マン・オン・ワイヤー (2008):映画短評
マン・オン・ワイヤー (2008)青春の絶頂そして終焉…うう、美しい。
今はなきWTCに大きな機材を担ぎ身分を偽って侵入する男女。場所が場所だけにテロリズムを想像させる導入だが、これは1974年、あろうことかツインタワーの両端をワイヤーで結び、その上で45分間滞在・8往復したフランス人綱渡り師とそのクルーのドキュメント。今も存命な当事者の証言と再現ドラマ(陰影を強調したグラフィックなモノクロ映像がイイ)は、この無謀で衝動的にもみえるショウのため、いかに彼らが周到な計画を重ねてきたかを克明に伝える。そのプロセスはまるで銀行強盗映画のよう。そこまで練り上げておきながら、“綱渡り”ならぬ“綱ダンス”をやってのけた当人は言う、「やったことに理由がないから素晴らしいのだ」。
この短評にはネタバレを含んでいます