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探偵マーロウ (2022):映画短評

探偵マーロウ (2022)

2023年6月16日公開 109分

探偵マーロウ
(C) 2022 Parallel Films (Marlowe) Ltd. / Hills Productions A.I.E. / Davis Films

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.3

ミルクマン斉藤

原作は本家公認の続編らしいが。

ミルクマン斉藤 評価: ★★★★★ ★★★★★

異なるタイプのマーロウをこれまで様々な俳優が演じてきたが、リーアムも決して悪くはない(ただし、読者の中にはそれぞれのマーロウ像があるはず)。物語も、かつてハリウッドで雇われ脚本家として仕事をしてきたチャンドラーらしく、往年のスター女優(J.ラング)とその娘(D.クルーガー)が、死んだとされる愛人の行方を捜せと依頼してくるというもの。そこからフィツジェラルドやケネス・アンガーらが描いたスタジオシステム時代全盛期の乱脈なハリウッド映画産業が浮かび上がってくる。徹底してアイルランドに拘ってきたN.ジョーダンらしく、マーロウだけでなく刑事や大物、黒幕たちの多くがアイルランド系というのも興味深い。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

ハードボイルドなL・ニーソンの妙

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 御年70歳のL・ニーソンがフィリップ・マーロウを演じるなんて、いくらなんでも老齢では!? 最初はそう思ったが、これが意外にハマり役。

 ニーソンらしい格闘アクションは最小限にとどめられ、ロバート・ミッチャム版マーロウのハードボイルドな魅力を踏襲。美女に簡単にはよろめかない、原作とは異なるキャラ設定も生きた。

 ニーソンがN・ジョーダン監督と組むのは4作目。気心の知れた間柄ということもあるだろうが、老いが強調されがちだった近年のニーソンの主演作の中ではリラックス感が先立ち、珍しくオフビートな味もある。面白い。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

チャンドラー原作ではない変化球のマーロウ映画

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 原作は『海に帰る日』のブッカー賞受賞作家ジョン・バンヴィルが、レイモンド・チャンドラーの『長いお別れ』の公認続編として書き、別名義ベンジャミン・ブラックの名で発表した『黒い瞳のブロンド』。その映画化に相応しく、映像も音楽も、キャラもセリフも、いわゆるハードボイルド小説的なスタイリッシュさも、いかにもな紋切り型で固められていて、その"いかにも”の部分を味わうべき作品なのかもしれない。それにしてもキャストが豪華なのは、監督がニール・ジョーダンだからか。探偵役リーアム・ニーソンに加え、謎の女がダイアン・クルーガーにジェシカ・ラング。ダニー・ヒューストン、アラン・カミング、イアン・ハートらが共演。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

ハードボイルド(な雰囲気)に酔う

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

「近年暴れてる印象が強すぎるリーアム・ニーソンがニール・ジョーダン監督と『ロング・グッドバイ』の続編に挑む」という企画だけで贔屓目に見たいが、これがなかなかのクセ者。ニーソンがマーロウを演るには老いすぎており、独特の色気を感じないうえ、依頼者役のダイアン・クルーガーまでもがファム・ファタールとしての魅力に欠ける。ジェシカ・ラング演じる大女優も巻き込んだハリウッドの闇を描くにしては地味すぎる演出はいいとして、LAの話をスペインでロケしつつ、CGで誤魔化せばいいという作り手の安易な発想が見え隠れ。そのため、“ハードボイルドな雰囲気に酔う映画”という域を超えていない。

この短評にはネタバレを含んでいます
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