ゴッド・ディーバ (2003):映画短評
ゴッド・ディーバ (2003)エンキ・ビラルが自ら描く錆びた青灰色の近未来
バンド・デシネと呼ばれるフランス=ベルギー産コミックの代表的作家エンキ・ビラルは、1982年の「ブレードランナー」製作時にリドリー・スコット監督が意識し、今もドゥニ・ヴィルヌーヴ監督やザック・スナイダー監督が多大な影響を受けたと語るクリエイター。そのビラルが、2004年に自ら監督・共同脚本を手掛けて自作を映画化したのが本作。錆びた青灰色の2095年のニューヨーク、摩天楼の上空に浮かぶピラミッド、獣頭人身のエジプト神話の神々、空中を行き交う飛行体、青い髪の女性の形をした非人間、身体を改造し続ける人間たちーーーその色彩と造形のすべてがビラル独自の世界。その美学は2020年の今見ても色褪せない。
この短評にはネタバレを含んでいます