略歴: アクションとスリラーが大好物のフリーライター。『DVD&ブルーレイでーた』『SCREEN』『Audition』『SPA!』等の雑誌や、ネット媒体、劇場パンフレット等でお仕事中。
近況: 『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』『探偵マーロウ』『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』他の劇場パンフレットに寄稿。「シネマスクエア」誌にて、正門良規さんに映画とその音楽について話を聞く連載を開始。
AIの暴走も、殺人人形もホラーの題材としては目新しくないが、それでもミーガンのキャラに引き込まれてしまう。
しつけも、子守りもこなす“お友だち人形”。ユーザーと接すれば接するほど、その情報を吸収して、どんどん親密になる。その過程で邪魔者を消そうとする目的が生じ、AI暴走の恐怖談がかたち作られていく。
興味深いのは、これを子どもにあたえることの影響。大人だって忙しいし、育児の時間を割けるなら便利ではあるが、そこに子どものコンピューター依存という問題も見えてくる。高度端末化社会の負の部分は、本作のもっとも怖い点かもしれない。
ラストを除けば、原作にほぼ忠実な映画化。そういう点では、ナイスなキャスティングを含めて、原作ファンの期待を裏切らない。
忠実ゆえに前半のテンポは少々もたつくものの、キャラのそれぞれの心の動きをとらえている点がドラマのミソ。問題が起きても“転んだだけ”ととりつくろう大人と、そんな状況にいら立ちつつも我慢を強いられ、正しく怒れない子どもたち。その対比が現実的で面白い。
で、肝心のラスト。原作のそれはファンタジーにも思えたが、映画は判断を観客に委ねる。ドラマの現実味を貫くうえで、この改変は上手い。
70年代ホラーにオマージュを捧げた前作『テリファー』と同様のタッチ。異なるのは、前作が90分強のジャンル映画だったのに対して、この続編は140分弱の大作であること!
前作のラストでは殺人ピエロ、アートが不死身であることが示唆され、『ハロウィン』のブギーマンのように成長すると思いきや、夢にまで出現するのだから『エルム街の悪夢』的でもある。現実と幻想の境目もあやふやにする。このシュールな展開が妙味。
人体損壊描写も凄まじく、6年ぶりの続編なのにテンションがまったく落ちていないのは、コロナ禍前に撮影を終えていたという事情もあるか。長尺だが、ダレる間はまったくない。
前編“運命”のレビューでは“ひとつの作品を真ん中でちょうど半分にしたような”と書かせていただいたが、すべて見終わってみると当然といえば当然だが、後編に圧倒的な重みがある。
主人公タケミチのブレイクスルーは、まさしく待ってました!だし、ある件について彼が腹を括るラストまで熱気ムンムン。何より“血のハロウィン”本番となる一大合戦のビジュアル化が嬉しい。高低差のある場所を縦横無尽に行き来し、多種バトルを見せるアクションは圧巻。
前後編として作られた作品では『レッドクリフ』的な構造で、これを見た後では前編が長い予告編に思えてくる。とにかくアツい!
異星を飛び越えるわかりやすいSF設定ではあるが、『クワイエット・プレイス』の脚本家コンビの監督作と聞けば、なるほどと思えるサバイバル劇。
音を立てたら即死……とは言わないまでも、それに近いシチュエーション。肉食恐竜を怪物に見立てたドラマはスリリングで見応えがあるし、作り込んだVFX映像も見どころは多い。
既視感はあるものの、娘を亡くした父親と、親と死別した少女というタッグも面白く、疑似親子的な絆が芽生えていく点もドラマの妙味と言えよう。A・ドライバーが父親役を演じる年齢になったのか……という感慨もあり、★一個プラス。