略歴: アクションとスリラーが大好物のフリーライター。『DVD&ブルーレイでーた』『SCREEN』『Audition』『SPA!』等の雑誌や、ネット媒体、劇場パンフレット等でお仕事中。
近況: 『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』『探偵マーロウ』『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』他の劇場パンフレットに寄稿。「シネマスクエア」誌にて、正門良規さんに映画とその音楽について話を聞く連載を開始。
地球上のあらゆる生物と無縁ではない“ウンコ”にスポットを当てた、ありそうでなかったドキュメンタリー。これはもうアイデアだけで面白い。
邦題どおり、ウンコに関するうんちくが速射砲のように語られ、下品に走らず、むろんユーモアも忘れない。フツーに生活していても大便ジョークはあるものだが、それらがサラリとナレーションの中に交えられているのがイイ。
下水処理や衛生問題などの社会意識はもちろん、日本でも時々ニュースになる、牛フンを利用したバイオガス発電の可能性にも言及し、興味深く見ることができる。環境保護意識の高い人のみならず、排泄するすべての人に見て欲しい。
『貞子3D』あたりからコミカルな味付けがなされ、純正しホラーから遠ざかりつつあった貞子が、ついにここまで……という、ユニークな到達点。
“呪いなんてない。すべては科学的に説明できる”という天才女子大学院生の視点に、貞子という悪霊の存在をぶつける妙。そのドタバタにユーモアが宿り、惨死描写にもブラックな味わいが出る。
注目すべきは、呪いという恐怖の対象がパンデミックを模していること。目には見えないがジワジワと広がり、状況が恐ろしくなっていく、そんな設定が面白い。シリーズ過去作の、貞子撃退のドラマとは異なる展開に注目!
よくある近未来デスゲーム映画と思いきや、これは軽く予想を超えてくる。
ヒロインはほとんど笑わない不愛想なキャラで、不治の病を抱えながらも、共感を呼ぶ描き方はほとんどなされない。来たる決闘に向けて黙々と準備をするも、何を考えているかよくわからないのだが、それだけに感情が急激にほとばしるラストは強烈だ。主演を務めたK・ギランの、低体温演技も光る。
音楽は最小限で、静かであるがゆえの不気味さや異様さが際立つ、巧みな演出。それゆえに途切れない緊張感が宿る。良い人も、悪い人もいない。ここには、ただ弱い人たちがいる。
緊急事態宣言の初期、先が見えなかった当時の不安を思い出させるに十分。ロックダウン明けのニューノーマルの元で作られたとのことだが、それも納得。
M・ベイ率いるプラチナムデューンズらしい機動力重視の製作体制。描かれるディストピアは、ペスト並の感染&致死力がある伝染病に覆われ、絶望感が渦を巻く。が、本作はサバイバル劇というより、むしろラブストーリー。触れ合えない恋人たちの切なさが印象に残る。汚れた世界で、ヒロインをひたすら綺麗に見せる工夫もイイ。
ヴィランの設定に説得力がないのは惜しいが、免疫者という新たな特権階級の存在は、富裕層との並びで興味深い。
愛する者の“失踪”に直面した人間の心的な葛藤をクローズアップ。その痛みや苦しみが、丁寧な語り口から生々しく伝わってくる。
北朝鮮拉致問題の、ある意味最前線である佐渡島を舞台にしているが、それは主人公たちが求める失踪のひとつの“理由”として機能。社会派に偏らず、あくまで待つ身の辛さにドラマの軸を置く。
愛する人と再会する“夢”という概念をまじえながらも、ドキュメンタリーを思わせる観察的な映像が生き、語り口は徹底してリアル。比較的高年齢のキャストにも過疎の地方都市の現実が見えてきて、やるせない気持ちになった。重い。しかし、確実に歯応えがある。