猿渡 由紀

猿渡 由紀

略歴: 東京の出版社にて、月刊女性誌の映画担当編集者を務めた後、渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスターのインタビュー、撮影現場レポート、ハリウッド業界コラムなどを、日本の雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿する映画ジャーナリスト。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。

猿渡 由紀 さんの映画短評

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  • モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン
    ステレオタイプでないキャラクターが味わい深く面白い
    ★★★★

    ショッキングなオープニングで引き込まれてから、ずっと予測のつかない展開で心をとらえられっぱなし。ストーリーだけでなくキャラクターも意外性がある。悪そうな男に引っかかって何かされるのかと思うと裏切られるし、ケイト・ハドソン演じるシングルマザーのストリッパーもステレオタイプとはほど遠い。そもそも主人公に韓国人女性を据えたのも新鮮だ。脚を怪我した警官がハイヒールを履いたストリッパー(ハドソン)を追いかける、ハリウッドでおそらく最もスローペースのチェイスシーンも、ユーモアがあって楽しい。センス抜群のサウンドトラック、ニューオリンズの魅力をとらえたビジュアルも良い。

  • ペイン・ハスラーズ
    重大なテーマだけに物足りなさを感じる
    ★★★★★

    金儲けのために依存性のある処方薬を売って人々の人生を破壊した製薬会社については、「DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機」「ペイン・キラー」などドラマや、ドキュメンタリー「巨大製薬会社の陰謀/THE CRIME OF THE CENTURY」が作られてきた。だからもう知っているだろうと思ったのかもしれないが、この映画では彼らがやったことのせいで人がどう苦しんだのかがほとんど描かれないので、とくに米国外の観客には事の大きさが伝わらない。また、主人公(架空の人物)にお金が必要な事情を与え、同情できるキャラクターにしたのも疑問。大事な問題に表面的なアプローチをする物足りない作品。

  • スラムドッグス
    強烈に大人向けのコメディ。犬への愛もある
    ★★★★

    しゃべる動物の映画は山のようにあるが、これは他とまるで違う斬新な作品。何の予備知識もなく見たら、オープニングシーンからぶっ飛んだ。強烈に大人向けのジョークの連発で驚かされつつ笑いっぱなし。下ネタ、性的なネタだらけなので、間違っても子供は連れていかないように。大人であっても、ただ下品なだけ、どこが可笑しいのかと受け止める観客もいると思われるので、人を選ぶ映画ではある。ここまでやる作り手の勇気もだが、躊躇なくダメダメ男になりきったウィル・フォーテにも感服。そんな中にも、犬あるあるのシーンも盛り込まれて、犬への愛もちゃんと感じさせる。サプライズのカメオも楽しい。

  • ナイアド ~その決意は海を越える~
    ベテラン女優たちが光る、元気の出る1本
    ★★★★★

    「フリーソロ」「THE RESCUE 奇跡を起こした者たち」で不可能なことに挑む人々についての感動のドキュメンタリーを作った監督コンビらしい作品。この映画では、実在のスイマー、ダイアナ・ナイアドが、20代でも無理だったことに60代になって挑戦する姿が描かれる。今作が伝えてくるのは、何事にも遅すぎることはないのだということ。それはただの言い訳なのだ。そして、協力してくれる人々の大切さ。アネット・ベニングも、彼女の親友ボニーを演じるジョディ・フォスターも、本人たちのエッセンスをしっかりつかんでいるだけでなく、ふたりの間には長い関係があるのだとちゃんと感じさせるのはさすが。元気の出る1本。

  • SISU/シス 不死身の男
    思わぬ拾い物をした気分。豪快なポップコーン映画
    ★★★★

    実に豪快な映画。大事なものを奪われた孤独で無口なヒーローという設定は決して新しくはないが、妙にカッコつけたり、言い訳っぽいことをしたりせず、これは映画なんだからと堂々とやるところがあっぱれ。イーサン・ハントも顔負けのアクションをこなすこのおじいちゃんは、「不死身」なのではなく「死ぬことを拒否」する男。「そうは言ってもこれで死なないなんてあり?」という状況も何度となくあるが、彼はすごいのだ。バイオレンスも容赦ないものの、相手はナチで、女性を苦しめて、しかも犬まで殺そうとした男たちなのだから同情の余地なし。いい感じでユーモアのある最後のシーンも良い。思わぬ拾い物をした気分だ。

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