セントアンナの奇跡 (2008):映画短評
セントアンナの奇跡 (2008)シネフィル、スパイク・リーの美質が出た秀作。
第二次大戦・イタリア戦線の物語だが、開巻は1983年のNY。老郵便局員が切手買いにきた老白人を射殺する!これでツカミはOKである。ブラック・シネマ中興の祖ともいえるスパイク・リーだが、アフリカン・アメリカンの全く出てこない映画を撮ることも一時期多く、それもまた(というかむしろそちらの方が)作品として素晴らしかった。でも本作は人種間問題もぐぐっと表面に。リアルで凄惨な戦場描写、ファンタスティックな8歳の少年との交歓など、タヴィアーニ兄弟あたりのイタリア映画をかなり意識しているのも確実だな。要注目はyU+coのタイトル・デザイン。画面いっぱいに広がっていく白と赤の十字架がシンプルかつグラフィック。
この短評にはネタバレを含んでいます