナム戦争に対する反戦運動が起こり、ビートルズが解散に向かっていた時期。一作目の講義風景とは打って変わり、大学で教鞭をとるインディが生徒に尊敬されている様子はない。冒険は必要とされず、英雄に居場所がない時代だ。

     そんな孤独が、スリリングな冒険の果てのインディの決断とその後の顛末に直結。シリーズを締めくくるうえで、この展開は巧い。スピルバーグに代わってメガホンを取ったJ・マンゴールドのアクション演出も、もちろん快調。

  • ザ・フラッシュ
    ヒーロー映画らしからぬ(?)ドラマの妙味
    ★★★★

     ジャスティス・リーグの青二才的ポジションを担う(?)青年バリーが主人公だけに、これまでのDC路線とは趣が異なる。

     過去の不条理な悲劇を変えたいバリーの奔走はマルチバースへとおよび、SF色が濃厚に。ヒーローvsヴィランの図式を奔走の付随要素にとどめ、過去を克服する主人公の成長のドラマに主眼を置く。結果、スリリングなエンタテインメントでありながら、笑えて泣けるエモさが宿った。

     ふたりのバリーを演じ分けたE・ミラーの妙演はもちろん、スーパーガール役のS・カジェの凛としたたたずまいも魅力。歴代DC作品を俯瞰したお楽しみ的描写には、お得感アリ。

  • 探偵マーロウ
    ハードボイルドなL・ニーソンの妙
    ★★★★

     御年70歳のL・ニーソンがフィリップ・マーロウを演じるなんて、いくらなんでも老齢では!? 最初はそう思ったが、これが意外にハマり役。

     ニーソンらしい格闘アクションは最小限にとどめられ、ロバート・ミッチャム版マーロウのハードボイルドな魅力を踏襲。美女に簡単にはよろめかない、原作とは異なるキャラ設定も生きた。

     ニーソンがN・ジョーダン監督と組むのは4作目。気心の知れた間柄ということもあるだろうが、老いが強調されがちだった近年のニーソンの主演作の中ではリラックス感が先立ち、珍しくオフビートな味もある。面白い。

  • スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース
    宿命にさからう、若きヒーローの愛しき反抗
    ★★★★

     ハリウッド映画のトレンドというべき“マルチバース”の源流にもなった前作はオスカー受賞も納得の快作だったが、この続編も負けてはない。

     世界と、愛する者を同時に救うことができないスパイダーマンの宿命は、どのバースにも共通する。それに抵抗する主人公マイルスの奔走が熱を帯び、興味を引きつけていく。スパイダーマンの世界観を生かし、発展させたナイスなアイデア。

     ハリウッド製のアニメーションにしては異例の140分の長尺も気にならず、一気に楽しんだ。次作“ビヨンド~”が待ち遠しい。

« Prev 全1,188件中171~175件を表示しています。 Next »
[PR]
おすすめ特集
映画アクセスランキング
  • Loading...
»もっとランキングを見る«
スポンサード リンク