略歴: アクションとスリラーが大好物のフリーライター。『DVD&ブルーレイでーた』『SCREEN』『Audition』『SPA!』等の雑誌や、ネット媒体、劇場パンフレット等でお仕事中。
近況: 『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』『探偵マーロウ』『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』他の劇場パンフレットに寄稿。「シネマスクエア」誌にて、正門良規さんに映画とその音楽について話を聞く連載を開始。
主演のマ・ドンソクが製作を務めていることもあるが、良い意味で彼のスター映画。拳を振るう主人公の暴れっぷりが、とにかく頼もしい。
ナイフ使いに素手で挑む豪快さはもちろん、接近戦もスピーディかつ重量感豊かにキメて、アクション俳優としての存在感は十分。後半のカーアクションでは『ワイスピ』ヴィン・ディーゼルよろしく司令塔的な役割を果たし、これまた頼もしい。
一方で前作以上にコメディ色が強くなり、前半のベトナム出張ミッションは、まさに珍道中。主人公と上司のかけあいも楽しく、ドンソクがマブリーと呼ばれるほどの愛されキャラであることを再確認。不敵な悪役を含め、助演陣の好演にも注目したい。
デュラン・デュランのコンサート映画としては『~アンステージド』以来11年ぶり。あちらはデビッド・リンチのアートフィルムの要素が強かったが、こちらは彼らのバンドアンサンブルの魅力を存分に味わえる。
”ハリウッド・ハイ"と言ってもLAの有名なコンサート会場ではなく、ハリウッドのビルの屋上。いわばデュラン・デュラン版ルーフトップコンサートで、ステージ上の彼らのパフォーマンスを、ドローンを含むカメラ7~8台でしっかりとらえている。
LAの夜景やキャピトルレコードのビル、ハリウッドサインも雰囲気満点。ウクライナ紛争を意識してプレイされた“オーディナリー・ワールド”がシミた。
日本のベストセラー小説を韓国で映画化。原作のスピリットを失わない硬派なサスペンスが成立したことに、まず拍手。
“真の警官になるか、卑劣な官僚になるか、ふたつにひとつ”というセリフがあるが、卑劣な官僚と揶揄される側にも正義感は宿る。その狭間に立たされた若き警官の苦悩こそが、警官の“血”、すなわち宿命だ。職業倫理を問うドラマには確かな歯応えがある。
キャスティングも絶妙で、迷いのない先輩警官=チョ・ジヌンと、迷う後輩=チェ・ウシクのそれぞれの面構えが鮮烈な対比を成す。暴力描写は控えめ。そんな節度が生きている点でも、硬派な作品である。
アカデミー賞ノミネートの常連ラッセル監督の作品が日本の劇場で公開されるのは、何気に久しぶり。まずは復活を素直に歓迎したい。
出世作『スリー・キングス』を連想させる、固い絆で結ばれた男女3人の共闘。アップテンポで描かれる、そんなドラマは2時間超えの尺の長さをまったく感じさせない。次々と登場する豪華キャストの賑やかさも、それにひと役買っている。
映像面で面白いと思ったのはキャラクターの顔のアップが、とても多いこと。人間の顔が左右対称ではないことを改めて認識しつつ、表情のとらえ方のユーモアを楽しんだ。とりわけ、男優陣のファニーな雰囲気がイイ。
実在のゲイの水球チーム、シュリンプスの奮闘を描いた前作はスポ根コメディの要素が強かったが、今回は“スポ根”要素はナシ。それでも前作のはつらつとしたノリは健在で、ファンは文句なしに楽しめる。
極寒の某大国で起こるゲイ狩りと、同性愛を病気と決めつける国家的な政策。ホモフォビアから来る、そんな同性愛者の過酷な現実は笑えるものではないが、逆境に屈しないシュリンプスの姿勢に触れると痛快さが先に立つ。
シュリンプスを笑う映画ではなくて、シュリンプスが笑う映画を目指したと、監督のひとりでシュリンプスの一員でもあるル・ギャロは語る。アホらしい現実を笑い飛ばす前向きさが、彼らの武器でもあるのだ。